どん底を経験した女性アスリート、浮上のきっかけは「初めてのひとり暮らし」

2018.11.30 22:30
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents 才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。11月30日は、11月のマンスリースペシャルと題し、フェンシング女子フルーレ日本代表の宮脇花綸さん、サッカー女子日本代表の鮫島彩さん、横浜F・マリノスに所属する、元サッカー日本代表の中澤佑二さん、ショートトラックスピードスケートの元日本代表・勅使川原郁恵さんが登場。各回の名場面をプレーバックするとともに、未公開映像を交えて、4人の輝きのさらなる秘密に迫った。
■どん底から抜け出すために始めた、宮脇花綸のひとり暮らし
今年8月に行われたジャカルタ・アジア大会のフェンシング・女子フルーレ団体で、日本チーム初となる金メダルを獲得した宮脇さんだが、実は2016年のリオ五輪では出場が叶わず、どん底を経験していた。「リオ五輪が終わった直後はピンチでした。五輪に行けなかったことよりも、どういうフェンシングを目指していいかわからなくなり、私よりも周りの人の方がすごく残念がっているのを感じたり、ストレスで体重が増えたり、両親との関係も良くなかった」と、当時を振り返った宮脇さん。そのスランプを抜けるための打開策は、初めてのひとり暮らしだった。「自分で色々なことをコントロールできる環境に身を置いたことで、全て自分の責任でできるようになりました。特にフェンシング以外の部分、食事や生活リズムなどを自分のペースでできるのが嬉しかったです」。そもそも個人競技が好きな理由も、“全部自分に責任がある”という状況が好きだから。生活の変化によって目線と意識が変わり、競技面にも良い影響を与えるようになったという。
宮脇さんの座右の銘は、“今日は私の日。私が主役だ”という意味の“TODAY IS MY DAY”。「試合の日は自分が一番高いところにいって、自分が一番いいことをして、一番目立たなければいけない日なので、すぐにその気持ちを呼び起こしてくれる言葉として、いつも胸に刻んでいます」。そして、来たる2年後の東京五輪に関しては、「現在、団体でメダルを獲れる位置にいるということは、東京五輪の団体でもメダルを狙えるということ。個人としては、それまでの世界大会で、何度もメダルを獲り、満を持して金メダルを獲りたいです。メダルを獲ると言ったら、銅か銀か金じゃないですか? 銀も銅も一回だけ負けているということになるので、それならその一回を頑張って勝って、金メダルにしたいなと最近思っています」と、力強く語った。
■なでしこ鮫島彩を襲ったブーイングの嵐
2011年 FIFA女子ワールドカップ優勝後、突然巻き起こったなでしこジャパンブームの渦中にいた鮫島さん。しかし、その栄光の後には、挫折も待ちうけていた。「優勝後はみなさんの期待が大きく、リオ五輪出場を逃した時のサポーターからのブーイングは、今まで経験したことのない景色でした。でも、そういうのも含めて豊かな人生になりましたし、いろいろなことを経験させてもらったなと思います」。
そんな鮫島さんは、気持ちが沈んだり、不安に駆られたりした時は、まずは“自分を認めること”を大切にしている。「ワールドカップ優勝後にフランスに渡ったので、自分の中でもっとうまくならなきゃという思いが先走っていた。けれどフランスは練習量が少なく、思いだけが空回りして、やればやるほど調子が悪くなり、長い間スランプから抜け出せませんでした」。そんなとき、サポートしてくれていたスタッフに、「まずは、それだけ頑張ろうとしている自分を認めてあげなきゃだめだよ」とアドバイスを受けたことで、鮫島さんは気持ちを立て直すことができた。「その言葉を聞いて、ああそっか。今フランスにひとりで来て頑張っているんだ。そう認め始めたらすごく楽になって。練習でも、“今日はここまでできたからOK”と思えるようになり、楽しみながらサッカーに取り組めるようになりました」と語った。
2019年、そのフランスで開催されるワールドカップ。再び栄光を掴むために「直近の目標として、まずは来年しか見ていないです」と前を向いた。
■鉄人・中澤佑二が選んだボンバーヘッド時代の1枚
中澤さんの座右の銘は、”できるかできないかじゃなく、やるかやらないか”。「結果だけを求めるのではなく、やることに意味がある。結果は出なくても、続けることで成長はあるし、何かつかむものがあるんじゃないかと思う。だから僕は、この言葉が大好き」と譲れない信念を語る。
GK以外のフィールドプレイヤーでは歴代最多の199試合連続出場の記録を持つ鉄人・中澤さんが、ピッチでの一瞬を切り取ってきた数々の写真を前に最初に手にしたのは、2010年南アフリカワールドカップベスト16の時のものだ。「一番、いい思い出が詰まっていて、僕の中で一番どこに出しても恥ずかしくない写真はこれ。過去の栄光ですね」と笑う。そして次に手にしたのが、2006年ドイツワールドカップ惨敗時の写真で、「これがあってのこっち(上記、2010年南アフリカワールドカップベスト16の時の写真)の成功だったので、これはこれで色々な思いが詰まっていますね。まあでも、わかりやすいのはこっちですよね」と話しながら手にしたのは、1999~2001年のヴェルディでの練習生時代の写真だ。当時、“ボンバー”という愛称で親しまれていた中澤さんだったが、あまりにも頭が大きいため、元日本代表GKの本並健治さんに「お前の頭でボールが見えない」と苦情を言われたこともあったという。
ワールドカップの魅力を女性に説明するとしたら、「普段すごいスターでも、ワールドカップに来ると、そのスターですら緊張しちゃう大会。それが4年に1度しかない。だからこの大会を逃すと次選ばれるかわからない。要するに、メッシでさえも緊張しちゃうっていう、4年に1度あるスゴイ大会」と、熱く語った。
■現役時代から今も続く、勅使川原郁恵の挑戦
「もういいや!」と思うのがすごく嫌だと話す勅使川原さんの好きな言葉は、“挑戦”。「常に挑戦者として、何事にも、難しいことにも挑戦してみようという気持ちでいると、自分自身も強くなれる」と理由を語る。
では、勅使川原さんは現役中に、どのような“挑戦”をしてきたのか。「長野五輪前は“ショートトラックって何ですか?”と聞かれることが多かった。だから、ショートトラックをメジャーにしたいと中学生の頃から思っていて、そのためにはやはり成績を残さないとだめだなと。じゃあ、誰がやる? と考えたとき、誰もいないかもしれないから、じゃあ自分がやろう、自分が頑張ろう! という気持ちで競技を続けてきました」。アスリートとしての挑戦に区切りがついた現在は、次なる挑戦、ヘルスケアスペシャリストとしてスポーツの楽しさを伝えようとしている。子どもたちに五輪のすばらしさや夢を伝えたいと願い、子どもたちにとって何が一番大切なことかを、夢中で勉強している最中だ。 勅使川原さんは、「2020年の東京五輪を、子どもたちに生で観戦してほしい。本物の選手が頑張っている姿を見ることによって、夢がどんどん広がっていくと思うし、自分も頑張ろうという気持ちになれると思う。そうやって、どんどん前向きな子どもたちが増えていったら」と、目を輝かせた。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「本格的な美白ケア」応用編と題し、夏に浴びた紫外線ダメージをケアする方法を解説。
■口元メイク法
スポーツ後のお出かけに適した口元メイク法を教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST西森由貴さん。

今年はベリーリップがトレンド。

おすすめの口元メイクは“とろり塗り”。

まずはくちびる全体にルージュを塗り広げる。
重ねて塗ることで、しっかりと色を出すことができる。
ポイントとして、中央部分に塗り重ねると、立体感とツヤが増す。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、12月7日の放送は、フィギアスケート元日本代表・鈴木明子さんが登場する。