「笑顔のパワー」が強く輝くために、大切なこと

2019.05.10 22:30
俳優・田辺誠一さんが番組ナビゲーターを務め、毎回1人のゲストの「美学」=信念、強さ、美しさの秘密を紐解き、そこから浮かびあがる「人生のヒント」を届ける、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。5月10日の放送は、全日本女子バレーボール選手の黒後愛さんが登場。東京五輪に向け、チームの若きエースとして期待を寄せられる黒後さんの素顔と、現在の思いに迫った。
■誰かのためを思いつなぐ、バレーボールの魅力
栃木県宇都宮市で生まれた黒後さんは、両親や姉の影響で小学生の時からバレーボールを始め、全国屈指の強豪校・下北沢成徳高校に進学。在学中から全日本ユース代表、全日本ジュニア代表、2017年には全日本代表に選出。現在、東レ・アローズに所属している。黒後さんはバレーボールの魅力を「次につなぐ、誰かのためを思ってプレーする、一人ではできないスポーツ」と表現し、「みんながつないでくれたボールに気持ちを込めて打ち込むのが、アタッカーとしての私の役割」だと話す。その意味では、ラリーが続く中、チームメイトがつないでくれたボールを受けて最後にミスした時の責任は重い。「ミスをしても、すぐにまた次の1本が来るので、引きずるのはやめて、次のトスをどう攻め切るかに集中する」。
高校時代はボールを触っている時間より、トレーニングを行う時間の方が長く、最初の頃は辛いと感じていた。それでも、「身体の使い方が変わったり、筋肉が付くことで打球が強くなったりと、プレーに活きていることを実感できるようになって、トレーニングが好きになりました」と、徐々に意識が変化していった。また、社会人になったばかりの頃は新たな環境になじめず、一度だけバレーボールを辞めたいと思ったことがあった。この時は、周囲の人たちの支えもあり、気持ちを立て直すことができたという。「試合会場に行くと、応援席の方々、体育館の設営をしてくださるスタッフの方々が、すごく暖かくて。頑張らなきゃなと思いました」。
■“笑顔”の裏に秘められたもの
番組では、高校時代を過ごした思い出の地・下北沢を、高校時代のチームメイトで、現在は東レ・アローズのマネージャーを務める谷かりなさんと散策。黒後さんが大ファンの嵐・二宮和也さんが訪れたことのある、400種類以上のボードゲームを楽しめる「JELLY JELLY CAFÉ下北沢店」を訪れた。ここで二人はゲーム対決。「じゃんけんで負けて泣いたことがある」という、黒後さんの負けず嫌いな一面が垣間見られた。
そんな黒後さんが憧れているのは、元全日本女子バレーボール選手の木村沙織さん。「チームが欲しい1点を取れる、私にとって生きる伝説のような存在。攻撃だけじゃなく、守りの部分でもチームに貢献できるプレーヤーなので、ずっと憧れています」。
一方、理想の女性像は「みんなにパワーを与えられる人」。「その人がいてくれると元気になる、さり気なく元気をあげられる、そういう人になりたい」と話す黒後さんの座右の銘は、「笑う門には福来たる」。“笑顔を絶やさなければ幸運が訪れる”という意味を持つこの言葉。黒後さんは、「笑顔にはすごいパワーがある。そこに笑顔があれば周りのみんなも柔らかくなれるし、心を動かしたり、気持ちを変えたりする力が笑顔にはあると思うので、自分も大事にしたい」と語った。
そして、目標として掲げている東京五輪が、いよいよ来年の2020年に開催される。「ストレートに、結果を残すことが大事。限られた時間しかないので、今できることを自分の中で探しています」。笑顔の裏に秘められた、バレーボールへの熱く、真っ直ぐな思いは、様々な試練を乗り越えて作られたもの。「笑顔のパワー」は、そういった背景があってこそ、より強く輝くのではないだろうか。
次回、5月17日の放送は、シドニーオリンピック銅メダリストの田中雅美さんが登場する。