そろそろ知っとかないとヤバいEV時代の用語! 「V2L」「V2H」ときて「V2G」も出てきた「V2X」の世界

2022.07.28 17:20
この記事をまとめると
■EVに関して、「V2L」、「V2H」という用語がある
■最近、「V2G」も聞かれるようになった
■それぞれの意味について解説する
「V2L」、「V2H」、「V2G」の意味を解説!
  よく、「EV(電気自動車)は単なる移動手段ではない」と言われます。その理由として、すでにみなさんがよく知っている「V2L」「V2H」があると思いますが、近ごろ新たに「V2G」というワードを聞くようになりました。果たして、V2Gとはなんなのでしょうか? 順を追って解説したいと思います。
  まず、EVオーナーであればすでに活用している人も多く、EVに興味を持つ人が魅力的に感じることが多いのが、いつでもどこでも1500W程度の外部給電が可能なこと。EVさえあれば、そしてバッテリーに余裕があれば、どこでも電子レンジや電気ポットなどの電化製品が使えるので、ドライブ先ではクルマが電源となって、楽しみ方が広がります。これは、あらかじめコンセントが装備されているEVもあれば、専用のアダプターを充電口などに装着することで、コンセントとして使えるようになるEVもあります。これを「V2L(Vehicle to Load)」と呼んでいます。
  次に、EVを災害など「非常時の備え」として購入したり、自宅で太陽光発電を設置している場合の余剰電力を貯め、必要な時に使うための蓄電池として購入する人も増えています。これは「V2H(Vehicle to Home)」と言って、専用機器を介することで、自宅とEVとで電力を相互に行き来させることができるようにするシステム。このV2Hのメリットは大きく4つあり、1つ目は一般的な家庭用蓄電池と比べて、電池容量が大きいので長時間の電気使用が可能となること。一般的な家庭用蓄電池は5〜12kWh程度なのですが、EVなら軽自動車のサクラ/ekクロスEVでも20kWhあり、アリアなら91kWhにもなります。日常的にはそれほどの大容量は必要なくても、万が一の停電や災害時などには、長く持つ方が安心ですね。
  2つ目のメリットは、電力のピークシフトやピークカットが可能となること。これは自宅に太陽光発電を設置している人はもちろん、設置していなくても、電気料金が割安になる深夜にEVに充電しておいて、昼間はEVを電源として家庭の電化製品を動かすことができるのです。太陽光発電はどうしても昼間の発電が多くなりますが、使いきれない分をEVに貯めておいて、必要な時に使うことができるようになります。最近は電力がひっ迫しており、朝や夕方の最も電気を使いたい時間帯に停電したりする不安もありますので、これは助かりますね。
「V2G」は「Vehicle to Grid」の略
  3つ目のメリットは、やはり賢い使い方ができるようになることで、電気料金の節約に貢献できることです。単純計算ですが、たとえば東京電力エナジーパートナーの「スマートライフS/L」では、午前1時〜午前6時までの時間帯はそれ以外の時間帯より1kWhあたりの電気料金が8.1円お得。毎日、40kWh分をピークシフトして使ったとすると、その差は1日あたり324円、30日で9720円、1年で約11万6640円にもなるのです。
  4つ目のメリットは、EVへの充電時間が短くなること。バッテリー容量が大きくなるほど、自宅に設置している普通充電(100V、200V)での充電時間は長くなるものですが、V2Hを使うことでその時間を約半分に減らすことができます。40kWhの日産リーフを例にすると、200Vで出力3kWの普通充電だと約13時間かかりますが、V2Hなら約7時間で完了することになります。これも嬉しいですね。
  さて、ここからが本題なのですが、「V2G」とはなんなのか。これは先ほどご紹介したV2Hの2つ目のメリット、電力のピークシフト/ピークカットを家庭だけでなく、もっと壮大な規模でやってみようという試み。具体的には、家庭や工場などに設置されている太陽光発電などの再生可能エネルギー発電と、EVの蓄電池などをネットワークでつなぎ、電気を充放電することで、あたかも1つの発電所のように機能させることです。V2GとはVehicle to Gridのことで、EVやPHEVのバッテリーに充電した電力を電力系統に供給し、EVをエネルギー供給のためのインフラとして活用する技術を指しています。今後、再生可能エネルギーの導入が進むと、天候などに左右されるため出力が不安定になりやすいのですが、V2Gによって電力供給の安定性を高めることにもつながり、注目されています。
  この実証実験は世界的に行われており、日本では2018年頃から大規模な取り組みが行われてきました。EVのバッテリー状況と発電状況を照らし合わせて、制御指令を出して充電や電力系統への放電がスムースにいくのか、実際にEVと電力系統の間で双方向の電力融通への効果があるのか、といったさまざまな検証が行われており、現在では技術的にはほぼ問題ないと言われ、ビジネスモデルとしての構築と事業化を検討する段階にきているとのこと。2022年9月からは、スイスの大手カーシェアリング企業モビリティ社を中心に、カーシェアリング車両を使ったV2Gの実証が行われる予定で、ホンダがHonda eで参画するとの発表もありました。
  また日本では、シェアEVと蓄電池を中心とするセントラル蓄配電システムによる住戸地区「V2G-site」が、さいたま市で本格稼働。125kWhの蓄電池、40kWhのEV2台、受変電盤、PCS(制御系)からなるチャージエリアがあり、ここが電力系統の中心として各住戸とつながっているという、画期的な住戸地区となっています。こうした、V2Gを活用した新しい取り組みは、今後もっともっと広がっていくことが予想されます。
  ちなみにこれまで登場したV2L、V2H、V2Gをまとめて「V2X(Vehicle to Everything)」と呼び、ほかにV2B(Vehicle to Building)」などもよく使われています。どんどん広がるEVの世界。これからも、注目したいですね。

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