もっと深いところまで潜った時、もっと“高い場所”を目指すことができる

2019.03.01 22:30
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。3月1日の放送は、フリーダイビング日本代表の福田朋夏さんが登場。30代で競技を始め、わずか1年で世界選手権団体金メダルを獲得。その翌年には一つの壁といわれる水深80mを達成し、昨年5月には女子史上5人目となる100mの大台を突破した。番組では、“現代のマーメイド”と呼ばれる福田さんが、その強さの秘密、フリーダイビングの魅力を語った。
■真っ青な海で地球と一体に
酸素ボンベを付けずに⽔中に潜り、深さや時間の長さを競うフリーダイビングと福田さんが出会ったのは、8年前の沖縄。当時32歳だった。「だいたい10mくらいのところでスキューバダイビングをしているときに、フリーダイビングでケーブル(洞窟やほら穴)を通り抜けている人を見て、“この背中の酸素タンクいらないんじゃないかな。私がやりたいのはあっちだな”と思い、その次の日くらいから1m、2m、3mと潜るトレーニングをするようになりました」。フリーダイビングは、最初は激しくキックして潜っていくが、そのうちに浮力がなくなり何もしなくてもどんどん体が沈んでいく。「真っ青な海の中で、自分一人がただひたすら海の底に落ちていくと、地球と一体になったような感覚を得られてとても気持ちがいい」と、その魅力を語った。スキューバダイビングとの違いは、「海との一体感。魚と対等になれる気がするところ」だという。「イルカやウミヘビの泳ぎを目指しています」と、自身の理想の姿を、海の生物になぞらえた。
福田さんが得意とするのは、大きなフィンを付けて深さを競う“CWT(コンスタントウェイト・ウィズフィン)”という種目。2011年、本格的に競技を始めてわずか1年で世界選手権団体金メダルを獲得した。当時はイタリアに拠点を置き「毎日海に通い、息を止めて、潜ってを繰り返し、寝ても覚めても海の中にいるようだった」とトレーニングの日々を振り返る。そうした努力が実を結び、2012年にはバハマで念願の水深80mを達成。そこから、トップダイバーだけが知る100mへの挑戦が始まった。「深くなればなるほどその1mが厳しくなる」とのことで、何度もブラックアウト(呼吸を我慢し過ぎて失神する現象)を経験した。それでも潜り続けるのは、恐怖心はあっても、それ以上に「深い海に潜りたい」という気持ちの方が勝るから。福田さんは、「もっと自分を成長させて、その恐怖心に打ち克ちたい、という思いの方が強い」と力を込めた。
そんな中、福田さんは昨年5月、女子史上5人目となる水深100mの快挙を成し遂げた。往復200m、息を止める時間は3分以上に及ぶ。福田さんは、「海に潜っている時は苦しいと感じたことは一度もない」とキッパリ。「潜るときは海と地球と一体になって集中して潜る。下へ深く潜るのは、死に向かっていくイメージがあるが、下までついてタグ(ターゲット震度に置かれた標識)を手にした瞬間、“地上に帰ろう”“生きるぞ”という思いで地上を目指す。なので、(死から生へ)毎回、生まれ変わっているような気になる」と話す。海面に戻り海水から顔を出したときに吸い上げる最初の一息は「本当に美味しい」と目を輝かせた。「その一息でエネルギーが体に入ってきているのを実感する」と語り、フリーダイビングの醍醐味を「空気や水、地球全体のありがたさがすごく感じられる競技」と表現した。
■亡きコーチとの約束
番組では、友人とワインバルで過ごす福田さんにも密着。友人は、福田さんの人柄を「すごいストイック。普段はほんわかとしているのに、何でも極めちゃう。もし次にまたハマるものができても命懸けで取り組むだろうから、それもまた世界トップになっちゃうんじゃないかな。そういう才能があると思う」と語る。また、「基本的にはポジティブでいつも強がっているけれど、いろいろな思いを抱えている。人間だから落ちこむことはあるけれど、切り替えがすごく早い! でも、100mに挑み続けたこの2年は本当に大変だったと思う」と身近な友人だからこそ知る、福田さんの一面が明かされた。
実は福田さんが100mにこだわっていたのは、亡きコーチと約束をしたからだった。「100m行こうってコーチと話をした数日後に亡くなってしまった。それからずっとコーチの使っていた道具を使わせてもらっている。だから絶対に100mは行くという強い思いがあった」と打ち明け、昨年5月にカリブ海のグランドケイマン諸島で行われた大会で念願の100mを達成した時のことを、「潜った直後は実感がわかなかったが、その夜にやっと“約束が果たせた”と喜べた」と回想した。
■座禅で無の境地に
「無になるくらい精神面が落ち着いていないといい潜りができないので、潜る前は必ず集中力を高めるため、瞑想をして不安や恐怖心を取り除いてから競技に臨む」と話す福田さんは、無の境地に気持ちを持っていくためのトレーニングの一環として、早朝の寺院で行われる座禅に通う。福田さんは「普段生活していると頭の中がすごく忙しい。だけど目を閉じて座禅をすることで雑念がなくなる。私はいつも周りの人への感謝を思い浮かべながらやるとスッと入っていく」と話した。都会が苦手で、ダイビングのことは1日たりとも忘れたことがない。「海や自然がないと本当に苦しくなって、心も体も乾いていくような気がする」。
少しでも体を潤わせるために、お風呂は長風呂が多いのだという。そんなバスタイムのこだわりは、必ず塩を入れることだ。「世界各国の塩を集めるのが趣味で、“今日はメキシコの塩を入れてメキシコの海に入ろう”みたいなことをしている。海に入ると浄化されるけれど、近くにないときは海風呂を作って入っています」と、私生活でも、常に海を感じようとしている。
■“ノーリミット”でその先へ!
これまで世界各地、36か所の海に潜ってきた福田さんにお気に入りの海を尋ねると、「海の動物たちと会うならメキシコ。海の青さが好きなら地中海。でも、私は沖縄の海でずっとトレーニングしてきたので、自分にとっては沖縄の海が落ち着く場所かな」と笑顔で語った。
福田さんの座右の銘は、“ノーリミット”を意味する言葉「その先へ!」。「自分でここまでしかできないと決めたら本当にそこまでしかできないので、自分に制限をかけない」、「目標値をクリアするごとにレベルを上げて、自分のリミットを外して超えていきたい。自分のポテンシャルのもっと“その先”に進むイメージ」と、成長を誓う。さらに海の深いところまで潜っていけば、その時、海面はさらに高い場所となる。福田さんが目指す“高み”は、その先にあるのかもしれない。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「花粉の季節のベースメイク法」と題し、花粉が増えるこれからの季節に最適なスキンケア法を解説した。
■「花粉の季節のベースメイク法」
肌がデリケートになる花粉の時期にオススメな「花粉の季節のベースメイク法」を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST伊藤礼子さん。

今回使用するのは、低刺激タイプの化粧水、乳液、BBクリーム、バリアミストの4つ。

肌荒れ予防は保湿から。まずは化粧水。
1プッシュ分を両手に広げ、顔全体になじませる。これを2回行い、指先でゆっくりと軽くたたくように中心から外側へのばす。

【ポイント1】 敏感な肌には手のひらで

次に乳液。
こちらも両手全体に広げたら、中心から外側へこすらず押すようになじませる。

【ポイント2】目の周りなど皮膚が薄い部分は優しく・ゆっくり・心地よく

潤いをキープさせるため、化粧水、乳液できちんとケアした後はベースメイク。 BBクリームで花粉などの微粒子汚れ、紫外線などから肌を守るのにオススメ。 赤みの出やすい頬から指の腹をつかって、押さえるように優しく伸ばす。

【ポイント3】肌が敏感な時期だからと、ベースメイクや化粧自体をしないのは肌に逆効果

最後にバリアミストでバリアアップ。 日中の刺激から肌を守りながら、化粧の保ちも良くなるのでオススメ。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、3月8日の放送は、バレーボール元全日本代表の益子直美さんが登場する。