俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、 強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。6月28日の放送は、6月に登場したパラトライアスロン選手の谷真海さん、プロゴルファーの渡邉彩香さん、プロゴルファーの上田桃子さんのエピソードをプレーバックし、3人の輝きの秘密に迫った。
谷さんは大学時代に骨肉腫を発症。右足膝下を切断して義足生活に。「闘病生活の10ヵ月間は、未来が見えない不安な気持ちで過ごしていた」という。そんな中、母親の「乗り越えられない試練は与えられない」という言葉を「日々自分に言い聞かせることで救われた」と振り返る。
退院後、大学に復学。最も辛い時期は乗り越えたとしても、どうしても気持ちは沈みがちになってしまう。そんな中、「一番自分らしくいられるのはスポーツ」と思い立ち、走り幅跳びを始めた。「速さを競う種目より、自分の記録を1cm、2cmと伸ばして成長を実感できる種目だったので、義足になった第二の人生を歩むスタートにふさわしいと思い、“少しでも成長していこう”という気持ちで続けてきました」。谷さんは、走り幅跳びの選手として2004年のアテネ、2008年の北京、2012年のロンドンと、3大会連続でパラリンピック出場を果たす。そして一児の母親となり、現在はトライアスロンに転向。育児をこなしながら、東京パラリンピックを目指し練習に励む日々を送っている。
谷さんを“強く、美しくする言葉”は「Be Safe Have Fun Go Fast」。トライアスロンを始める時に決めた家族の合言葉で「安全第一、やるからには楽しく、1秒でも速く」という意味。
長身を活かしたドライバーショットで観客を魅了する渡邉さんは、20歳でツアー初優勝。翌年には2勝をあげ、2015年には賞金ランキング6位、獲得賞金は1億円を突破した。しかし、その後は不調に陥り、ついに昨シーズンは賞金シードを喪失。そんな現状について「悔しくてたまらない」と語った渡邉さんだが、今年のマスターズ・トーナメントで、一時は世界ランキング1000位以下にまで陥落したタイガー・ウッズが復活優勝を達成したことに大いに刺激を受けたという。
そこで改めて考えたことは、「誰のためにゴルフをするか?」ということ。「自信がなくなり、今のような状況になって、周りの人がすごく支えてくれていることに気付いた。そういう人たちのために優勝したい、という目標を持つことができた」。自分のためだけではなく、「信じてくれる人のために。渡邉さんは、復活の日に向けて、すでに第一歩を踏み出している。
渡邉さんを“強く、美しくする言葉”は「明日は明日の風が吹く」。「明日になったらまた全然違う一日になると思うから、ゴルフにおいても、それ以外においても、毎日新たな気持ちで色々チャレンジしていきたい」と語った。
前回の番組出演から1年経ち、大きく変わった点は「許せるようになった」ことだと語った上田さん。「もともと自分の性格がイヤで、以前は人からどう見られているか、自分がどうあるべきかが先行し、自分がどうしたいか、どうありたいかは考えていなかった。我慢することもストレスだった」。しかし、今では、“我慢している自分”、“弱い自分”を認め、許せるようになったという。変化のきっかけは、自身がMCを務める番組で、海洋冒険家・白石康次郎さんに出会ったこと。「ポジティブな白石さんは、自分とは真逆の人だと思っていた。けれど、親しくなる中で色々な話を聞いてみるとすごく繊細で。たくさん考え抜いた先でプラス思考に行き着いた、ということが分かった。白石さんのお陰で、“私はまだ考え抜くところまではいっていない”、“自分を好きになれなかった期間も必要な時間”と考えられるようなった」と語る。今季ツアー2勝をあげ、通算15勝目。プロ生活15年目の今も、上田さんは変化を受け入れ、さらなる進化を遂げようとしている。
上田さんを“強く、美しくする言葉”は「自分らしく」。「私はコンプレックスだらけで、 “こうなりたい”という欲望もいっぱいあるけれど、それも含めて自分なので、それでいいと思っている。良くも悪くも、誰でも人にないものを必ず何か持っているので、一度きりの人生、それをまず伸ばしていくことがとても大事ではないか」と話す。
次回、7月5日の放送は、スキージャンプ女子選手の高梨沙羅さんが登場する。