在宅医療の「現場」を変えた! 真の働き方改革の秘訣とは

2020.03.18 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業や個人が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

2月17日・月曜日から2月20日・木曜日の放送では、訪問看護・在宅医療のパイオニアで、第6回「GOOD ACTIONアワード」の「ワークスタイルバリエーション賞」を受賞したソフィアメディ株式会社の働き方に注目しました。

2002年の創設から、在宅医療のパイオニアとして歩んできたソフィアメディ株式会社。「医療インフラとしての訪問看護」を急ピッチで日本にゆきわたらせていますが、日本が超高齢社会に向かっていく中、訪問看護の需要は高まる一方。事業をさらに拡充するには、働く人に真に必要な支援体制も整えることが求められています。
そんな中、スタートした抜本的な働き方改革が今回の「GOOD ACTIONアワード」でも
評価された働き方改革「ソフィアWOW!(Work for Our Wonderful life!)」。

人材開発グループ グループマネジャーの宗梨恵子さんにお話を伺うと、プロジェクトがスタートしたのは2018年の春。丸1年、累計100時間以上の議論を経て策定されたのがソフィアメディの新たなビジョン・ミッション・スピリッツでした。
その“ビジョン”は「安心であたたかな在宅医療を日本中にゆきわたらせ、ひとりでも多くの方に、こころから満たされた人生を」というもの。“ミッション”は「英知を尽くして「生きる」を看る」。そして5つの“スピリッツ”が決められたそうです。

ビジョンの実現に向けて従業員一人ひとりが能力を十分に発揮できるようにするための働き方改革が「ソフィアWOW!」。

その中身をみていくと、育児時短制度の対象を子どもが最大小学3年生になるまでに拡大する制度、ベビーシッターの費用補助など、現場の多くを占める20代後半から30代の女性たちのライフステージを支援する様々な制度が設けられていました。

さらに、訪問看護の現場ならではの、お客様都合の当日キャンセルで空いた時間を有効に活用できる「2時間単位で取得できる有給制度」というものもありました。これにより、従業員同士の声の掛け合いも生まれ、まとまった休暇の取得促進にもつながったそうです。
2016年度に39拠点だったソフィアメディの事業所の数は、2019年9月時点で55拠点に増加。あわせて従業員数も200人以上増加しました。新たに加わるメンバーも多い中、多様な人材が活躍できるように、LGBTQのスタッフの結婚・育児・就労支援、同性同士の事実婚等の慶弔休暇、結婚祝い金支給、育児休暇なども通常通り設けられているとか。また、やむを得ない事情で退職した社員の復帰条件と環境を考慮する「ハローアゲイン制度」というものもありました。

現場の人材が健康で、幸せに働くことができ、チームワークが機能していなければ成り立たない訪問看護のサービス。「ソフィアWOW!」の中には、従業員のプライベートを支える制度も設けられています。
例えば、年間2時間まで顧問弁護士にプライベートの法律相談が出来る制度や、急な出費に無利子で30万円まで融資をしてくれる制度もあります。

ソフィアメディの事業所には、これらの制度の活用法を伝えるために、1人の新人看護師が入社してから、人生のどのような場面で制度を使うか、分かりやすく説明したストーリー仕立ての小冊子が置かれているそうです。
訪問看護・在宅医療のパイオニアとして歩んできた、ソフィアメディ株式会社。
様々な人の“生きるを看る”という仕事に、マニュアルはありません。一言では言えない大変さもあるはずです。宗さんによると今の課題は、緊急時の対応や24時間対応をしていくことと働き方の問題。ここにはさらなる変化が求められている現状があるようです。
また、在宅医療だけでなく医療業界では患者第一の精神、スタッフの自己犠牲の想いで成り立っていた部分がありましたが、それでは働く側が疲弊してしまう。「GOOD ACTIONアワード」も励みに、これからも働く一人ひとりのワークライフバランスが実現しやすい制度を考えていきたいと仰っていました。

4日間に亘ってご紹介したソフィアメディ株式会社の働き方への取り組みから番組が導き出した「WORK SHIFT」のヒントは
『現場に答えを求めて、改革を進める!』でした。

世の中には多彩な働き方改革への取り組みがあります。しかし、それを当てはめるだけでは“真の改革”にはなりません。働く人の気持ちに向き合ったサポートの答えは働く現場にありました。