スノーボード竹内智香はエゴイスト?「自分のために頑張る」という言葉の真意

2018.07.06 15:00
元プロビーチバレー選手の浅尾美和さんがMCを務め、ゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある真の「美しさ」を解き明かす、スポーツグラフィックマガジン「Number」と企画協力したドキュメンタリー&インタビュー番組『SHISEIDO presents 才色健美 ~強く、そして美しく~ with Number』(BS朝日、毎週金曜22:00~22:24)。7月6日の放送では、2014年ソチ五輪で銀メダルを獲得した竹内智香さんが登場。女子スノーボードアルペン種目の第一人者としてパラレル大回転で5大会連続五輪出場を果たした竹内さんの、現在の胸の内に迫った。
■タイムで勝ち負けを知りたい!アルペンスノーボードとの出会い
竹内さんは、「スキー全般と、雪の上にいることがとても好きだったので、いつかオリンピックを目指すなら夏ではなくて冬のスポーツだなと考えていました」と、幼い頃を振り返った。そんな彼女がスキー場でスノーボードを見るようになったのは小学校4年生で、物珍しさとファッション性に恰好良さを感じ、5年生のときにスノーボードを始めた。そして、中学2年生のときに行われた長野五輪でアルペンスノーボードが正式に採用されたことを機に、本格的に五輪出場を目指すようになった。
アルペンスノーボード種目の一つ、パラレル大回転は、急斜面に設けられた複数の旗門を、回転(ターン)の技術を駆使して蛇行しながら通過し、フィニッシュラインに到達するまでのタイムを競う。竹内さんが技術や芸術を競うフリースタイルではなく、スピードを競うアルペンを選んだのは、勝ち負けが分かりやすいから。「例えば、平昌五輪の平野歩夢くんの競技を見て、何で歩夢くんの採点の方が低いの? と疑問を抱いたので、見ている側がそう感じるということは、競技をする本人はもっとそういう気持ちになり、その思いを自分の中で解消しないといけない。だから私の性格的には、タイムだけで判断する方が向いている」と、その理由について語った。
■「弱さは強さを磨いて補えばいい」大ケガからの復活
ソチ五輪での銀メダルに満足せず、その悔しさを支えに平昌五輪での金メダルを目指していた竹内さんが、左膝前十字靭帯断裂というアクシデントに見舞われたのは、2016年ワールドカップ予選のことだった。「すごく重たいケガなので、切ったら絶対に競技を辞めるだろうと思っていたけれど、実際に切ってみたら、“あれ、切れちゃった”と言うくらい、すごく軽く受け入れることができた」。周囲からは、「よくポジティブでいられるね」と言われたが、「誰よりも弱く、崩れやすい自分だからこそ前向きでいるしかなかった」と。もし、そこでちょっとでも自分の弱いところに目を向けてしまうと、本当に乗り越えられなくなってしまうため、「弱いところは可能な限り見ない」のが竹内さんのやり方だ。弱さから逃げているのかもしれないと自嘲しながらも、「弱さは、強いところを磨いて補えばいい」ときっぱり。「弱い自分、見たくない部分は見て見ぬふりをして、頑張れるところ、前向きになれる部分だけを見よう」という思考だ。竹内さんは、必ず結果に繋がるようにと、強い自分、良くなる自分にフォーカスし続け、大ケガを乗り越えて2018年の平昌五輪代表に選出。メダルは獲得できなかったが、その姿は多くの人に勇気を与えた。
■「自分のために頑張る」と思える強さの理由
番組では、平昌五輪が終わってから4カ月が経ち、徐々に体を動かすために再開したトレーニングに密着。2年前から竹内さんをサポートするトレーナーの宮下純一さんに彼女の魅力を尋ねると、「自分を持っている人。例えば、人の目を気にせず、ありのままの自分をそのまま出せるような人」と表現した。すると竹内さん自身も「その通り。誰に何を言われようと、どう評価されようと、やっぱり自分は自分」と笑った。続けて宮下さんが、「相手によって対応を変えないので、それが僕からすると一番すごいところだと思う」と発言すると、「自分でもそれは気を付けている」と返答し、偉い人がいようと、友だちや後輩がいようと、「誰と接していても可能な限りいつも同じように振る舞いたい」とコメントした。
竹内さんは、「信念を持てること、絶対にコレと決めたら、その目標に向かって全力投球できることが自分の強さでもある」と分析。その最たる例として、ついこの間まで、“平昌五輪で金メダルを獲る”という目標だけを見つめ、全力投球していたが、表彰台に上がることはできなかった。
平昌五輪では優勝しか考えておらず、「一分一秒たりとも金メダルから背を向けたくないと思い、強く思うほど目標に近づけると思っていた」と話す竹内さん。平昌五輪が行われた今シーズンは特に調子が悪く、予選通過も難しいと感じていたにも関わらず5位入賞を果たしたのは、「金という一番高いところを目指したから、最低限の5位まで引き上げてもらえた」と分析する。その経験も踏まえて、「自分が発した言葉は必ず自分に返ってくる」と、言霊を信じている。「どんなに難しい目標であっても一番高いところに目標設定を持っていくということを、この4年間ぶれずにやってきてよかった」と振り返った。
「金メダルは手に入らなかったけれど、結果に対する周りからの評価や、誰かのためではなく、自分のために競技ができ、生きていられることが自分の強さなのではないかと思う」と話した。エゴイストのように聞こえるかもしれない、と前置きしながらも、「本当に心から私のことを応援してくれている人たちが、僕のため、私たちのために頑張ってとは思っていないはず」と話す。「私が楽しくオリンピックのスタートに立って、スノーボードを楽しんで、やり切ったという気持ちが、心から応援してくれている人たちにとっても一番うれしいことだと思うし、それでメダルという特産物が付いてきたら、もっとみんながハッピーになれると思う」。竹内さんが「自分のために頑張る」と言い切る強さを持つことができた理由。それは、「どんな結果でも帰れる場所がある」という、応援してくれる人たちへの思いにあった。
■新たな挑戦に向けて
竹内さんは今、「どんな色にも染まれる自信がある」ことから、自身の色を「透明」と表現した。「スキューバーダイビングやゴルフは今までやってみたかったレジャースポーツで、そこに触れることによって、いろいろな五感が磨かれると思う」と笑顔で語る。また、「ソチ五輪が終わった後、“引退”という言葉と向き合ったし、続けるにはそこそこの覚悟が必要で、2月に五輪が終わってから、“やります”と言うのに8月までかかった。だから、今回はもっと時間がかかるのではないかと思っている」と、次なる道を決めかねていると告白。
「明日への原動力は挑戦」と話す竹内さんは、常に新しいことに挑戦するのが好きだと言う。「人生で色々なターニングポイントがあると思うんですが、今がその一つの分岐点だと思うので、正しい判断をするためにも焦らず、自分と向き合いながらストレスをかけずに今後やりたいことを見極める時間にしたい」と述べ、「挑戦したいことが定まった瞬間、その物事に100%頑張れる」と、真っ直ぐな瞳で語った。
番組の途中では、スポーツオケージョンにおける“美”をサポートする、プロならではのテクニックとノウハウを紹介。今回は「夏の紫外線対策」基礎編Part3と題し、日焼け止めの塗り直しのタイミングを解説した。
■「夏の紫外線対策」基礎編Part3
日焼け止めの塗り直しのタイミングについて教えてくれたのは、資生堂HAIR&MAKE UP ARTIST 石田美紀さん。

1.塗り直しは、2~3時間を目安に。
2.腕や足は汗や砂を払ってから塗りなおす。
3.長時間屋外で活動する際は、2~3時間より短い間隔で塗りなおす。
4.塗り残しがちな耳、耳の後ろなどは、指先に適量を取って塗りなおす。

今回使用した商品の詳細は以下のサイトで。
次回、7月13日の放送では、元競泳選手で史上最年少金メダリストの岩崎恭子さんが登場。金メダルを獲得した後の思いもよらぬ苦悩や、大切にしているモットーなど、知られざる本音が語られる。