2.0L PHEVの上級フルサイズ ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗 本格派の走破性 前編

2023.06.01 00:00
公開 : 2023.05.30
オフローダーの代名詞、ジープのフルサイズSUVが英国へ上陸。少々高価なPHEV版の実力を、英国編集部が評価しました。
アメリカンなプレミアム・オフローダー
オフローダーの代名詞といえるジープだが、欧州のSUV市場で占めるシェアは非常に小さく、英国では0.3%ほどしかない。同社のクリスチャン・ムニエCEO自ら、事実上ブランドが存在しないに等しいとまで語っている。

もちろん、この状況を変えたいとジープは考えている。AUTOCARアワードを受賞した小さな電動SUV、アベンジャーはそれに貢献するだろう。だが、1モデルだけでは不充分。少しクラシカルな雰囲気を持つ、まったく新しいモデルも英国導入が決まった。
【画像】2.0L PHEVの上級フルサイズ ジープ・グランドチェロキー 競合サイズのSUVと比較 全140枚
それが、今回試乗したジープ・グランドチェロキー。全長が4914mm、全幅が1968mm、全高が1799mmもある、アメリカンなフルサイズのプレミアム・オフローダーだ。サイズ感でいえば、ランドローバー・ディスカバリーと同等といっていい。

ちなみに祖国の北米では、さらに長い7シーター版のグランドチェロキー Lも売られている。全長は5204mmもある。

英国へ導入されるのは通常ボディの5シーター版で、パワートレインの選択肢は1つ。2.0L直列4気筒ガソリン・ターボエンジンに駆動用モーターを組み合わせた、4xe(フォーバイイー)とよばれるプラグイン・ハイブリッド(PHEV)のみとなる。

トリムグレードも1択。北米ではトップグレードに相当する、サミット・リザーブしか選べない。英国価格が8万5615ポンド(約1378万円)からと、少々お高めな理由の1つにもなっている。
基礎骨格はジョルジオ・プラットフォーム
グランドチェロキーの基礎骨格をなすモノコックは、アルファ・ロメオのジョルジオ・プラットフォームがベース。同じステランティス・グループに属するSUV、アルファ・ロメオ・ステルヴィオや、マセラティ・グレカーレが採用することはご存知の通り。

非常に汎用性に優れた設計といえ、ミドルサイズ・サルーンのジュリアも、ジョルジオ・プラットフォームの上に成り立っている。グランドチェロキーは車重が2521kgある大きなSUVで、渡河性能は610mmもある。対応できるモデルの幅には驚かされる。
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)
このグランドチェロキーは、ジープらしく本格的なオフロード性能が大きな強み。エア・サスペンションが標準装備され、5段階に車高調整が可能。最低地上高を最大275mmまで高めることができる。

その場合、ボディが路面へ触れる角度は、フロント・オーバーハング側のアプローチ・アングルで28.2度。ホイールベース間のブレークオーバー・アングルが20.9度で、リア側のディパーチャ・アングルは30度となる。ディスカバリーとほぼ同値だ。

ちなみに、ジープが自ら評価する悪路の走破性を示す数値では、ショートボディのジープ・ラングラーが満点の10点。グランドチェロキーには、仕様に応じて6点〜7点が与えられているとのこと。
2.0L直列4気筒ターボ+2基の電気モーター
プラグイン・ハイブリッドのパワートレインは、273psと40.7kg-mを発揮する2.0L直列4気筒エンジンに、2基の電気モーターが組み合わされたもの。駆動用バッテリーは17.3kWhと、容量が比較的大きい。

136psと26.9kg-mを生み出す、メインの駆動用モーターは8速ATと一体になっている。マルチプレート・クラッチとギアの間に組み込まれているのがミソだ。
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)
EVモードを選択すると、モーターのみでグランドチェロキーを走らせることが可能。内燃エンジンで走行しているときと同様に、8速ATは変速されることが興味深い。オフロード用のローレシオを選ぶこともできる。

もう1基の電気モーターは、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)。39psと6.0kg-mを生成し、主に内燃エンジンが低回転域にある時に効果を発揮する。クルマが停止中でギアがニュートラルの場合、エンジンの回転を利用し発電もしてくれる。

駆動用バッテリーの急速充電能力は、最大7.2kWまで。EVモードでの航続距離は、アメリカ規格のEPA値で最長64km。CO2の排出量は、WLTP値で60g/kmに抑えられた。カタログ上の燃費は、38.5km/Lがうたわれる。

PHEVの常だが、この燃費はあくまでも理想値。駆動用バッテリーの充電が充分でない状態で普段使いすると、8.0km/L近くまで落ち込むと考えていいだろう。

この続きは後編にて。
記事に関わった人々
執筆:マット・プライヤー
英国編集部エディター・アト・ラージ

翻訳:中嶋健治
1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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