元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents 才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。9月7日の放送は2012年ロンドン五輪で3つのメダルを獲得した競泳の鈴木聡美さんが登場。女子50m平泳ぎの日本記録保持者でもある鈴木さんが、栄光のロンドン五輪からの挫折と復活、東京五輪への思いを語った。
幼少期から水泳を始めた鈴木さんが、小学校2年生の時に平泳ぎの選手になったのは、「他の泳法でも、どうしても平泳ぎのキックが入ってしまい、タイムが伸びたのが平泳ぎだけ」という理由からだった。それから中学、高校と進み、全国レベルでの目立った活躍はなかったものの、厳しい練習で有名な山梨学院大学に入学した後に、その実力を開花させることとなる。中でも、4年生の時に迎えたロンドン五輪では、日本女子競泳史上初となる、1大会で3つのメダル(100m平泳ぎの銅メダル、200m平泳ぎの銀メダル、400mメドレーリレーの銅メダル)を獲得し、女子競泳界の歴史に名を残す偉業を成し遂げた。「当時はただただ嬉しかった。大学に入り、4年間積み重ねてきたものが、ここで一番大きな花となって開いたんだと思った」と振り返った。
ロンドン五輪後、世間から注目を浴びるようになったが、メダリストとしての重圧が、21歳という若さの鈴木さんに重くのしかかってしまう。「もともと引っ込み思案で目立ちたがり屋ではなかったので、注目される嬉しさよりも不快感や不安感の方が強くて、自分で解決しなければいけないと思い込んでいた」と、周りにも一切頼ろうとしなかったことが、よりふさぎ込んでしまう原因になったと話す。結果、自分を追い詰め、スランプに陥った鈴木さんは、2015年の世界選手権の代表から外れてしまう。それでも、2016年のリオデジャネイロ五輪出場は叶ったものの、残念ながら表彰台に上ることはできなかった。
この時の不調の原因を、「スピードに特化したパワートレーニングを重視し過ぎて、本来あるしなやかさや伸びのある泳ぎが一切できなくなっていた」と分析した鈴木さんは、自分の泳ぎを取り戻そうと、トレーニングや練習の仕方を変えていく。例えば、可動域を増やすため取り入れたヨガでは、リラックスすることが重要なため、水の中でもヨガの心得を活かしたことで楽に泳げるようになったという。「それまでは力いっぱい全身を使い泳いでいたが、いかに省エネで速く泳げるか、スタミナを保たせられるか。しなやかな動きを出しつつもパワーを繋げていったら、記録が出るようになった」と語るように、努力の甲斐もあってスランプを脱出した。それからの鈴木さんは、日本記録を次々に塗り替えていった。「どこまで進化するのか自分でもわからないが、とても楽しい」と笑顔を見せる。
山梨学院大学水泳部の神田忠彦監督は、鈴木さんのことを「非常に才能がある」と評価する一方で、「まだまだ不完全なところがあり、人間形成や女性らしさを備えることが大切」とコメント。「競技が終わった後の人生が一番長くなるため、バランスの取れた人間になってほしい」とも語った。そうした神田監督の言葉を受け、現在所属しているミキハウスでも、一つの物事に集中し没頭することが得意な性質を活かしながら、郵送物のシール貼りといった事務作業を行い、社会経験を積んでいる鈴木さん。「競技が終わってからは、表立った仕事より、こうやって裏方で黙々と作業したり、頑張っている人のサポートができるような仕事がしたい」。これまで自分が支えてもらった分、恩返しをしたいという思いを胸に、オフモードの時は競技後のことを考えたり、興味のあることを調べたりして過ごしている。
また、同僚とのランチでは、大会会場の様子についての話題に。「自分には応援してくれる人がいるんだという安心感を求めて、スタンドにいる知人や家族を探している。泳いでいると応援が聞こえないんじゃないかと思われるが、水の中でも意外に聞こえていて、“鈴木選手”とか“聡美さん”とか声援をいただけると、すごく安心感を持つことができて、より一点集中ができる」と、スタンドからの応援が、いかに自身の励みになっているかを強調し、感謝した。
■笑顔を絶やさず自己新記録での金メダル獲得を目指す
今もなお徐々にタイムが伸びている鈴木さんは、2018年8月にジャカルタで行われたアジア大会でも、50m・100m平泳ぎの個人二種目で金メダルを獲得。「悔しい思いはリオデジャネイロ五輪までに十分経験しているから、その悔しさをバネに東京まで続けたい。一度はロンドン五輪で(200m平泳ぎ)2分20秒を出しているので、もう一度そこまでいきたい。これからの私なら、出せないはずがない」と力強く語った。「東京五輪では自己新記録を更新して金メダルを獲る」という目標が、今の鈴木さんの全ての原動力になっている。だから、たとえ苦しいトレーニングでも、自分のモチベーションを上げるために、笑顔で、楽しく競技ができるように心がけている。
そんな鈴木さんが大切にしている言葉は、「トレーニングでは男らしく、それ以外では女らしく」。トレーニングでは男気を出さないと練習についていけないし、自分を強くするためにも男らしさが必要だが、私生活において女性らしさを忘れてしまったら、競技にも良くない影響が出てしまう。そして、競技を終えた後の「将来」のためにも、強く美しくあり続けるために、男らしさと女らしさの両立を意識していると語っていた。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「夏の紫外線対策」基礎編Part3と題し、日焼け止めの塗り直しのタイミングを解説した。
■「夏の紫外線対策」基礎編Part3
日焼け止めの塗り直しのタイミングについて教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST 石田美紀さん。
1.塗り直しは、2~3時間を目安に。
2.腕や足は汗や砂を払ってから塗りなおす。
3.長時間屋外で活動する際は、2~3時間より短い間隔で塗りなおす。
4.塗り残しがちな耳、耳の後ろなどは、指先に適量を取って塗りなおす。
今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、9月14日の放送では、バレーボールの元女子日本代表で、ロンドン五輪の銅メダリスト・狩野舞子さんが登場する。