クセは強いが走りは繊細 ジープ「グラディエーター ルビコン」の意外な個性

2022.08.31 17:01
このクルマでクラブハウスの車寄せに乗りつけたらおもしろいのではないか?そんなことを思わせてくれるのが、ジープ「グラディエーター ルビコン」だ。一言で説明すると、ジープ「ラングラー」のピックアップトラック版。本格的な悪路走破性能とネイキッドなスタイリングで人気を集めるラングラーは、日本での年間販売台数が7000台以上と、本国のアメリカも驚くほど売れている。<関連記事>ライバル勢の脅威になりうる理由 ジープ「グランドチェロキーLサミットリザーブ」
ラングラーのホイールベース(前後の車輪の間隔)を480mm、全長を730mm伸ばして荷台を加えたのがこのグラディエーターというモデル。「荷台」と書いたけれど、「ベッド」と呼んだほうが本場アメリカのピックアップトラックっぽいので、以下ベッドと表記したい。
「さすがにピックアップトラックのベッドに大事なキャディバッグは載せられないでしょ」と思われるかもしれない。けれども心配ご無用。ハード、ソフト、ロールアップタイプのトノカバー3種類がオプションで用意されている。ちなみにベッドサイズは、奥行き1531mm、横幅1442mmとたっぷりある。クラブハウスの車寄せでベッドからキャディバッグを下ろすシーンを想像すると、思わず笑ってしまいそうになる。
グラディエーターを検討する時に、いくつか気をつけておきたいことをアドバイスしたい。まず、ボディサイズがかなり大きいので、駐車場選びに困ることだ。全長5600mmで、アメリカでフルサイズと呼ばれるピックアップトラックのフォード「F150」やトヨタ「タンドラ」よりはやや小さいけれど、それでも日本で見かけるビッグサイズのキャデラック「エスカレード」より200mmも長い。しかもホイールベースが3490mmもあるから、小回りが利かない。現行のメルセデス・ベンツ「Sクラス」ロングのホイールベース3216mmを思い浮かべれば、どれだけ長いかが想像できるだろう。
次に、乗り心地とハンドリングのクセが強いことだ。その理由は、昔ながらのオフロード4駆のボディ構造を採用しているから。屈強なはしご型のフレームに、サスペンションが直接取り付けられているボディ構造を「ラダーフレーム構造」と呼ぶ。悪路に強く、耐久性に優れ、ボディが破損してもフレームが被害を受けていなければ、そのまま走り続けることができるタフな構造となっている。シャシーとボディが一体化されているモノコック構造に比べると、ゴツゴツとした乗り心地で、ハンドルを切り0.8秒ぐらい経ってから曲がりはじめるような感覚がある。最近のモノコック構造のSUVに慣れた方には、グラディエーターの“クセ”が気になるかもしれない。
その一方で、パワートレーンは意外と繊細だ。排気量3.6リッター・V型6気筒ガソリンNA(自然吸気)エンジンは、アクセルペダルの微妙なオンとオフにもきちんと反応する。トルクコンバーター式の8段ATは変速時のショックも小さく、滑らかな走行感覚をもたらしてくれる。実はタフなオフローダーこそ、繊細なパワートレーンが必要。岩場や泥濘地では、丁寧なアクセルワークに対応できないと、命に関わるからだ。
そして普通貨物自動車として1ナンバーの登録となることも知っておきたい。自動車税や重量税は、普通乗用車よりも減額となるが、保険料や高速料金は割高となる。さらに、新車登録から初回の車検は2年間で、以降は毎年受ける必要がある。
ヘビーデューティな足まわりに、丁寧に練られたパワートレーンを組み合わせたグラディエーター。価格は920万円で、2000万越えのスーパーSUVと比べても存在感は上回るかもしれない。弱点はあるけれど魅力も大きいSUVだ。
ジープ グラディエーター ルビコン   車両本体価格: 920万円(税込)ボディサイズ | 全長 5600 X 全幅 1930 X 全高 1850 mmホイールベース | 3490 mm車両重量 | 2280 kgエンジン | V型6気筒 DOHC排気量 | 3604 cc変速機 | 8速 AT最高出力 | 284 ps(209 kW) / 6400 rpm最大トルク | 347 N・m / 4100 rpm
Text : Takeshi Sato

あわせて読みたい

WR-Vはヤリスクロスより後席が広い!! しかもCX-30より安い! 敵なし状態のWR-Vは登場を待つべきなの?
ベストカーWeb
静粛性と質感が向上 日産「GT-R T-spec」は熟成し尽くしたのか?
BRUDER
世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」が追い求める「人の可能性」
antenna*
走行安定性も小回りも利くCX-60!! 価格帯もほぼ同じ……なのに未だCX-5の方が売れるワケ
ベストカーWeb
3月発売予定だったのに……夏へ延期ってマジか!! クラウンエステートに「待って買う」価値はあるのか!?
ベストカーWeb
新TVCM「アニメとススメ!」篇放送開始
antenna
遺産にインスパイアされた一台! ジープ×モパー・コンセプトの新型4×4の4台、「イースター・ジープ・サファリ」でトレイルを疾走
CARSMEET WEB
Adventurous Getaway!〈ジープ〉ラングラーがあれば、大自然が遊び場! 冒険心をかきたてる本格オフローダー!
Safari Online
“運動×栄養×睡眠で子どもの可能性を最大限に引き出す”がコンセプトのアイテムをリリース!
PR TIMES Topics
乗ったら絶好調の理由がわかった! 三菱トライトンが目標の8倍も売れるワケ
WEB CARTOP
マセラティの最新SUVが見せた完成度「グレカーレ トロフェオ」 
BRUDER
限界に挑戦し続ける姿勢とサステナブルな価値観。ヨットレース「アメリカズカップ」に世界が熱視線を送る理由
antenna*
【スクープ】5ドアの国内導入もまだだけど……、スズキ「ジムニーピックアップトラック」は登場するか!? その市販型を大予想!
CARSMEET WEB
いま登場すれば間違いなく大ヒット! パジェロの派生車が改めて見ると魅力的すぎた
WEB CARTOP
グラノーラとテキスタイルフラワー「母の日ギフトセット」
PR TIMES Topics
基本骨格はほぼ同じ……なのにハリアーがクラウンスポーツに一体感が劣るワケって? トヨタのプレミアムSUVを直接比較
ベストカーWeb
ワイルドに行こうぜ!! 男なら一度は憧れるピックアップトラックがある日常ってどんなもんよ!?
ベストカーWeb
蜜柑”せとか”使用した涼感のあるスイーツ「ちとせのわらび餅せとか」登場
PR TIMES Topics
ランクル250は過酷なほど本領発揮!? 登場予定のランドクルーザーFJも負けてない!! 硬派なクルマたち14選
ベストカーWeb
人気殺到間違いなし! カローラクロスサイズのランクル爆誕!! ランドクルーザーFJは400万円切りで登場か?
ベストカーWeb
限界に挑戦し続ける姿勢とサステナブルな価値観。ヨットレース「アメリカズカップ」に世界が熱視線を送る理由
antenna*