運も実力?奇跡のような巡り合わせをたぐりよせる、圧倒的な自己肯定感

2019.01.18 22:30
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。1月18日の放送は、サッカー日本女子代表の熊谷紗希さんが登場。フランスの強豪チーム、オリンピック・リヨンで活躍し、今年開催されるワールドカップでは「なでしこジャパン」のキャプテンとしてピッチに立つ熊谷さんの、現在の思いに迫った。
■幸運な巡り合わせ
熊谷さんは小学生からサッカーを始め、高校はサッカーの名門、仙台の常盤木学園に入学。1年生からレギュラーの座をつかみ、3年生の時には主将として全日本女子ユース3連覇を果たすなど、さまざまなタイトルを獲得した。2009年に浦和レッズレディースに加入し、全試合に出場しリーグ優勝に貢献。2011年6月のFIFA女子ワールドカップで優勝を経験し、同年7月にドイツのフランクフルトへ移籍。2013年6月にはオリンピック・リヨンに移籍し、2015〜2016シーズンから、UEFA女子チャンピオンズリーグで3連覇を達成した。
これまでのサッカー人生を振り返った熊谷さんは、「生まれ持った才能はないけれど、“運”はあった」と話す。「中学校は札幌のクラブチームに所属していたんですが、学校でも私が入学した年にちょうどサッカー部に熱心な顧問の先生が入ってきてくれて、3年間男子と一緒に練習させてもらえたのは大きかった。また、札幌のいち選手だった私が本州の高校の目に留まる機会なんてほとんどないので、常盤木学園に行けたことも大きく、本当にタイミングが良かったと思う」と続けた。
他にも、10代後半から招集された日本代表で、いずれ日本を世界一へと導くこととなる元なでしこジャパン監督・佐々木則夫さんとの出会いがあったこと。フランクフルトへ移籍すると決まってから迎えた2011年6月のFIFA女子ワールドカップの決勝のピッチが移籍後のホームグランドになる場所だったこと。そして、その決勝戦では熊谷さんが最後にPKを決めて優勝が決定したことなど、幸運な巡り合わせは、その先もまだまだ続く。「フランクフルトに移籍した年にチャンピオンズリーグの決勝まで行くことができて、その時に戦ったのがフランスのリヨン。たまたま目に留めてもらって、オファーをいただいて移籍することになりました」。加えて、2019年ワールドカップも所属クラブのあるフランスで行われる上、準決勝、決勝の会場は、所属チームのホームグラウンドであるリヨン。自身にまつわる偶然に驚きつつも、「指導者の方やチームメイト、仲間たちとの巡り会いも含めて、そういうところは本当に運がいい」と語った。
■ワールドカップに向けたキャプテンとしての思い
熊谷さんは、現在28歳。2度目のワールドカップ制覇を狙うなでしこジャパンのキャプテンとして、目指す姿はあるのだろうか。「私がなでしこジャパンに加入してから、澤穂希さんや宮間あやさんといった歴代のキャプテンがいらっしゃいましたが、私がお二人のようになれるとは思っていないし、そこを目指すのはちょっと違うかなと。私は私なので、特にキャプテンだからと意識していることはないけれど、ピッチの上では言葉よりもプレーで引っ張って行きたいし、チームが困ったらみんなの前に立って助けたい。キャプテンとしてというより、自分の経験と年齢とチームの中での立ち位置から、自覚と責任は持っているつもりです」と、熊谷さんならではのキャプテン像が語られた。
今年開催されるワールドカップで「日本女子サッカーが世界を驚かせることができたらすごく嬉しい」と話す熊谷さん。「1戦ごと、目の前の相手をしっかり倒しながらワールドカップに向けていい準備ができたらいい」と抱負を口にし、翌年の東京五輪については「また来年考えます」と一蹴。今は、ワールドカップに全てを懸けている。
■オフは帰国して美食三昧
オンとオフの切り替えは得意で、オフができると必ず帰国するという熊谷さんの楽しみは、焼き肉など美味しいものを誰かと一緒に食べることだ。「フランスでは一人暮らしなので、食事を作って片付ける時間の方が、食べている時間よりも長いかもしれない。“あれ? もう食べ終わっちゃった……”というくらい寂しく短時間で食事が終わる」と話した。その反動からか、帰国した熊谷さんのSNSの投稿は、食べ物が多い。「1週間、焼肉でも行けます。帰国したら本当にそれが楽しみなので、惜しみなく美味しいものを堪能したいです」と笑顔を見せた。
トップアスリートとして食事にも気を配っているかと言うと、そこまで意識してはいないとのこと。「お肉かお魚があって、ご飯とお味噌汁とサラダがあればOKだと思っているので、カロリーや体重の増減にはそこまでストイックではない」。高校時代は揚げ物の衣を取って食べるなど、カロリーを気にしていた時期はあったそうだが、「その衣を食べたか食べないかでそこまで変わらない。気にするなら明日、その分動けばいい」とキッパリ。
また、落ち込んだり、スランプに陥ったりした時も、「日をまたいで引きずることはない」と話す。「“明日頑張れないな”と思って寝たことはあまりないです。寝たら忘れる、ではないけれど、過ぎたことを考えすぎてもしょうがないというか。“変えられるのはもうここからしかない”と考えるタイプなので、まぁよく寝ることですね」「オフは睡眠を削って遊ぶことに注力しますが、普段は最低でも8時間は寝たい」と、自己流の気持ちの切り替え方を語った。
■一番大切なのは「楽しむ」こと
海外で活躍し、世界有数のトッププレーヤーとなった熊谷さんは、日本のサッカー界の課題についてこう指摘した。「ミスしないように、怒られないようにする日本人のプレーがあまり好きじゃなくて。ミスしたら怒られるからミスしたくない。ミスを恐れて勝負できないとなると、結局ボックス(ペナルティエリア)内で、(相手にとって)怖いプレーができない。そんなの楽しくないじゃないですか」。
熊谷さんがサッカーに取り組む中で心がけ、一番大切にしているのは「楽しむ」こと。「楽しくなければやりたくないし、楽しくなければ続かないし、サッカーはうまくいった時が一番楽しい。だからまた頑張ろうと思える。自分のやっていることが好きで、それを楽しめている人はイキイキと、キラキラしている」と話す。幸運な巡り合わせに恵まれ、順風満帆なサッカー人生を歩んできた熊谷さんの“強さ”の源。それは「楽しみたい」というシンプルな動機と、圧倒的な自己肯定感なのかもしれない。「自分自身のことが好きな人は素敵。私も自分の人生が、めちゃくちゃ楽しいです!」と目を輝かせていた。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「ライトメイク法」と題し、スポーツシーンに似合う自然なメイクの方法を解説した。
■「ライトメイク法」
スポーツシーンに適した「ライトメイク法」を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST西森由貴さん。

今回使用するのは、BBクリーム、アイブロウ、ルージュの3つだ。

1.BBクリームを顔全体になじませる

2.アイブロウで眉を描く
ライトメイクで一番のポイントとなる眉は、汗やこすれに強いウォータープルーフタイプがオススメ。

3.ルージュで仕上げる
ティントタイプのリップを下唇に3点置き、唇を軽くこすりあわせてなじませる。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、1月25日の放送は1月のマンスリースペシャルと題し、空手・組手の女子日本代表・植草歩さん、バレーボール女子の元日本代表・栗原恵さん、サッカー日本女子代表の熊谷紗希さんのエピソードをプレーバック。未公開映像も放送される。