「コンプレックス」は前向きな言葉? 一流のメンタルコントロール術を学ぼう

2019.05.31 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、ゲストの「美学」=信念、 強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。5月31日の放送は、マンスリースペシャルと題し、元シンクロナイズドスイミング選手の奥野史子さん、全日本女子バレーボール選手の黒後愛さん、元競泳・平泳ぎ選手の田中雅美さん、プロラクロス選手の山田幸代さんのエピソードをプレーバックし、四人の輝きの秘密に迫った。
■あなたを強く、美しくする言葉とは?
奥野さんは「ぶれない心」と回答。「人間は迷うことがたくさんあるが、あちこち彷徨っていては目的地に辿り着けない。だから私は、ぶれない心で突き進みたい」と語った。「人と同じことをやっても大成できない。違うことをどんどんやっていきなさい」という、母親の言葉に影響を受けている。
黒後さんの答えは「笑う門には福来たる」。「笑顔にはすごいパワーがある。そこに笑顔があれば周りのみんなも柔らかくなれる。心を動かしたり、気持ちを変えたりする力が笑顔にはあると思う」と話した。
田中さんは「コンプレックス」。現役時代、アトランタ、シドニー、アテネと3大会連続で五輪に出場したが、個人のメダルを獲得できなかったことがコンプレックスになり、ずっと自分の中に残っていたという。もちろん、この言葉はネガティブな意味ではなく、前を向くためのもの。「私にとってコンプレックスとは、自分らしく生きるためのエネルギーになるもの」であり、挑戦し続けるための原動力であると説明した。
山田さんは「苦労の中のハッピーゾーン」と答えた。日本ラクロス界を強くしたい、そのために世界レベルに挑戦したいという一心で、オーストラリア代表選手の座を獲得し、ワールドカップに出場した山田さん。しかし、直前に怪我を負ってしまい、大きな不安の中で開幕を迎えた。そんな中、目に飛び込んできたのは、母国・日本の国旗。「その時、隣の選手が私の肩をグッと抱いてくれて、その瞬間に涙が溢れ出して。“苦労の中でもこういう幸せってあるんだな”と思えたことが、私を強くしてくれた」と話す。そして「苦労している中にも必ず光があり、楽しいと思う瞬間がある。それが人を強くするということを伝えていきたい」と力を込めた。
■4人の女性アスリートが明かす「理想の女性像」
奥野さんは、母親のことを「宇宙レベルで強い」と表現する。「私も母のような、ぶれない女性でありたい」と願っているが、3人の子育てと仕事を両立させている中で、時にはピンチに陥ることも。「子どもが熱を出す。でも、仕事は絶対に行かないといけないので、休めない。その度に色々な人にヘルプを求めて、何とかなってきた」。悪戦苦闘の中で、ぶれないよう、自分なりの考え方を大事にしている。「多くの人が“人に迷惑をかけてはいけない”と思っているが、もっと甘えれば良い。迷惑をかけた分、違うことで何かを返そうとすれば、それでプラスマイナスゼロ。もしくはプラスマイナスプラスになるかもしれない」。
黒後さんが憧れるのは、元全日本女子バレーボール選手の木村沙織さん。理由は「チームが欲しい1点を取れる人だから」。現在は、自身がその役割を求められている。「バレーボールは次につなぐ、誰かのためを思ってプレーするスポーツ。たとえミスをしても、すぐにまた次の1本が来るので、ミスは引きずらないで、次のトスをどう攻め切るかに集中する」と、結果を出すための心構えを語った。
田中さんは、元バドミントン選手の陣内貴美子さんを挙げ、「カッコよくて芯があり、周囲への尊敬の気持ちを忘れない女性」だと話した。田中さんにとって、その“芯”の一部となっているのは、現役時代、アメリカ留学中にホストファミリーから贈られた、「Never too late Never give up」(何かを始めるのに遅すぎることはない、決して諦めないことが大事である)という言葉。「挑戦によって新たな出会いが生まれ、自分の世界は広がる。私にとって挑戦とは、常に軸にあるもの」。
山田さんは、奥野さんと同じく「お母さん」と回答。街中でたむろしている若者に声をかけて、家でご飯を食べさせ、きちんと家まで送り届けてあげたという驚きのエピソードを明かし、「見返りを求めず誰かのために何かを成せるところがカッコいい」と語っていた。
次回6月7日の放送は、元パラリンピック陸上日本代表選手の谷真海さんが登場する。