未完成でいい 立ち向かえる強い花になれ

2019.03.22 22:30
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。3月22日の放送は、「美しすぎる野球選手」として知られる女子プロ野球選手の加藤優さんが登場した。
■初の開幕戦で味わった挫折
5歳で野球をはじめた加藤さん。男子チームでプレーをしていると、好奇の眼差しを向けられることもあったという。「そういう目で見られるのが嫌だったので、女の子だと気が付かれないように髪の毛を短くしていた」、「男の子になりたいと思っていた」と当時を振り返った。高校は強豪のソフトボール部に入部したが「想像していたのとだいぶ違うスポーツで、途中で目標が異なると感じて野球に戻った」と、1年経たぬうちに退部。高校在学中に、アサヒ産業の企業チーム、アサヒトラスト女子硬式野球部に入団した。
加藤さんは、高校卒業後、2015年に日本女子プロ野球リーグ(JWBL)の入団テストに合格。翌年、20歳の時に埼玉アストライアに入団した。しかし、アピール不足で、開幕戦のベンチ入りは叶わなかった。ベンチを外れた選手は球場外のスタッフをすることになっていたが、注目度が高かったからなのか、加藤さんだけが始打式のピッチャー役を務めることに。「誰から見ても実力があると思われないと不当な扱いを受けると知った。だけどその悔しさをバネにシーズンの途中から代打で試合に出場して結果を残してレギュラーになれたので、その経験自体は悪くなかった」と述懐。加藤さんにとっては忘れられない挫折の経験だったが、その年、新人特別賞を受賞した加藤さんは、その後も順調に実績を積み重ね、昨シーズンは打率3割超えをマーク。ヒット数ランキングは8位タイとなり、大きく躍進した。2019年、4年目のシーズンを迎える加藤さんは「一番のセールスポイントはバッティング。スイングスピードの速さを売りにしているので、そういうところは見てほしい」と、意気込みを語った。
■女子野球を五輪競技にすること
加藤さんがプロとしてトップを目指すことを決めたのは、高校3年生の時に日本代表の候補選手になったことがきっかけ。しかし、その時は、後からプロの選手が数人合流し、最終選考で落選してしまう。プロ選手のレベルの高さを知った加藤さんは「職業に“プロ”と付く人はあまりいない。もしプロになれるチャンスを与えられたなら、一番上を目指すべき」と考えるようになった。プロとなった今は、「プロの中でも当たり前のようにタイトルを獲れる選手になること」、「日本代表のメンバーに選ばれるくらい実力のある選手になること」を目標として掲げている。
そして、もう一つの大切な目標は「女子硬式野球を五輪競技にすること」だと語った加藤さん。「五輪競技になると、国をあげて応援してもらえるようになる。それまで誰も知らなかったようなスポーツは、結果を残した瞬間に一気に注目が集まる。私たちの役目は、女子野球が五輪競技になるための土台作り」。そのために、女子プロ野球リーグでも、様々な取り組みが実施されている。集客活動を選手で行ったり、試合前に体操を一緒に踊ったり、ホームの球団が最終回でサヨナラのチャンスを迎えた際は“サヨナランナー”と題して金色のヘルメットを着用したりと、ファンを楽しませるための努力を惜しまない。加藤さんは、「ファンの方々がいないと私たちも野球ができないので、とても大事なこと」と強調する。
加藤さんは、もっと女子プロ野球に親しみを持ってもらい、もっと球場に足を運んで、生で試合を見てもらいたいと願っている。女子プロ野球の魅力は「女子ならではの柔らかさとしなやかな動きにある」のだそう。一方で、「以前は長打が出なくて女子野球は“つなぐ野球”と言われていたが、最近では長距離やホームランを打つ選手もいるので“女子でもこれだけできる”という試合を見せられると思う」ともアピールした。
■ストレス発散は音楽に触れること
番組では、今年から加藤さんが所属するチームに加入した、偶然にも同年齢、同じ誕生日だという中田友実さんも登場。中田さんは、これまでYouTubeなどで見てきた加藤さんの印象と比べて、「意外に真面目で、寡黙に練習をするタイプだった」と話す。加藤さん自身も、「今まではずっと野球のことを考えてしまい逆に変に悩み過ぎてしまっていた」と認めつつ、「けれど最近は、パッと切り替えて、前向きに、自分の気持ちが楽になるような考え方ができるようになった。極論、ミスをしても死ぬことはない」と、気持ちの切り替えができるようになったと語った。
キュートなルックスで「美しすぎる野球選手」と称される加藤さんだが、中田さんは「ふとした瞬間、おじさんみたいな時もある」と暴露しつつも、続けて「でも絵がうまくて、歌もめちゃくちゃうまい」とフォロー。実は加藤さん、プロに入る前の2015年にシンガーソングライターとしてCDデビューしたことも。「運が良かったというのと、野球で少し注目をしていただいていたので(CDデビューは)そのお陰かなと思う。今は完全に趣味で、オフシーズンなどのイベントでファンの方の前で歌ったりするだけ」と謙遜しながらも、「自分の何年か後につながるかもしれない」という思いから、自分のやりたいことを探しながら“種まき”をしているのだと語った。
そんな中、ギター片手に宇多田ヒカルの「Automatic」を歌唱する場面も。また、ホームゲームでは「勇気づけられる曲なので聴くと気合が入る」という理由で、ゆずの「REASON」を入場曲にしている。加藤さんにとって音楽とは「癒し」。野球がうまくいかない時も、ストレスが溜まっている時も、何時間も無心で音楽に触れていると気持ちがスッキリする。「音楽は本当に私の中で大事なもの」。
■未完成でいい 立ち向かえる強い花になれ
加藤さんの憧れのアスリートは、フィギュアスケートの羽生結弦さん。「すごくストイックで、謙虚ながらも強気で、花のある、人を惹きつける魅力的な演技をするところに憧れる」とのこと。加藤さんの座右の銘は、以前、羽生さんがNHK杯のエキシビションで使用した指田郁也さんの楽曲のタイトルである「花になれ」という言葉だ。高校3年生の時に日本代表のテストを受ける際にこの曲を聴き、勇気をもらったと話す加藤さん。「2番の歌詞に“未完成でいい 立ち向かえる”という部分があり、今も未完成だけど、それ以上に未完成だった当時の自分でも立ち向かおう、頑張ろうと思えた」と振り返る。この“花”とは、加藤さんにとっての“強さ”の象徴でもあるのだろう。
早くから注目をされたことで、良いこともあったが、実力が追いつかずに悔しい経験もしてきた。しかし今は、努力が実り、プロ選手として実力を評価される存在に。そして、自身の注目度を活かして、女子プロ野球界に貢献しようと奮闘している。「花になれ」の歌詞に表現されている“未完成でも立ち向かう勇気を持ち、あきらめずに命を咲かせる花”のように強く美しく輝く加藤さんの、さらなる活躍に期待が寄せられている。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は、乾燥が気になる季節、スポーツ後の肌に最適なケア方法を解説した。
■「刺激が強まる季節のメイク直し法」
スポーツでかいた汗をそのままにしておくと、乾燥を招いて肌トラブルにつながることも。今回、「刺激が強まる季節のメイク直し法」を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST伊藤礼子さん。

まずはあぶらとり紙などで汗や皮脂をしっかりオフする。

【ポイント1】メイク直し前に余分な汗や皮脂をしっかりオフ

次に空気中の微粒子や乾燥から肌を守ってくれるバリアミストで整える。 バリアミストはよく振って、顔から15㎝ほど離して目と口を閉じ顔全体に4プッシュした後、指先で軽くなじませる。

肌を整えた後はポイントメイク。

Tゾーンなどの崩れやすい部分はBBクリームを重ね付けする。

アイカラーはオレンジ系がおすすめ。 ふんわりと付けるだけで、簡単にヘルシーでフェミニンな印象に。

エッセンスタイプのリップで口元にツヤをプラスすることも、この春のトレンド顔になれるポイントだ。

【ポイント2】リップはくちびるの中央から外へ塗る

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、3月29日の放送は、3月のマンスリースペシャルと題し、フリーダイビング日本代表の福田朋夏さん、バレーボール元全日本代表の益子直美さん、埼玉西武ライオンズ二軍監督の松井稼頭央さん、女子プロ野球選手の加藤優さんのエピソードをプレーバック。未公開映像も放送される。