「天災を天財に」漂着軽石から新たな琉球ガラスを生み出す!

2022.06.11 18:00
沖縄の海岸に大量に漂着した軽石は海を生業の場にする人々に大きなダメージを与えました。漂着した軽石を沖縄の伝統工芸である「琉球ガラスの原料」として利用するために、必要な設備などを購入したいです。軽石を価値あるものに変え、その利益の一部を軽石で被害にあわれた方々に還元できればと思っています。
**はじめに**

沖縄で琉球ガラスを制作しております松本栄と申します。うるま市で「再生ガラス工房てとてと」を営んでおります。
2021年10月
沖縄の港や海岸に大量の軽石が漂着しました。原因は1300km離れた
小笠原諸島「福徳岡の場」の海底火山噴火でした。


直後には軽石を餌と間違い食べた養殖魚や亀の映像など、ショッキングな様子が日々ニュースに上がっていました。港を埋め尽くし船も出せず途方に暮れる漁師。潮の満ち引きで河口から内陸まで流れ込む灰色の軽石。しかしTVを見ていても、地元沖縄のことなのに起きている出来事に現実感がなく遠くの出来事のような気がしていました。


やがて軽石は毎日出勤の際に眺める恩納村の海にも押し寄せてきました。何度も泳いだ海岸に白い帯が近寄り、打ち上げられるとそれは灰色に砂浜を覆いつくしました。潮の流れ風向きで毎日軽石は現れては消え、消えては押し寄せて砂浜を埋め尽くしていきました。


・実際に自分の目で軽石を見に行ったのは、漂着から一か月ほど経った11月末読谷村長浜海岸でした。



その名の通り長い砂浜がすべて軽石で埋め尽くされ、波打ち際が消えていました。本来浅瀬の海中に立っている「アーサ(あおさ)」の養殖用の杭が墓標の様に軽石に埋もれていました。


驚くべき光景に天災への畏れと、不謹慎ではありますが自然の美しさを感じていました。
軽石からガラスが作れることは知識として知っており、いつか実験でもと思いサンプルを拾いに来たつもりでしたが、この光景を見た瞬間から


「これを天災で終わらせてはいけない!自然からの贈り物として受け取らなくては!」


と強く思いました。そこで急いで軽石をガラスにする方法を調べ、実践していきました。




**軽石ガラスの作り方**
まず軽石を砕いていきます。
ステンレスの筒に入れて重いステン棒でゴツゴツゴツゴツ。




砕きやすい軽石とは言え、パウダー状にするにはかなりたいへんです。
砕いた軽石をふるいにかけ小麦粉くらいの細かさまで粒をそろえます。
それを水に沈殿させ、二日間塩抜きします。(塩分が入っているとガラスを溶かす坩堝が痛みます)
そこに重曹と生石灰を加えて良くかき混ぜ、もう一度ふるいにかけムラがないようにします。
1300度の炉の中に投入。
三時間後に1150度まで下げ
翌日1230度まで上げて巻き取ってみました。
・・・・・・・!
実験成功です!
出来上がったガラスの色は深いモスグリーン!まるで海藻のような色です。
琉球ガラスの職について27年、まさか自分でガラスの原料を作ることができるとは!


海底火山の噴火に始まって、軽石の漂着からガラスが出来上がるまで、今現在に生きていることで初めて成し得た奇跡的なことだと思いました。
2022年は年明けから軽石のガラスを溶解し、いくつか作品を作ることに成功しました。




 **「天災を天財に!」**
出来上がったガラスを眺めながら、、、


「天災」から生まれた厄介者を、天から与えられた「天財」に生まれ変わらせることで、海の人々が受けた被害を陸の人間が利益にして還元する。
そうすることで社会全体で天災の被害をうけとめることができるのではないか


と考えました!






・沖縄県の伝統工芸「琉球ガラス」


僕は長年ガラス作りを生業としています。
しかし、ガラスの原料を自分で作るなど考えたこともありませんでした。


もしも沖縄に漂着した軽石で琉球ガラスを作ることが出来たら
もしも自分の手でガラスの原料を作ることが出来たら
手作りガラスとして唯一無二の個性を得ることが出来るのではないか
琉球ガラスの新しい個性として強くアピールすることが出来るのではないかと思いました。


現状では軽石を直接買い取ることは難しいですが、琉球ガラスにすることで売り上げから被害にあわれた方々に支援金を届けることができれば!と思っております。


・軽石をもらい受けてきました!
四月現在、沖縄本島中部では海岸線の軽石がどんどん回収されています。
各自治体が収集された軽石を漁港などに集積させて、必要な自治体住民に配布しているのです。
無くなる前に!と慌てて自治体に問い合わせ、申請を行い、集積地になっている漁港へ。
トラックをレンタルし、大型免許を持つガラスの仲間にお願いし無事トン袋4袋分の軽石をもらい受けてきました。

漁業関係者や海を生業の場にされている方にとっては、本当に憎たらしい存在だった軽石ですが、陸のほうではいろいろと利用法があるようです。
立ち会っていただいた漁協の組合長さんによるともらい受けられた方々は
・農地
・水耕栽培
・養鶏場
・コンクリートに混ぜる
等々。「損してるのは漁師だけさー」って苦笑いされていました。

ガラスにしてたくさん売って被害を受けた方々に還元できるように頑張ります!





    **軽石を原料にして
  琉球ガラスを作る際の課題**




1.設備
バケツ一杯の軽石を人力で粉にするのに8時間・・・何はともあれ軽石を砕き粉をふるうために
・粉砕機(3万~数十万)
・電動粉ふるい機(3万~数十万)
が必要です。
機械化しない限り軽石ガラスで採算が取れることはないでしょう。
目標としては1日で20キロぐらいの原料が作れるような設備にしたいです。


2.軽石ガラスの安全性や組成の調査


軽石のガラスの原料が作れても、自分一人では使う量も作れる物も限られています。
せっかく「琉球ガラス」という業界があるのだから、その仲間たちにもガラスの原料として使ってもらいたい!そのためには


・工芸用ガラスと膨張率を合わせるための試験
・軽石ガラスの組成調査
・安全性の確認


再生ガラス工房てとてとではリサイクルガラスを使って琉球ガラスを制作しています。
琉球ガラスというと「戦後物の無い時代にアメリカ軍からでた廃瓶を利用して作られた」ということが良く知られています。
そのことから現在も廃瓶をリサイクルして作っているという印象を持たれている方も多いと思いますが、実は安定的に原料を手に入れる事と表現の幅を広げる事のために「工芸ガラス」用の原料を使って制作している工房のほうが多いのです。
そこで「工芸ガラス」と膨張率を合わせることができれば、より多くの工房に軽石ガラスを使ってもらうことが出来ます。
先輩の工房で実験してもらった結果。
表面につけた物は剥がれそうですが、透明のガラスで挟んだものは割れずに使えそうとのことでした!
こちらは軽石ガラスに興味を持たれて、実験してみたいとおっしゃて頂いた作家さんのテストです。


表面につけたり、土台として薄く広げたり。この実験でも透明のガラスに挟んで作ったものだけが割れずに残ったとのことでした!
こうして協力してくれる仲間の力を借りて成分の調整を行い、「工芸ガラス」と軽石ガラスを合わせて使うことが出来るようにしていきたいです。


軽石ガラスの成分や組成、安全性の確認などを研究機関に依頼する予定です。
そのコストなども皆様からのご支援で賄うことが出来ればと考えています。



**このプロジェクトで実現したいこと**


・沖縄県に漂着した軽石を使って新しい琉球ガラスを作ること。


・ガラスの原料を量産して琉球ガラス業界で広く使用してもらうこと。


・作品と原料の販売利益から軽石を提供していただいた自治体を通して、
軽石被害にあわれた方に還元すること。



**応援メッセージ**
アナウンサー宮城杏里さん
軽石ガラスに興味を持って頂いて、TV番組で取り上げて頂きました!






「軽石が琉球ガラスに生まれ変わるとは!?ガラスを使って社会貢献したいという松本さんの想い、
そして自然が生み出す美しいグリーンに魅了された一人です。
この取り組みがたくさん広がることを願っています。心から応援しています。」

一般のお客様 、ガラス工芸関係者さま、取引先様など多くの方から激励のお言葉を頂いております!


**資金の使い道**




1か月20日間400Kg分原料を制作するときの費用として資金を使いたいと思います。
手数料   :約8万
設備投資  :約14万円
人件費   :約16万円
原材料費  :約6万円
検査費用  :約5万
軽石搬送費用:約2万円
返礼品製作費:注文分だけ
返礼品送料 :注文分だけ
合計     51万円
※目標金額を上回る支援を頂いた場合には、さらに原料を制作する資金などに当てさせていただきます。
**実施スケジュール**




プロジェクト自体の実施スケジュール

6月 クラウドファンディング開始
7月 クラウドファンディング終了
   設備購入
   返礼品制作
8月 順次 リターン発送


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

**リターン**


このクラウドファンディングのために特別に作りました!
軽石ガラスの返礼品です。
軽石の黒いガラスに透明のガラスを足していくと
ラムネ色・エメラルド・ビリジアン・ダークグリーン・モスグリーン
の色が出てきました!
沖縄の海を思わせる美しい色です。お好みの品をお好きな色でお選びください!
**最後に**


ガラス作りは楽しい仕事です!

ただし楽しさの裏には、体力的な厳しさ、設備やその維持コストの高さなど厳しい側面もあります。
さらに環境負荷も高い仕事なので、この仕事をするにはかなりの覚悟が必要です。
それでもガラス作りには他では得難い喜びがあります。
溶けたガラスの感触
熱を持ったガラスの美しさ
思うままにならないガラスとの対話


今回のプロジェクトはそういう僕個人の「喜び」のために行うというのが本音です。


「軽石」でガラスを作ってみたい!
自分で作ったガラスを吹いてみたい!


そんな欲求からはじまったことが社会貢献につながるとしたら。。。
こんなにうれしいことはありません!


軽石が「琉球ガラス」として皆様に使ってもらえる日を夢見て!


どうかご支援宜しくお願い致します!



再生ガラス工房てとてと
マツモトサカエ/マリ
松本栄/満里
沖縄県うるま市にて夫婦でリサイクルガラスを使って琉球ガラスを制作。
沖縄県琉球ガラス製造協同組合 理事

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