フィギュアスケート鈴木明子、摂食障害を乗り越えた過去と引退後の現在

2018.12.07 22:30
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。12月7日の放送は、女子フィギュアスケート元日本代表・鈴木明子さんが登場。摂食障害を乗り越え、2大会連続の五輪出場を果たし、女子フィギュア黄金時代を支えてきた鈴木さんが、これまでの競技生活と、引退後の現在の思いを語った。
■メイクの濃さがバロメーター
女子フィギュアスケート競技で、2010年バンクーバー五輪、2014年ソチ五輪と2大会連続出場、ともに8位入賞、2012年世界選手権では銅メダル獲得。輝かしい成績を残してきた鈴木さんだが、ソチ五輪は本当に苦しかった、と振り返る。「選手生活の中で足に痛みを抱えて出場した大会は恵まれたことにこの1回だけ。何が苦しいって、痛みもですが、練習ができなかったので、自分が思っていた演技ができなかったもどかしさがありました。ソチで五輪は最後と決めて出場したのに怪我をしてしまったのは、今思うと、ある意味人生なんだなって。やってきた道のりはすごく良かったのですが、人間は誰もがやったらやっただけできるわけじゃないと知りました。でも、無駄なことはひとつもなく、その経験は後になって自分の中で伸びてきているし、経験値の上がる出来事でした」と、当時の心境を明かした。
フィギュアスケートと言うと、とても華やかな印象を受けるが、現役時代はメイクもせず、髪の毛もただ洗って乾かすだけだったと話す鈴木さん。「中学生くらいから試合用のメイクをみんな自分でするようになるので、大会でメイクをするとスイッチが入る感じ。現役中は朝からスッピンで女子力ゼロでした」と笑う。自信がなかったり、不安になったりするときは、メイクが濃くなる傾向があったとのこと。一方で、2012年の世界選手権で銅メダルを獲得した時には、知人から「メイクしていた?」と聞かれるくらいナチュラルメイクだったという。
■フィギュアスケートを通して知る、新たな自分
荒川静香さん、浅田真央さんをはじめ、数々の名選手が活躍した女子フィギュア黄金時代の一翼を担った鈴木さんは、2014年の世界選手権を最後に競技から引退。現在は、プロスケーターとして活動している。「リンク環境が少なく、ただでさえ限られている選手たちの練習時間をプロが奪うわけにもいかないので、ここ2か月は夜12時過ぎや2時過ぎ、朝の4時半や5時半といった時間帯で練習しています」。そんな深夜帯の練習にも愚痴をこぼさず、鈴木さんは自分が持てるものを最大限発揮しながら練習を行っている。鈴木さんが“リンクのお父さん”と慕う、練習施設の職員・鬼頭賢次さんは「フィギュアに対してすごく愛情があって真面目。彼女は何をやるにしてもフィギュアの為になるというのを自分で前向きにかみ砕いてチャレンジしていく姿勢がある。昔と比べるとしなやかになったし、緊張がほぐれているので演技に余裕が出たなと思う」と、鈴木さんを評した。
鈴木さん自身も、表現の中で得意なのは、水や風、火といった抽象的なものになりきる「憑依」だと語る。「もともとシルク・ドゥ・ソレイユの世界が好きで、『O』の曲を使用した演目では、実在しない青い鳥を演じました。毎回自分の感情でも表現が変わってきますし、フィギュアスケートの氷は真っ白で、何色にも染めていけるというのが楽しくて……フィギュアスケートを通していろいろなものを表現することで、新たな自分を知る過程がすごく楽しい」。現役中は振付師からいろいろな感情や表現を引き出してもらい、スケートの楽しさを学んだ経験から「今度は自分が表現する喜びや楽しさを次世代にも伝えたい」という思いを抱き、現在は振付師としても活動している。
■摂食障害を乗り越えて
鈴木さんは大学入学後に摂食障害を患い、一時期スケートから離れていた。「昔は完璧主義でした。完璧にできるほどの能力がないのに、完璧を求めて苦しくなる」それが摂食障害の原因のひとつでもあったという。そんな鈴木さんを復活へと導いたのは、やはりスケートだった。「ただスケートが好きだから。これしかないですね。光の中にいて輝いている自分が好きだったから、スケートをして拍手がもらえるあの場所にもう一回立ちたい、その思いで乗り越えました」と、病気を治すことだけを目的には頑張れなかっただろうと回想する。
また、ひとつのことに対して頑張る、やり遂げるという基盤を作ってもらい、スケートを続けてこられたのは、小学校3、4年生を担当してくれた先生のお陰でもある、と語った。「何があっても諦めずにコツコツとやろうと思えるようになったのは、“踏まれても根強く伸びよ いつまでも”という言葉を先生が残してくれたからです。雑草のごとく、どんなに踏まれても、自らが伸びていく可能性を信じていかなきゃだめだよ、ということを教わりました」。鈴木さんの心の中には常にこの言葉があり、いつも勇気づけられ、何度も背中を押してもらったという。
■最後に寄り添い、信じるのは自分自身
鈴木さんにとってスケートとは、ある種の“片想い”のようなもの。「頑張れば振り向いてくれる時もあって、いい演技が出来る時もあるけれど、頑張っても頑張っても怪我をしたり、摂食障害という病気になったりすることもある。でも、そこで片想いを諦めるかと言えば、わりとしつこいんです。嫌いにはなれないんですよね。やってもまだ可能性があるような気がして、突き詰めたくなるんです」と、スケートへの熱い想いを言葉にした。
鈴木さんを強く美しくする言葉は、「信じる」。フィギュアスケートを通して苦しみも喜びも味わい、すべて受け入れることができた鈴木さんだからこそ、重みがある。「本番までどれだけ多くの人がサポートしてきてくれても、最後にあの広いリンクに立つのは自分ひとり。その時に、一番信じなければいかなかったのは自分自身でした。もともとは弱い自分なんて嫌いで、強い部分だけを認めていましたが、弱い自分も自分自身なのだと思うと、どちらの自分も丸ごと受け止めてやっていくしかないなと。自分のことが嫌いで輝いている人なんていないし、自分を信じているから光を放てるのだと思うと、自分もそうありたいです」。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回はスポーツ後のお出かけに、オススメなトレンドを取り入れた口元メイクの方法を解説した。
■「くずれにくいメイク法」
スポーツをしても安心の「くずれにくいメイク法」を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST向井志臣さん。

今回使用するのは、下地、パウダリーファンデーション、アイブロウ、ルージュの4つ。

皮脂崩れ防止下地を全体にしっかり塗る事で、崩れを防ぎながら紫外線もカット。これ1つで、スポーツ時のベースメークの持ちが大きくアップする。
【ポイント1】
塗り忘れが意外と多いのが、顎の下部分。この部分までしっかり下地を塗っていく。
下地の後は、パウダリーファンデーションを薄く付けるのがオススメ。

【ポイント2】
崩れやすい目の下部分もしっかりとパウダリーファンデーション塗ることで、保ちがぐっとアップ。眉も汗やこすれに強いウォータープルーフタイプのアイブロウを使うと安心。

【ポイント3】
全体に描いた後、スクリューブラシで輪郭を軽くなじませると、ナチュラルな仕上がりに。
スポーツの時に艶々リップはNG。セミマットな質感がオススメ。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回12月14日は、元新体操日本代表 畠山愛理さんが登場する。