「弱くてもいいけれど、絶対に負けたくない」複雑でも自分らしくいれば強くなれる

2019.07.22 10:00
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、 強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。7月19日の放送は、特別編として、ゴルフトーナメントの「資生堂アネッサレディスオープン」に出場したプロゴルファーの三浦桃香さん、渡邉彩香さん、上田桃子さんに密着。かつて番組にも出演した3人の美学を、プレースタイルや、彼女たち自身の言葉から改めて探っていった。
■プロとして“見られる”ことを意識する
左から上田桃子さん、渡邉彩香さん、三浦桃香さん、
ゴルフトーナメントは、注目を集める華やかな舞台であると同時に、厳しい勝負の世界でもある。「スポーツを通して美を提供する」というテーマのもと、今年から新たに始まった「資生堂アネッサレディスオープン」。三浦さん、渡邉さん、上田さんは、大会主催者と契約した“ホステスプロ”として、大会に挑んだ。
上田桃子さん
前夜祭では、きらびやかな衣装をまとって来場者を迎えた3人。長いプロ生活の中で初めてホステスプロを務める上田さんは、「すごく誇りでもありますし、かつワクワクしますよね。どれだけ自分が期待に応えられるかという、新たな挑戦でもあります」と意気込んだ。三浦さんは、大会中はウェアも見てほしいとアピール。「皆さんに気に入ってもらえるような色を選ぶつもりです」と語るように、“見られる側”であることを強く意識している。
■信じる気持ちが自分を前に突き動かしてくれる
三浦桃香さん
現在20歳の三浦さん。大会初日の10番ホールでは得意のドライバーでフェアウェイをキープするナイスショットを披露するなど、いいところを見せつつも100位タイの予選落ち。悔しさをにじませるが、見守るギャラリーに対して、暗い表情を見せることはない。「コツコツあきらめないで頑張ることですね。それを続けるだけです」と前を向いたまま、大会を終えた。
渡邉彩香さん
屈指の飛ばし屋でもある渡邉さんだが、現在、ドライバーが悩みのタネ。「思い切りのよさはあまり消したくない。でも、思い切りやれば曲がることもあると思うから」と課題を残したまま大会に挑み、結果は108位タイの予選落ち。今シーズンの予選通過はわずか数試合だ。しかし、そんな今だからこそ応援してくれる人への感謝は忘れない。「周りの人がすごく支えてくれたので、そういう人たちのために優勝するのが今の目標です。私がまた勝てると信じてくれている人たちのために、自分もそれを信じたいと思っています」と決意を語った。そして「プロである以上、ファンの期待を裏切り続けるわけにはいかない」という強い思いも、彼女の原動力となっている。
■複雑さを抱えながら、自分らしく
上田さんは大会中、絶好のチャンスを逃してしまう場面もあったが、少しずつ調子を戻し、27位タイで予選を通過。今年でプロ15年目、様々な経験を経て「弱くてもいい」と、ありのままの自分自身を受け入れられるようになったという。このメンタルの変化によって、気負わずに、ストレスなくプレーに集中することで、結果がついてくるようになった。その一方で、どんな状況になっても勝負を投げ出すことはない。「最後まであきらめなければ、今つかめなくても、来年のために自分の中で何かつかめると思いますし、基本的になんでもつながっていると思っているので、一つ一つのプレーを大事にしたいですね」。弱くてもいいけれど、絶対に負けたくはない。一見、相反するようだが、これがプロの“複雑さ”であり、円熟味。あらゆる状況下でもベストの結果を出すためにたどり着いた、上田さんなりのスタンスなのだろう。
降りしきる雨の中、順位を落としていった上田さんだが、たとえ優勝争いから離れても、ショットを疎かにすることはない。「若いときは負けず嫌いな性格が自分を支えていたし、根本からあきらめの悪さは染み付いているので、そこを大事にしながら、自分らしく生きていきたいと思います」。
結果は58位タイに終わったが、上田さんは「この大会を通じて、私という選手を知ってもらえたというのは大きいと思います。そうやって知ってもらえた方に応援してもらえるように、しっかり頑張っていきたいなと思います」と力強く語った。
結果がどうあれ、常に目線はその先へ。3選手に共通するのは、居住まいやプレーも含めて「ファンからどのように見られているか」を大切にする姿勢と、決してあきらめない、折れない心。そんな3人の未来は、どんな形であれ、強く美しく、輝くものであるはずだ。
次回7月26日の放送は、7月に登場した高梨沙羅さん、織田信成さんのエピソードをプレーバックし、彼らの輝きの秘密に迫る。