庶民にゃ縁遠いHonda Jetの機内を体験! 「こりゃ凄い」なところと「意外に……」なところを徹底チェック

2023.11.04 12:40
この記事をまとめると
■「ジャパンモビリティショー2023」でホンダはHondaJetエリートIIのモックアップを展示
■今回の展示ではHondaJetエリートIIの機内へ乗り込みやコクピットへの着座もできる
■HondaJetエリートIIの実機は695万ドル(約10億4250万円)からとなる
メインエリアに日本初上陸のHondaJetモックアップを展示
  今回、従来の「東京モーターショー」から名称を一新、「ジャパンモビリティショー」となったことでメーカーブースの印象は大きく変わった。以前はコンセプトカーや新型車など、「製品」を前面に出した展示内容となっていたが、初開催となったジャパンモビリティショーでは、まさに日本の未来の移動手段といったさまざまな展示内容に溢れている。
  なかでも印象的だったのは、四輪車だけでなく二輪車、さらにはマリン、汎用機、そして航空事業までと幅広い事業展開を行っているホンダのブースだ。陸海空すべてに自社製モビリティをラインアップするホンダは、当然のようにそれらを展示。空のモビリティとして、次世代の垂直離着陸機「eVTOL」の5分の1サイズモックアップに加え、なんと自社製(正確には関連会社のホンダエアクラフトカンパニー製)の小型ビジネスジェット航空機、HondaJetがブースのメインエリアに並べられた。
  残念ながら実機そのものではなく、同スケールで作られたモックアップであるため、HondaJetの特徴でもある、主翼の上に搭載されたエンジンなどは見ることができなかった。
  ホンダブースのスタッフに聞いたところ、このモックアップはHondaJetの購入を検討している潜在顧客に機内体験してもらうためのもの。普段はアメリカ各地で行われる航空ショーなどで展示するために活用されており、今回のジャパンモビリティショーにあわせて「初来日」したのだという。
  いわばマンションのモデルルームのようなものだが、実機と異なるのはその主翼とエンジンの有無くらいで、外寸および内装はまったく同じに作られているとのこと。モックアップの目的を考えれば、機内の内装素材などが実機同様なのは当然だが、なんと胴体の素材も実機と同じだとか。
  そんな実機同様に製作されたHondaJetのモックアップに、今回の展示では機内へ乗り込むことができ、客席はもちろんコクピットへ座ることもできるという。しかしながら、メディア取材向けのプレスデーでもHondaJetの機内体験は大人気で、ひとつの媒体に与えられた時間は5分のみ。かなり駆け足での乗機体験となった。
  さて機内の様子を見る前に、まずはHondaJetの歴史について、軽くおさらいしておこう。ホンダが本格的に小型航空機と航空機エンジンの研究を開始したのは、1986年のこと。その後、ターボファンエンジンおよび航空機の機体の両方を自社開発することとなり、2015年にはHondaJetの量産1号機が初飛行に成功した。
  2015年12月にはHondaJetの量産1号機がデリバリーされ、市販航空機メーカーとしての歩みが始まる。その後、2018年5月にはHondaJetエリート、2021年5月にHondaJetエリートS、そして2022年10月には最新型となるHondaJetエリートIIへと進化を重ねている。現在までに230機以上がデリバリーされており、小型ジェットカテゴリーにおいては5年連続販売ナンバーワンを達成するほどの人気となっている。
  今回、展示されたのは最新の機体であるHondaJetエリートIIのモックアップだ。先代機HondaJetエリートSのマイナーチェンジモデルで、基本的な外観デザインや諸元は初代HondaJetからほぼ変わりはないものの、燃料タンクの拡張および最大離陸重量を増加させたことにより、航続距離が204km延長され2865kmとなっている。
  さらに、HondaJetエリートIIでは、飛行機の持つ「機能美」を重要視し、究極のオーナーシップ体験と快適性を追求。外観デザインにおいては、特別色のBlack Editionを新たに設定した。内装にはモダンなグレーを基調にした「スチール」と、暖かみのあるベージュを基調にした「オニキス」というふたつデザインが加わり、機内通路の床材には従来のカーペットのほか、木目調のデザインを選択できるようになっている。
  今回は体験することができなかったが、機内壁の遮音材を刷新することで機内に流れ込む風切り音を抑えるなど、キャビン全体の静粛性がさらに向上して上質な登場体験を実現しているという。
大人気の機内体験ではコクピットにも潜入
  さて、HondaJet機内取材を待つメディアの列は少しずつ進み、ようやく筆者の搭乗時間が迫ってきた。タラップを登ってHondaJetエリートIIの機内へ足を踏み入れると、正直なところ機内は決して広くない。身長181cmの筆者ではまっすぐ立つことは厳しく、身体をかがめながらまずは客席へと進んでいく。
  客席は中央に通路があり、左右にシートが並んでいる。モックアップでは片側は対面式、もう片側は前後とも機体前方を向いたレイアウトだ。今回、展示されているモックアップは、HondaJetエリートIIの2種類ある内装のうち「オニキス」のほう。暖かみを感じさせるアイボリーベージュを基調としており、秋の木洩れ陽のような穏やかでリラックスできる空間を演出している。
  ただ、機体の内壁は上方へいくほどラウンドしている卵形断面となっており、圧迫感もそれなりにある。また、シートのサイズも正直小ぶりに感じられ、通路側には肘掛けも存在しないため少々落ち着かない。これは小型ビジネスジェットである以上は仕方のないところか。
  いっぽうで前後方向には広々とした室内空間となっており、客席の後方にはトイレとお手洗いが用意されている。トイレを使用する際には、パーテーションを引き出すことでプライバシーを保つことができる。
  そしていよいよ、機内最前方のコクピットへと向かう。一般的な航空機であれば、客席と運転席のあいだには立派なトビラがあるけれど、HondaJetでは客席も運転席も同じ空間だ。クルマの後席から運転席へ移動するように、片足ずつコクピットへと滑り込ませていく。
  飛行機においてもっとも眺めのいい席は、やはりコクピットだ。上下にやや狭いガラスエリアの向こうには、ホンダブースを訪れている人々の姿が見える。計器類のレイアウトは完全な左右対象となっており、操縦桿も左右両席に備えられているが、これは2名による運行が必要ということではなくて、安全面を考えてのこと。右席の操縦桿を右へ倒せば、左席も同様に倒れるなど完全にシンクロするよう設計されている。もちろん目前でさまざまな情報を表示するモニターも、左右はまったく同じ画面となる。
  コクピットでさまざまなスイッチを眺めていたら、あっという間に手持ちの取材時間が残り少なくなってしまった。いまや飛行機の操縦はオートパイロットが主流となっており、小型ビジネスジェットのカテゴリーも例外ではない。HondaJetエリートIIも常にアップデートはなされており、2023年末までには最新の自動化技術であるオートスロットル機能と緊急着陸装置が導入される予定となっている。
  もちろんオーナーへ向けてのサポートも充実しており、アメリカ・ノースカロライナ州グリーンズボロのホンダエアクラフトカンパニーには、HondaJetを購入されるオーナーに向けてフライトトレーニングを行う専用のシミュレーターも存在しているという。
  今回、展示されたHondaJetエリートIIの実機は695万ドルから。現在の為替レート(約150円=1ドル)でいうと、約10億4250万円〜となる。近年の高騰を続けるスーパースポーツカーやヒストリックカーの世界を見ていると、意外に安いと思えてしまった。購入できる気配はまるでないけれど……。

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