日本車は手堅いなんて誰がいった? 犠牲を払ってでも「攻めに攻めた」敬服必至のクルマ3台

2024.01.03 13:00
この記事をまとめると
■手堅い印象の国産車のなかにも何かを犠牲にしてでも実現させたいものを有していたモデルがあった
■デザインを優先して機能を犠牲にした数少ないモデルをピックアップ
■走行性能に全振りして燃費を度外視していたモデルもあった
日本車のイメージを超えた個性的な日本車がある
  日本で作られている国産車、または日系メーカーが設計しているクルマは「日本車」と呼ばれることが多い。メーカーにより個性の違いはあれど、「日本車」という響きには、耐久性や信頼性の高さをイメージさせられる。使い勝手や走行性能などについても、とにかくバランスよく欠点をなくす設計というイメージが強いのではないだろうか。
  ポジティブにいえば手堅い設計を想像させるだろうが、一部の趣味人からすると「日本車には面白味がない」といった厳しめの評価が定着していたりもするだろう。
  そんな日本車・国産車にも、ある特定の性能やデザインを求めたばかりに何かを犠牲にしてしまった、一点突破型ともいえるモデルが少なからず存在している。ここでは、そうした個性的な日本車を3台ピックアップ、筆者が勝手につけたキャッチコピーとともに紹介したいと思う。
空力最優先のボディ:ホンダ・インサイト(初代)
  世界初の量産ハイブリッド乗用車であるトヨタ・プリウスに対抗してホンダが燃費スペシャルマシンとして生み出したのが初代インサイト。オールアルミボディに専用3気筒エンジン+薄型モーターのハイブリッドシステムを積んでいた。
  いまとなってはマイルドハイブリッドに分類されるような電動パワートレインではあったが、とにかく空力に優れた軽量ボディのおかげで北米では燃費ナンバーワンとして名を馳せたモデルだ。
  じつは筆者は初代インサイト(5速MT車)のオーナーだったこともあるのだが、たしかに燃費性能は優れているし、高速道路でクラッチを切るとほとんど速度が落ちないと感じるほどの走行抵抗の小ささにも驚かされたという印象は鮮明に残っている。一方、ボディはコンパクトだが、後方視界については量産車としてはワーストといっていいレベルにあり、市街地での取りまわし性能はけっしていいとはいえなかった。
  とくに苦手だったのはバック駐車。後ろにいくにつて絞り込まれたボディ、空気抵抗を減らすためのリヤタイヤカバーといったデザインのおかげで、ドアミラーを見てクルマを真っ直ぐに止めるのは至難の業だったと記憶している。
  その理由はミラーに映るボディが絞り込まれすぎており、タイヤも見えないために混乱してしまうからだ。むしろドライバーの感覚だけで運転したほうが真っ直ぐにバック駐車できると個人的には感じたものだ。
日本が誇るスポーツカーは当然のように燃費を度外視
筋の通った後ろ姿のため:トヨタ・ハリアー(現行)
  つづいて紹介するのは、現行モデルのトヨタ・ハリアー。フルモデルチェンジの際には、ハリアーらしいスタイリングが評価される一方で、リヤの灯火デザインについてブレーキランプとウインカーが上下に離れていることが指摘されたのは記憶に新しい。
  とくにSNSでは、「こんなデザインではブレーキランプを見ていたら、ウインカーに気付かないに決まっている」、「信号待ちで前のハリアーがウインカーを出しているけど見えなかった」といった旨の批判が多く見られた。もっとも、スタイリング優先のプレミアムSUVといえるハリアーであっても、トヨタらしい手堅さや信頼感を求めるユーザーの期待値との乖離があったゆえの批判だったのかもしれない。
  実際問題、通常の車間距離を取っていればブレーキランプとウインカーはしっかりと認識できるデザインになっている。そもそも、ブレーキランプとウインカーは並んでなくてはいけないという保安基準があるわけではない。
  さらに言えば、このモデルから北米マーケットにも投入(現地名:Venza)されたハリアーは、北米基準の広いウインカー面積を確保していたりする。むしろ視認性は向上しているとさえいえる。そうしたこともあり、現在はハリアーのウインカー問題について指摘する声も小さくなっているようだ。
  なお、筆者が取材した範囲の話をまとめると、トヨタの開発陣はハリアーのウインカー位置についてユーザーから問題視される可能性は十分に認識していた。しかしながら、刀を振り下ろしたときにアニメでよく使われるような一閃の表現をハリアーのリヤデザインに取り込みたいという狙いのほうが強く、そのためにブレーキランプとウインカーを分離させる必要があったのだという。
燃費なんて関係ねぇだったけれど:日産GT-R(R35)
  現在においても、日本を代表するハイパフォーマンスカーとしての地位を盤石のものとしている日産GT-R(R35)がデビューしたのは2007年12月のこと。それから16年、最高出力などのスペックは変われど、3.8リッターV6ツインターボ、6速DCT、トルクスプリット4WDというパワートレインの基本構成は変わっていない。
  デビュー当時でも480馬力を誇ったこのパワートレインについて、開発エンジニアの方に取材したことがある。そのとき印象に残ったのは「このクルマについて燃費は無視していますから」というものだった。
  単純に燃費が悪くてもパワーを出すという意味ではない。取材時の文脈から言い換えると、「通常の量産車においてはエンジンやオートマチックトランスミッションの制御プログラムにおいてモード燃費に適応させることを考慮するが、GT-Rにおいてはパフォーマンスやドライブフィールを優先しており、モード燃費の走行パターンを考慮していることはない」といえるだろう。
  じつは、この話を聞いたときは、数多のエピソードのひとつとして認識していた。しかし、驚いたのは2009年にGT-Rが新しいモード燃費に対応したときだ。デビュー当時は10・15モードの燃費が8.2km/Lだったのだが、JC08モードの燃費スペックは8.4km/L(同スペックの10・15モード燃費は8.3km/L)となっていた。
  一般論としてJC08モードは10・15モードよりはリアルに近い測定方法であり、燃費の数字としては悪くなる傾向にあるといわれている。しかし、GT-Rについては10・15モードよりJC08モードのほうが数字としては優れている。
  デビュー当時に「モード燃費に合わせるような開発していない」という発言は本当であった。そのことを証明する数値を見たとき、あらためてGT-Rとその開発陣をリスペクトしたことは言うまでない。

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