“ジャガーネス”を雄弁に物語る一台 ジャガー「FタイプR75 P575クーペ」

BRUDER
2023.11.29 16:04
ジャガーは2025年以降、完全なBEV(電気自動車)ブランドとなることを宣言しており、内燃機モデルの生産を段階的に終了していく方向だ。具体的には今年末までにSUV以外の内燃機関モデル(セダン系、スポーツカー系)の受注が終了する。
今回試乗したジャガーのスポーツカー「FタイプR75 P575クーペ」の受注は、つい先ごろ終了したばかり。つまり新車を手に入れようと思ったら、ディーラーがストックしている車両を探す必要がある。ブランドが消滅するわけではないものの、この現実を突きつけられると、驚きを禁じ得ないというファンもいるだろう。だが、すでにカウントダウンは始まっていて、いま考えるべきは、「Fタイプ」にどんなベネフィットが込められているのか、という一点に絞られるはずだ。
Fタイプは2013年末に発表された2シーターのスポーツクーペ。そのネーミングは1960年代の伝説的なモデル「Eタイプ」の次、であることに由来している。実際に「XJ-S」や「XK8」といった2+2シーターのスポーツモデルを絶えずラインアップしていたが、純粋な2シーターはEタイプ以来になる。最終モデルとなる現行のFタイプは、2020年にフェイスリフト(マイナーチェンジ)されたもの。基本的な構造は“10年選手”ということになるが、オールアルミモノコックのシャシー構造が時代に先んじたものであったことを考えれば、「古い」という表現は当てはまらない。今回ステアリングを握ってみて、デビュー当時に先進的だった構造が、この10年でイギリス車らしい熟成の境地に達した、そんな表現がぴったりだと思った。
モデル名にある75という数字は、ジャガーのスポーツカー生誕75周年を意味し、Pはペトロール(=ガソリン)、575は5.0リッター 、スーパーチャージドV8エンジンの最高出力を指している。スタイリングは、筋肉質で引き締まったネコ科の動物を彷彿とさせる攻撃的で鋭い表情をしている。フロントエンジンのスポーツカーは後輪駆動が多いが、さすがに575psもの大きなパワーを手なずけるため、パワートレーンはAWDとなっている。
これらのメカニカルな情報を頭に入れて走り出すと、すっきりとした感触に驚かされる。AWDモデルは、ステアリングの感触に駆動系由来の鈍さを感じることが珍しくないが、Fタイプにはそれがない。また、エンジンに追加されたスーパーチャージャーはレスポンスを阻害することがあるが、熟成したV8エンジンはスロットルに敏感に反応し、雷鳴のような爆音をとどろかせる。
すっきりとしつつ、恐ろしく刺激的でもあり、走り始めるとすぐにドライブフィールに惹き込まれて高級車に乗っていることを忘れてしまう。だが、ひとたび都会の雑踏に紛れ、ペースが落ちれば、クルマ全体からにじみ出てくるようなしっとりとした乗り心地と、インテリアの質感の高さといった“ジャガーネス”に心を打たれる。Fタイプには平凡なスポーツカーが持ち合わせていない攻撃性とプレミアム感がある。
前述のとおり、ジャガーは今後BEVブランドとなり、新たな個性を追求していく時代に突入する。そのとき「往年のジャガーはどんな存在だったのか?」と考える人もいるはずだ。このクルマこそ、その問いに一台で答えることができる貴重な語り部といえるだろう。
ジャガーFタイプR75 P575クーペ  車両本体価格: 1833万円(税込)ボディサイズ | 全長 4470 X 全幅 1925 X 全高 1315 mmホイールベース | 2620 mm車両重量 | 1670 kgエンジン | V型8気筒DOHCスーパーチャージド排気量 | 4999 cc最高出力 | 575 ps(423 kW) / 6500 rpm最大トルク | 700 N・m / 3500 rpm変速機 | 8速 ATお問い合わせ先www.jaguar.co.jp
Text : Takuo Yoshida

あわせて読みたい

取り回し抜群のテッパンBEV メルセデス・ベンツ「EQE SUV」
BRUDER
これぞサラブレッド アストンマーティン「DBX707」ずば抜けた運動性能
BRUDER
ビジネス界の未来を拓く 「STEVIE®️ AWARDS」の魅力にせまる
antenna
【海外試乗】 これぞまさしくプレミアムスポーティセダン、BEVも同時にリリース!「BMW 5 シリーズ」
CARSMEET WEB
【海外試乗】システム出力680psを叩き出すスーパーSUV!「メルセデスAMG GLC 63 S EパフォーマンスSUV」
CARSMEET WEB
韓国発の音楽フェス「WATERBOMB JAPAN 2024」先行チケット販売開始!
antenna
【海外試乗】マセラティ伝統の内燃機に昂る!V8トライデントのカーテンコール「マセラティV8レンジ・ドライビングエクスペリエンス」
CARSMEET WEB
話題のクルマを品定め!これぞ最上級グレード! 〈メルセデスAMG〉GLE 63 S 4MATIC+クーペ
Safari Online
毎日を少しだけ特別なものに変える 柔らかく灯るランプを発売
PR TIMES Topics
【海外試乗】デビューから5年目のアップデート。これが内燃エンジンを搭載した最後のフラッグシップSUV!?「アウディQ8/SQ8」
CARSMEET WEB
クルマジャーナリストが2023年に「本気で欲しくなった」3台はコレ!
GOETHE
夏の楽しみ再び!「WATERBOMB JAPAN 2024」開催決定
antenna
【国内試乗】伝統のアメリカンマッスル、有終の美【シボレー・カマロ・ファイナルエディション】
CARSMEET WEB
【海外試乗】2+2シートの採用と荷室も拡大されるなど実用性もアップ。コンセプトを一新し着実な進化を遂げた2代目“GT”「メルセデスAMG GT」
CARSMEET WEB
星空とペンライトアートで思い出づくり 特典付き「卒業旅行プラン」を販売
PR TIMES Topics
【国内試乗】追加されたV8モデルの走りは重量を感じさせないほど軽快!「ランドローバー・ディフェンダー90」
CARSMEET WEB
今年最後の本命は快速BEV BMW「i5 M60 xDrive」
BRUDER
京都の老舗香木店が調香する「ひと休みの香り」Hand&nail oil発売
PR TIMES Topics
【比較試乗】フォルクスワーゲンのBEVとICE、直接比較で鮮明になる事実「フォルクスワーゲン・ID.4 VS ティグアン」
CARSMEET WEB
【国内試乗】エンジンフィール、ボディ剛性、快適性……全方位で全能。圧倒的なプレステージSUV「ポルシェ・カイエン」
CARSMEET WEB
冬の苺の美味しさが味わえるパフェやアイスクリームソーダが登場
PR TIMES Topics