この記事をまとめると
■いま注目を集めている新型プリウス
■前回はトリビアpart.1としてグレードによる違いを解説した
■今回は荷室や安全装備、デザインなどにまつわるトリビアをお届け
先代から荷室容量は減ったものの使い勝手は向上!
今、大注目の新型プリウス。まるでスポーティカーのようなスタイリングを身につけ、19インチという大径タイヤが奢られたハイブリッドカーとして、動力性能、走行性能、燃費性能、そして先進運転支援機能などを飛躍的に向上させている。
ここでは、前回の新型プリウスのトリビアpart.1に続き、トリビアpart.2をお届けしたい。
まずは、新型プリウスのラゲッジルームについて。
先代はVDA方式による容量502リットル(FF/4WDは457リットル)、開口部地上高680mm、ラゲッジフロアとの段差100mm(4WDはフロアが上がっているため45mm)。フロア奥行890mm、フロア幅930~1370mm。ルーフ後端部分の天井高710mmとなっていた。
一方、新型は、VDA方式による容量410リットル(KINTO専用車のUグレードは422リットル)、開口部地上高730mm、ラゲッジフロアとの段差160mm。フロア奥行800mm、フロア幅1130~1160mm。ルーフ後端部分の天井高680mm(以上FF)。※すべて筆者の実測値
先代は「ゴルフバッグが4セット積めますよ」と説明されるほどの容量を誇っていたのだが、新型は容量そのものの減少に加え、バックドアの傾斜が強いこともあって、旅行用キャリーケース2個を積むことができるぐらいの積載性になっている(それでも十分なスペースだが)。
が、先代に対して改善!? されているところもある。先代は後席格納時のフロア長が1490mmあったものの、FF車ではラゲッジスペースと後席格納部分に80mm!! もの段差ができていた(4WDはラゲッジスペースのフロアが高まっているため段差は30mmに縮小)。これは使いにくい。
しかし新型は後席格納時のフロア長が1455mmに減少したものの、ラゲッジスペースと後席格納部分の段差、角度は小さく実用上、ほぼフラットスペースとなっているから、重い荷物をスルスル前方移動させるときなど便利になっている。なお、先代、新型ともに、ラゲッジスペースの床下収納はないに等しい……。
新型プリウスでは、ノア&ヴォクシーやシエンタなどに装備されているプロアクティブドライビングアシストが、KINTO専用車のUグレードを含め、全グレードにこれまた標準装備。ノア&ヴォクシーやシエンタの例では、トヨタセーフティセンスに含まれる先進の「プロアクティブドライビングアシスト=PDA」には歩行者が飛び出してくるかも知れない……といった危険を先読みする機能や、ACCの作動なしで先行車との車間距離を一定に保つための自動減速機能、カーブ手前での減速機能(速度が早すぎると判断した場合)まで備わるため、極めて安全に走れるのだが、新型プリウスでは、さらにトヨタ初の新機能が満載されているのである。たとえば、車線内走行常時操舵支援、右左折時減速支援などが初採用されているのだ。
で、トリビアだが、これまでのカーブ手前制御に加え、カーブでのステアリングアシスト制御が加わっていて、カーブで運転のしやすい制御が行われるのだが、その制御は弱・中・強の3段階が任意に選べるようになっている。全部を試してみて、好みの制御にセットするのが正解なのだが、じつはそのアシスト制御、工場出荷時にはOFFになっている。知らずにいるとその制御の恩恵が受けられない。制御が必要と思うならONにすることをお忘れなく……。
ハイブリッドとPHEVの差がなくなった!?
次なる雑学、トリビアは、ハイブリッドとPHV改めPHEVの細かな違いについて。先代の場合、PHVモデルはフロントフェンダーとリヤにPLUG-IN HYBRIDのエンブレムが付き、またリヤデザインは別物。タイヤも燃費スペシャルな15インチを履いていた。
ところが新型プリウスの場合、ハイブリッドとPHEVのエクステリアデザインはほぼ同じ。リヤから見ても判別は困難。何しろエンブレムもハイブリッドは●HEV、PHEVは●PHEVと、一文字しか違わないほぼ同じデザインだからだ。
わかりやすい違いは、19インチアルミホイールのデザインぐらいのものになっている。これだと、先代のようにPHVと一目で分かる、ハイブリッドと違うエクステリアデザインで優越感に浸っていた!? 人は、ちょっとガッカリかもしれない。
とはいえ、先代PHVから実用上で大きく進化した部分もある。たとえばラゲッジルーム。先代のPHVのバッテリーはラゲッジスペース床下にあった。しかも、開発途中でEV航続距離延長要求があったとされ、バッテリーが予定より大きくなったため、ラゲッジルームのフロアはハイブリッドモデルに比べて高くなり、開口部より高い位置にフロアがあるという不思議な仕立てになっていたのである。
が、新型はバッテリーを後席下に配置。運動性能に寄与するとともに、ハイブリッドとPHEVのラゲッジルームの仕立てがほぼ同じになったのである(当然、PHEVフロアが開口部に対して、先代PHVのように高くなることもない、どころか、開口部から下がったところにフロアがある)。
最後のトリビアは、ハイブリッドモデルとして2リッターと1.8リッター+2モーターの2種類の仕様が誕生した点について。開発陣によると、当初は攻めた!? 2リッターエンジンベースのハイブリッドのみのはずだった。が、営業サイドから、価格的に買いやすい1.8リッターモデルも追加してほしい……とのリクエストがあったとのこと。
で、2リッターと1.8リッターモデルでは別々のチームで開発をスタート。その時点では、どちらも一般販売の予定だったらしい。1.8リッターモデルがサブスクのKINTO専用車となったのは、かなりあとになって決まったというのだ。つまり、結果的にKINTO専用車となった1.8リッターモデルも、一般販売前提で開発をスタートしたということ。両モデルで、開発にかけるエネルギーはまったく変わらないのである。