性別や年齢にとらわれず「多様な人財が活躍する環境づくり」に必要なこと

2020.02.26 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

1月27日・月曜日~30日・木曜日の放送では、がん領域の医薬品で国内シェアNo.1(※)を誇る中外製薬株式会社の取組みについて、執行役員人事部長の矢野嘉行さんにお話を伺いました。
2002年にスイスのロシュ社と戦略的アライアンスを結び、外資系企業となった中外製薬。日本の市場から世界へと目を向け、グローバルに展開する企業となったわけですが、社名は変えず、外資と内資のハイブリッドとして、自主独立経営を行ってきました。グループ全体で社員はおよそ7400人、MR、研究者、生産部門、など、様々な職種、性別、年齢が働く企業となっています。

2010年からダイバーシティの推進の取り組みを進めていく中で、多様な人財が活躍するために、労働組合と会社側が連携し、ワークライフバランスについての検討プロジェクトを発足したことから本格的にスタートした中外製薬の取り組み。多くの企業では、会社主導で取り組みがスタートする中、労使共同で進めていることも画期的なアプローチとなっているようです。
2日目の放送では、ジェンダー・ダイバーシティの取り組みについてご紹介しました。
2006年から女性MRの採用を広げたことで、女性が結婚、出産後も長く働き続けられる環境づくりの必要性が高まった中外製薬。その人事戦略の基本理念として人材こそが会社の発展・成長を生み出す、かけがえのない資産と考え、「人材」ではなく財産、「人財」として、ジェンダーだけでなく、ナショナリティ(国籍)やシニアの活躍の場を広げる取り組みも行っているようです。2010年から5年間で女性マネージャーを倍にするという計画をはじめ、現在、社内には20か国から約60名の外国籍社員が在籍。シニア社員制度なども採用されているそうです。
3日目の放送では、そんな中外製薬の女性が働きやすい環境作りについて教えていただきました。
ここ10数年、新入社員の約4割が女性という中外製薬ですが、女性MRが産休、育休に入る際には、派遣のMRを採用して休める環境を作ったり、育児時短制度、在宅勤務制度、保育園の送迎に営業車の利用を認めたりと、効率的に時間を使えるよう、様々な施策がおこなわれています。また、女性だけでなく、男性にも、育メン特設ページをイントラに作ったり、制度が浸透するための取り組みを行い、育休取得率は全社で女性100%、男性50%以上という数字に達しているそう。
また、女性だけでなく、65歳まで働けるシニア社員制度も導入し、サポートも充実。キャリア研修や制度の整備、シニア社員の役割などを設定して能力を発揮できるようにする試みがおこなわれています。リ・チャレンジ(再挑戦)、リ・エナジー(意欲の再活性)の精神で、現在、400名以上のシニア社員の方々が活躍されているそうです。
4日目の放送では、社員の自律的なキャリア形成を実現するための取り組み、「キャリア相談室」と「社内公募制度」にフォーカスしました。
創業95年という老舗ながら、柔軟でチームワークや結束が固い社風という中外製薬。営業、研究、製薬、など、様々な職種が存在する中で、キャリアチェンジの可能性や、また、社内公募制度などに意欲的にチャレンジしたりと、柔軟な発想で働ける環境が整っているようです。

最後に、4日間に渡ってご紹介してきた「中外製薬株式会社」の働き方から番組が導き出した「WORK SHIFTのヒント」は、
『労使で作り上げるワーク・ライフ・シナジーを高める働き方』でした。

会社側が一方的に制度を作るのではなく、労組と共に考え、浸透させる取り組みにより女性が活躍できたり、国籍も多様なダイバーシティに富んだ会社となっている中外製薬。その中で、プライベートと仕事が「シナジー」(相乗効果)を産む働き方の実現を目指されているようです。
(※)出典:IQVIA医薬品市場統計2018年12月MAT