ラリージャパンの足もとを支えた「ピレリ」! 持ち込む本数も技術力も想像の斜め上だった

2022.12.06 10:00
この記事をまとめると
■15年ぶりに日本でWRCが開催された
■WRCは世界最高峰のラリー
■現在タイヤはイタリアのピレリがワンメイク供給している
ラリージャパンは愛知県を中心に開催されて地元トヨタも活躍
  世界ラリー選手権(WRC)が15年ぶりに日本で開催されました。WRCはかつてスバルと三菱が参戦し熱い戦いを繰り広げていたラリーの最高峰です。過去にはスバルと三菱のほか、トヨタ、日産、スズキ、ダイハツ、マツダ、いすゞも参戦していました。
  2017年からはトヨタがヤリスWRCでWRCに復帰を果たし、2018年、2021年にマニファクチャラーチャンピオンに輝き、ドライバー部門では2019年から3年連続でトヨタドライバーがドライバーズチャンピオンを獲得と、WRCシーンではすでにトヨタは最強のマニファクチャラーとして世界に勇名を轟かせています。
  そんな今年2022シーズン、ついにWRCに日本ラウンド=ラリージャパンが復活しました。場所はトヨタのお膝元である愛知県豊田市の豊田スタジアムを拠点に、愛知県と岐阜県の山岳エリアを使ったターマック(舗装路)ステージ。
  しかも、WRCのトップカテゴリーであるrally1にレギュラー参戦を果たしている日本人ドライバー勝田貴元選手が3位入賞の快挙を達成。WRCファンならずとも勝田選手の活躍に沸き立ちました。
  ちなみに結果は、トヨタが2022年シーズンの2年連続6度目(GRヤリスで3度目)のマニファクチャラーズチャンピオンを決めています。ラリージャパンのリザルトは、1位がヒョンデのティエリー・ニュービル選手、2位ヒョンデ、オット・タナック選手、3位トヨタ、勝田貴元選手でした。
  さて、そんなWRCですが、ここではWRCに装着されているラリータイヤにフォーカスを当て、いまどんなタイヤが使われているのかリポートしてみたいと思います。
  2021年シーズンからWRCのトップカテゴリーとなるrally1、rally2と呼ばれる上位カテゴリーでピレリが公式サプライヤーとなりコントロールタイヤを供給しています。
■タイヤは何本用意しているの?
  ピレリはラリージャパンのrally1用に710本、他の4WDカテゴリー(rally2、rally3)向けに640本のタイヤを用意しています。モータースポーツ用タイヤを製造しているピレリのタイヤ工場はルーマニアとトルコにあり、ルーマニアがF1、トルコがWRCおよびGTを製造しています。ラリージャパン用として7月に製造し船積みしたそうです。
  タイヤの内訳は、Rally1はレギュレーションで1台につきシェイクダウン用の4本を含め26本までと決められています。1チームにつき、ハードコンパウンドのP Zero RA WRC HA28本、ソフトコンパウンドのP Zero RA WRCSA22本、ハードウエット用にチンチュラートRWB12本が用意されています。
  Rally2、rally3用には、ソフトコンパウンドのP Zero RA7+とP ZeroRA+Bを26本、ハードコンパウンドのP Zero RA5を20本、ハードウエット用としてチンチュラートRWBとチンチュラートRW1が12本供給されました。
なぜピレリはF1とWRCにタイヤを供給しているのか?
  モータースポーツシーンにおけるピレリは、サーキットレースの世界最高峰であるF1、ストリート協議の最高峰であるWRCの両方で単独タイヤサプライヤーとして活動しています。毎レースごとに進化する車両に合わせてタイヤを進化させ、あるいは安定した性能のタイヤを供給することの労力は生半可な苦労ではないでしょう。にもかかわらず、なぜピレリはモータースポーツのトップカテゴリーにタイヤを供給し続けているのでしょうか。
  2022年のラリー車両の特徴は、rally1にハイブリッドユニットが導入されたことです。このほかアクティブセンターデフの禁止なども行われていますが、これらはACTIVEセンターデフがOKだったときと比べると曲がりにくいと言われており、タイヤにとっては負担が大きな変更になっています。ちなみにrally1は1.6リッター直噴ガソリンターボエンジンを搭載します。リストラクターによって吸気量を制限されていて、出力はおよそ380馬力前後を発揮すると言われています。これに100kw/180Nmのモーターを搭載するハイブリッドシステムが組み合わされシステム出力は500馬力以上/500Nm以上を発揮します。
  市販車では18インチどころか20インチオーバーのタイヤまで純正サイズとして登場しています。タイヤの厚みがどんどん薄くなっている現在、競技車両も同様の変化が求められており、ラリー用18インチタイヤの採用や、F1の18インチは、エアボリュームの減少にまつわるタイヤ開発の難しさはあるものの、レースや競技で得られたノウハウのフィードバックがイメージしやすいものになっています。
  ピレリのラリーアクティビティマネージャーであるテレンツィオ・テストーニ氏は、「レースはピレリにとってもっとも重要な研究開発ツールであり、レースとロードをつなぐ“旅する研究所”であり、プロセスや素材に関する情報がノンストップで流れ、常に進化を続けています」、とコメントしています。
  今回持ち込んだ1300本超のタイヤを取ってみても、rally1用のソフトとハードコンパウンドが日本の気候やコースに合わせたコンパウンドであるのは当然のこと、rally2用として持ち込んだタイヤも、ハードコンパウンドのP Zero RA5は12戦のラリーカタルーニャ(ラリースペイン)でデビューした新型コンパウンドであり、ソフトコンパウンドのP Zero RA7+Bは、RA7→RA 7+→RA7+A→RA7+Bと3度のバージョンアップが図られ、日本ラウンド用にバージョンアップしたコンパウンドとなっています。
  文字どおり休むことなく日々進化しているわけです。今回のラリージャパンでは、全開走行するSSステージが山中の林道だけでなく村の中にも設定されていて、軒先をかすめ猛烈な速さで駆け抜けていくラリー車を見ることができました。ふと足元を見れば、紅く色づいた落ち葉が雨に濡れ路面を覆っています。そんな私たちが日常的に使っている路面を、猛然と駆けていくラリー車の迫力、ドライバーのテクニック、そしてそれらすべてを受け止めパワーを路面に擦り付けるようにグリップするタイヤの性能に改めて驚かされました。

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