建築家 豊田啓介が語る 最先端の空間デザインとは?建築の未来はどうなる?

2019.07.03 00:00
6月21日(金)放送のJ-WAVE「INNOVATION WORLD」内「DNP GLOBAL OPEN INNOVATION」には、建築事務所noizの豊田啓介さんが登場。

■建築をデジタル化することで街・地域にできること

コーナー内のトークでは、豊田さんが建築や街をデジタルデータ化していることの目論見とは?と、番組ナビゲーターでAR三兄弟長男の川田十夢さんからの問いかけが。

豊田さんは「建築業界は情報化やデジタル化が遅れている部分もあって、とにかく情報として取っちゃって遊んでみたら使い方が見えるのに、と思うことが多い」そう。例えば大学のキャンパスのような施設を全てスキャンしてデータ化したら「何ができるか(誰でも自由に)考えてくれるよね」ということが「建築の役割・可能性の一つ」であると語ります。

現在、宮崎県都城市の協力のもと、2019年夏に解体着工される「旧都城市民会館」を三次元計測技術で記録し、「メタボリズムの代表作」であるこの建築の価値を継承していくことを目指している豊田さん。この話題を踏まえ、データ化したものをどう街・地域にお金として落として貢献していくかという議論に。

建築のデータ化について「街の写真に建物が写り込むことに誰も権利を主張しないですが、3Dスキャンしたデータを使ってビジネスを始めたら、誰かが権利を主張し始めるはずです」「権利や、どうマネタイズするかは、誰も仕組みも可能性もわかっていないじゃないですか。それをもっとうまく回したいですよね」という豊田さん。

イベントの形が「会場に行く」形と「バーチャルに集まれる形で十分なもの」と、「その相乗効果があるもの」の三つの形になるのではと分析する豊田さんは「バーチャル上でお金が落ちて、それで建物の維持資金ができるとか(の事例が)ありそうな気がする」と今後のデータ活用法を示唆しました。

■ 電子ペーパーの「色が変わるはずないものが変わる」面白さ

そして、今年4月9日(火)~14日(日)にイタリア・ミラノで開催された「ミラノデザインウィーク2019」内、ミラノ中央駅高架下の展示スペース「ヴェントゥーラ チェントラーレ」で、大日本印刷株式会社(以下:DNP)が新たなデザイン価値を提案すべく行った“Patterns as Time”をテーマにしたインスタレーションにも豊田さんは関わっています。

豊田さんが共同主宰するnoizが、この企画のクリエイティブパートナーの一つとして、“Patterns of Nature”をテーマに、電子ペーパーを使用した”ゼブラ”チェアや、電子ペーパーが組み込まれた”クラゲ”スツールを手がけたのです。

電子ペーパー特有の柔軟性、経時変化を許容するプログラム性、自発光とは異なる独特の質感を活かし、生物たちのパターンのエッセンスを表現。”ゼブラ”チェアは自然界のチューリングパターン(生物の体の表面などで自発的に生じる空間的パターン)が背景に溶け込んだり現れたりを繰り返し、”クラゲ”スツールでは、海中を漂う生物の幼生がゆっくりと呼吸するようにグラデーションを変化させていくというものでした。

放送内で豊田さんは「いわゆるLEDスクリーンや有機ELのような自ら発光するタイプではなく、発光しないけれど反射で映像や画像が変わる電子ペーパー」と、使用した素材について説明。壁などと質感が同じため「色が変わるはずないものが変わる」面白さがあったといいます。

川田さんは「(ARの)本来あるはずのないところに画像や立体が動いているという裏切られ感と、電子ペーパーのような本来動くはずのないものが動いちゃったという裏切られ感は似ている」と、自らの専門分野であるARとの共通点について言及。一方、豊田さんも建築分野において川田さんのAR領域での表現を参考にすることも多いそう。

■AIが台頭する今日、DNPが提供できる価値

この「DNP GLOBAL OPEN INNOVATION」をスポンサードしている大日本印刷株式会社(DNP)は、1876年の創業以来、事業領域を拡大しながら、社会や人々に新しい価値を提供し続けてきました。

そんなDNPが、「ミラノデザインウィーク2019」へ初出展しました。
AIが台頭し技術革新が進む今日、人々のこころ(エモーション)に鮮烈な印象を刻み込むデザインがますます重要になる中で、DNPは人々の期待に応え続けていくために、人のこころに共鳴するデザインという価値を提供していきます。

「ミラノデザインウィーク2019」においても、DNPのインハウスデザイン組織である「イノベーティブデザインセンター」に所属するサーフェスデザイナーが、noizなどクリエイティブパートナーたちのコンセプトを、素材選定・データ作製・アレンジ・印刷表現・プロダクト加工の側面から、具現化を全面サポートいたしました。

「ミラノデザインウィーク2019」への初出展は、イノベーティブデザインを追求し続けるDNPの意志表明です。DNPは、世界中のニーズにこたえて、新しい価値をもたらすデザイン製品を提供していきます。