アコードはかつて超アクティブな車種だった! レースでも活躍しワゴンブームもけん引した熱き時代の5代目を振り返る

2023.10.29 11:40
この記事をまとめると
■11代目アコードが来年日本での販売をスタートする予定だ
■1993年に登場した5代目アコードは3ナンバー化され、人気を博した
■レースの世界では無類の強さを発揮したほか、カスタムの世界でも人気のモデルだった
ホンダの名セダン「アコード」の5代目を振り返る
  スポーティなデザインと走り、高い環境性能を兼ね備えつつも、先代の10代目より海外でもセダンに一本化されたためか、「地味な親父セダン」というイメージが定着した感のあるホンダ・アコード。
  しかしながら、かつてはセダン以外にも、スタイリッシュなワゴンやクーペ(初代〜3代目はハッチバック)を展開。またセダンにパワフルなDOHC VTECエンジンとMTを搭載したスポーツグレードを設定するなど、クルマ好きの琴線に触れるモデルだったのだ。
  そのなかでも、個性的なデザインとモータースポーツでの活躍がいまなおホンダファンの記憶に残る、5代目(CD型)アコードについて振り返ってみたい。
  1993年9月にセダンから国内販売が開始された5代目アコードは、4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを3・4代目から引き継ぎつつも、全幅を4代目より65mmも広い1760mmへ拡大。トレッドもフロントを40mm広い1515mm、リヤも20mm広い1500mmとし、さらにフロントロールセンター高を下げ、リヤサスペンションロアアームのスパンを拡大、ボディやステアリングの剛性も高めることで、走りの基本性能の大幅な底上げを図っている。
  この全幅拡大に伴い、より若々しくスポーティなものへと進化したエクステリアデザインは、1982年よりほかの日本車に先駆けて現地生産が開始され、1992年には乗用車の日本車車名別販売台数1位を11年連続で達成するなど、すでに最重要市場となっていた北米のトレンドが色濃く反映されたものと言われている。
  だが日本でも、1989年4月の消費税導入に伴い物品税が廃止。自動車税の税制も改正され、同排気量・重量であれば3ナンバー車と5ナンバー車とで税制上の差がなくなったことも、3ナンバー化を大きく後押ししたことだろう。
  さらに、この全幅拡大は、室内空間の拡大にも貢献。室内幅は25mm、カップルディスタンスは20mm拡大しつつ、全高の20mm拡大(1410mm)と相まって前席のヘッドクリアランスも15mm増えている。
  そしてエンジンも、従来からの1.8リッターと2リッターを残しつつ、2.2リッターを中心に据えたラインアップ(いずれも直列4気筒)として上級・大排気量化。とりわけスポーティグレード「SiR」に搭載されたH22A型DOHC VTECエンジンは、最高出力190馬力/6800rpm、最大トルク21.0kgm/5500rpmを叩き出す、「エンジンのホンダ」の名に恥じない高回転高馬力型NAユニットだった。
  トランスミッションも、多くのグレードで4速ATのみとなるなかで、この「SiR」は5速MTも選択可能としたあたり、ホンダファンならずともニヤリとしてしまう心憎い差配と言えよう。
レースの世界で他者を寄せ付けないほどの大活躍!
  しかもこの「SiR」、シャシーも専用セッティングだ。スプリングとダンパーのチューニングを見直すとともに、スタビライザーをフロントは他グレードのφ27.2mm×t3.0mmからφ27.2mm×t4.0mmへ、リヤはφ15mmからφ16mmへとサイズアップ。さらにフロントスタビライザーには、インターリング入りのブッシュも採用している。
  ブレーキも、フロントベンチレーテッドディスク径を他グレードの14インチから15インチへと拡大。またリヤブレーキをドラムから14インチディスクへ変更するなど、大幅に強化した。
  加えて専用設定の205/55R15 87Vタイヤと、15×6JJの軽量アルミホイールを装着。のちの6・7代目に設定された「ユーロR」に通ずる本気度を感じずにはいられない。
  そして、この5代目アコードSiRをベースに排気量を2リッターにダウンしたマシンを、ホンダは1996年シーズンよりJTCC(全日本ツーリングカー選手権)へ投入。前身の5代目シビックフェリオが5ナンバーサイズの全幅の狭さや、スプリントレース向きではないB18C型エンジンの素性に苦しめられたのに対し、優に3ナンバーサイズとなりエンジンも一新され、開発体制も大幅に強化されたアコードは、投入直後から強さを発揮する。
  レギュレーション解釈の問題などさまざまな逆風に遭いながらも、1996年シーズンは服部尚貴選手、1997年シーズンは中子 修選手がシリーズチャンピオンを手にしたが、同年でホンダはJTCCへの参戦を終了した。
  その一方で、ワゴンとクーペは4代目に続いて(クーペは3代目も)アメリカ・オハイオ工場生産モデルを日本へ逆輸入する形で1994年2月に国内デビューするが、両モデルは使い勝手よりもスタイリッシュさを優先したパッケージング。
  エンジンはワゴン、クーペとも2.2リッターに絞られ、ワゴンは145馬力/5500rpm・20.2kgm/4500rpmのF22B型SOHC VTECのみ。クーペにはデビュー当初より日本専用にH22Aを搭載する「SiR」も用意され、ワゴンにも1996年9月から1997年10月までの間だけ設定されたが、トランスミッションはワゴン、クーペとも4速ATのみと、セダンよりも肩の力が抜けた雰囲気が商品構成からも醸し出されていた。
  だが、そんなアメリカンなキャラクターが、ドレスアップ系のクルマ好きを中心に人気を得る。とくにワゴンは、方向性こそ真逆なスポーツ路線であるが2代目スバル・レガシィツーリングワゴンとともに、当時のワゴンブームの火付け役となった。
  そんなアコードも、日本では2023年12月より先行予約が開始され、2024年春に発売予定の新型で早11代目。国内向けは9・10代目と変わらずハイブリッドのセダンのみとなる見込みだが、5代目のような強い個性と多彩な選択肢がいつの日か復活することを願ってやまない。

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