若者のクルマ離れは本当! だが原因は「興味がない」のではなく「所有する余裕がない」だった

2022.12.06 17:20
この記事をまとめると
■「若者のクルマ離れ」が叫ばれるようになって久しい
■なぜこのようなイメージが定着してしまったのか?
■考えられる4つの理由を挙げて解説する
「若者のクルマ離れ」というイメージが定着
  若者のクルマ離れが叫ばれるようになってからどれほど時間が経過したでしょうか。
  もしかしたら当時は若者だったけれど、いまやおじさん・おばさんに片足を突っ込んでいても不思議ではないほど世代交代が進んでいるようにも感じられます。
  ソニー損保が毎年年明けに発表している「新成人のカーライフ意識調査(2022年版)」によると、1,000名の有効回答のうち「若者の車離れとは自分自身のことだと思う」と答えた割合は35.7%にも達します。
  では、なぜこれほど「若者のクルマ離れ」というイメージが定着してしまったのか? その理由を考察してみました。
「欲しいけれどクルマが買えない」という事実
  ソニー損保の調査結果によると、新成人の方がカーライフに必要だと思う手取りの月収額は平均24.0万円。しかし、実際にかけられる金額は1カ月あたり平均15,910円。この結果は2021年から963円増加しているとはいえ、ガソリン代や高速代、駐車場代や保険代などであっという間に消えてしまうか、それこそマイナスになりかねない金額です。さらに、クルマを所有する経済的な余裕がないという割合は61.1%という結果に。
  手取りで月収24万円となると、総支給額が約30万円は必要になってきます。企業や業種にもよりますが、20代前半でこの給与を手にするにはなかなか大変かもしれません。ただ副業を認める企業であれば、本人のアイディアと頑張り次第でカバーできる可能性はありそうですが……。「本当は欲しいけれど買えない」という若い世代の方も少なからずいるのです。
車両価格の上昇
  安全装備等の拡充や原材料の高騰といったさまざまな理由がある以上は仕方ないものの、ひと昔より新車の車両本体価格が上昇していることは紛れもない事実。いま、ホンダN-BOXを新車で購入しようとして、あれこれオプション装備を追加すれば、あっという間にコミコミで200万円オーバーです。
  さらには新車の納期長期化による中古車の店頭価格、そして海外需要の高まりによる旧車・ネオクラシックカーの相場も上昇が続いています。こうなると若い世代の方が「いったい何を買えばいいんだよ!」とブチ切れたくなるのも無理はありません。
  冒頭のソニー損保の調査結果によると、「メーカーにもっと若者向けのクルマを作ってほしい」と答えた割合が40.6%にも達します。この際、所有することに執着せず、諸経費コミコミのサブスクリプションサービスを利用して、手の届く範囲のクルマを探すという手もありそうです。
クルマの購入を諦めざるを得ないケースも
ローンが組みにくくなっている
  かつて、新社会人になってからわずか数カ月で新車のユーノスロードスターを購入したとか、フルローンで新車のRX-7(FD3S)を購入したといった武勇伝を耳にしたお父さん・お母さん世代も多いはず。なかには「じつは経験者」という方もいるのでは……?
  最近は若い世代の方のローンが組みにくくなっているようです。そのため、どうしてもローンを組む必要がある場合は親御さんに保証人になってもらったり、親ローンでいったん立て替えてもらったり……。仕方なく親頼みにならざるを得ないケースもしばしばです。
  ローンが組みにくくなっている理由はいろいろあり、お父さん・お母さん世代が若いときに支払いを滞らせたことも一因としてあるようです。それと、意外に多いのが学生時代に携帯電話やスマートフォンの分割払いを遅延させたケース。これは要注意です。万一、遅延してしまった場合、即対応はもちろんのこと「どれほど遅くとも当月以内に必ず対応」が重要です。たった1度のお手つきで、クルマのローンはもちろんのこと、住宅ローンが組めない事態になりかねません。
マスメディア側の報道の問題
  大人になれば、大なり小なり「忖度」という対応を嫌が応にも知ることとなります。いわゆる「大人の事情」というやつです。しかし、これが極端になってしまうと、情報操作や偏向報道になりかねません。
  活字のマジック、テレビやYouTuberなど……。見せ方や伝え方次第で「もっともらしく聞こえてしまう」ところがメジャーなメディアから発信される影響力の大きさであり、怖さです。
  偏った情報を発信するな! という声が聞こえてきそうですが、最終的には自分自身の判断で正否を見極める必要があると感じています。
まとめ:クルマに興味がないのではなく、欲しくても買えないのではないか?
  若者のクルマ離れの現実と真相について筆者なりに考察した結果、「クルマに興味がないのではなく、欲しくても買えないのではないか?」という結論にたどり着きました。
  ちょっと無理をすれば手が届くという存在ではなく、もはや手が届かないから諦めるしかない……といった若い世代のほうが多いのかもしれません。
  これまで、憧れを現実にしてきた若い世代の方たちを取材する機会がこれまで何度もありました。詳しく話を伺ってみたところ、仕事中のランチは弁当を持参したり、毎月の予算を決めて、そのなかでドライブや各種イベントを楽しんだり……。お金を使うところと抑えるところのメリハリが利いているのです。
  さらには「若者のクルマ離れ」が叫ばれていることに危機感を抱き、自ら行動を起こし、イベントを企画したり、YouTubeやSNSなどでクルマの魅力を発信している若い世代の方たちもいます。
  ノースリーブの赤い制服を身に纏い、サングラスを掛けたとある軍人の言葉を引用すると「新しい時代を創るのは老人ではない!」ことは確か。せめて、おじさん・おばさん世代は足を引っ張ることなく応援したいものです。

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