この記事をまとめると
■自動車メーカー各社の歴代コーナリングマシンを紹介
■ユーザーを選ぶほどのピーキーすぎるマシンも多くあった
■ロードスターは初代から現行モデルに至るまでコーナリング性能にこだわっている
自動車メーカー各社の名コーナリングマシンを探せ!
操縦性とスタビリティは、本来相反する要素だが、やっぱりよく曲がるクルマは面白い。スポーツドライビングの醍醐味は、コーナーを駆け抜ける爽快感で、ステアリングをドライバーが積極的に切っていくこのフィーリングが面白い。ステアリングを切っても曲がらないクルマ、アンダーステアの強いクルマは、結局アクセルをなかなか踏めないし、ワクワクしない。
というわけで国産各社のしっかり曲がって、コーナーでワクワクできるクルマをピックアップしてみよう。
トヨタ
トヨタの場合、今のGR86もコーナリングマシンといえばコーナリングマシンだが、ひと昔前だと、MR-Sなどは、速いクルマではなかったが、ミッドシップらしく軽快なアジリティでコーナリングマシンといえた。
また70スープラの2.5GTツインターボRも、FRらしいコントロール性の良さがウリで、イメージどおりのコーナリングができた1台と記憶している。
ホンダ
ホンダはハンドリングに関しては攻めきったクルマが多い。その筆頭は初代NSX。オールアルミボディで軽量化と高剛性を達成し、電子制御やハイテクに頼らず、ダブルウイッシュボーンサスを丁寧に仕上げて、接地性変化が少なく、切れがよく、コントローラブルで、懐の深いハンドリングを実現。シャシー性能の高さは当時世界中のメーカーに大きな影響を与えた。
FFのハンドリングの歴史を変えたという意味では、インテグラタイプR(DC2)も画期的だったし、ビートも素直で面白かった。S2000も文句なしに曲がったが、その分ややピーキーで万人向けではなかったかもしれない。
日本の自動車メーカーのラインアップはFRマシンで溢れていた
日産
日産のFR車は名車が多く、R32、R33、R34スカイラインのFRモデル、GTS-tタイプMやGTS-25t、25GTのクーペはどれもなかなかレベルの高いコーナリングマシンだった。
S15シルビアやZ33、Z34などもポテンシャルが高いが、ノーマルではちょっと物足りない……。とくにシルビアはチューニングでの伸び代が大きく、日産車はチューニングとセットでコーナリングマシンという位置づけのクルマが多い。また日産のFRスポーツは、パワーもある一方で車重もそこそこあるので、ドラテク鍛錬車としても向いている。
マツダ
もしかすると、マツダが一番コーナリング性能にこだわっているメーカーかもしれない。
まず歴代ロードスター。ロードスターはコンパクトFRのセオリーどおりに作られたクルマで、操縦性は極めて素直。ドライビングの良し悪しがそのままクルマの動きに現れ、よく曲がるが限界域は穏やか。ビギナーから上級者までストレスなく乗れるのが最大の長所。
RX-7もFDなどは「世界中のどんなサーキットでもインからライバルを刺せるハンドリングを目指した」とされ、ピーキーと言われても「曲がる」ことには妥協しなかった。
その点、FDの後継車ともいえるRX-8は、FDにはなかった直進安定性と、コーナリングパワーとコーナリングフォースを両立。希代のコーナリングマシンに仕上がっていたので、これは高く評価しておきたい。
その他、三菱のランエボ、とくにエボⅨもMRなどは、スーパーAYC、ACD、スポーツABSなどのハイテクを満載。電子制御のロジックを理解し、それを上手く手なずけられると、他車とは違う異次元のコーナリング性能を発揮した(ただし、好き嫌いは分かれるところ)。
いずれにせよ、すべてのクルマ、とくにスポーツカーは“シャシーはエンジンより速く”というのが、面白いクルマの鉄則。もちろん何をやっても破綻しそうもない、安定感だらけのクルマではワクワク、ドキドキできないが、操作に忠実で、レスポンスがよく、インフォメーションが豊かで、限界域が広い……。そんなコーナリングマシンなら、10年経っても20年経っても30年経っても色褪せないので、そうしたクルマがどんどん出てきてほしいものだ。