私が考える時間とモノの嗜み方 〜 vol.1 スタイリスト・池田尚輝氏 〜

2018.05.15 00:00
メンズファッション誌や広告の世界で、モードやドレススタイル、そしてカジュアルまで、ジャンルを越境するコーディネートを得意とするスタイリストの池田尚輝さん。独立して早18年。どんな風にスタイリストという仕事と向き合い、また忙しい中で自分の時間を作ってきたのでしょうか。スタイリストという仕事を通して、彼の考える時間やモノの嗜み方を紐解いていきます。
しがらみに囚われず、まずは自分の時間に没頭する
ー広告・雑誌と活躍されている池田さんですが、仕事上でどんなことを心がけていますか?
「常に自分が絶対面白いと思えるスタイリングに辿り着くまで準備を続けることに尽きると思います。中途半端なことをやっても自分が納得しないし、楽しくなくなってしまうので。それは独立してからずっと変わらないことですね」
ー時間の制約がある中で、その心がけを貫く秘訣は何でしょうか?
「締め切りがあるからこそ、集中できるとも言えますよね。例えば、同時進行で走らせている案件があると、頭のどこかが締め切りや別のことでかたくなってしまいがちですが、一つ一つに集中する様にしています。妻にも『あんなに大事なことが別のところで動いているのに、よく違うことに没頭できるね』と言われるんですけど(笑)。加えて、多分ファッション写真にしろCMにしろ、スタイリストを入れる時点で何か新しい面白いものを求められていると思うので、それを出すために、常に心を開いているように腐心してるんです」
忙しさの中にもエレガントな空気をまとう大人たち
ー仕事をしていて尊敬する人はどんな人ですか?
「仕事をしていて思うのですが、忙しくない人ってほとんどいないじゃないですか。明らかに自分よりいろんな案件を抱えていても、ゆったりとした時間をまとった所作をする大人を素敵だと思いますね。決して、忙しさを周りに見せない。そんな人と接するたびに、自分もどんなに余裕がなくても、周りの人や仕事に対して、丁寧な姿勢を崩さない様に心がけています」
ー仕事で煮詰まり、リフレッシュしたい時はどんな工夫をされていますか?
「家に誰も居ない時に好きなものを並べてみて、良い景色だなぁって(笑)。日常空間に非日常を立ち上がらせるといいますか。ランプの下に本当はこのウッドボールを置きたいけど、実利的には邪魔だから普段違う所に置いていて。わざわざずらして、横にお気に入りのカップを置いて……『あ~俺この組み合わせ好きだな』って思うのが楽しくて。リフレッシュするだけでなく自分の好みやテイストを再認識することができるんです」
ープライベートでも空間を演出するんですね......!
「並べるのって良いですよ。買い物って良い風にお店側がプレゼンテーションしてくれているから欲しくなるわけで。買って改めて見返すとなかなか購入時ほど魅力を感じているのかどうか怪しいものって結構あるじゃないですか。それは日常の雑然とした空間に存在させているのが原因だと思っています。だから、買ってきたものにまたそのプレゼン空間を与えてあげなきゃいけない。他にも、靴を磨いて綺麗にしてまた魅力を出してあげたり。売っているときの良さもあるけど、場合によっては売っているときよりも時間を経て良くなるものもあるんですよね。そこにスタイリングのロマンがある気がします」
スーツにもカジュアルにも。スタイリング次第でいろんな表情を見せる腕時計
ー「時間」にまつわるものとして腕時計がありますが、普段はどんな風にコーディネートされるのでしょうか?
「そんなに多く持っているわけではないですが、腕時計は好きなんです。その日のシーン、誰に会うか、どんなことをするかで朝スタイリングを考えるときに自ずと腕時計も決まります」
ー今回プレザージュを身につけてみて、どんな印象をお持ちになりましたか?
「腕にしっくり馴染みますね。背丈がそこまで大きくはないので、ゴツゴツしたものはあまり得意ではないのですが、このモデルはダイヤルもプレーンでシャープなのがいいですね。スーツスタイルにはもちろん、スタイリングによってはカジュアルにもうまくマッチするものだと思いました。何より機械式時計はいいですよね。意識していると振動を肌に感じることもできて、ただじっとダイヤルを眺めているのも楽しくて」
ートータルでどんなコーディネートを意識しましたか?
「今トレンドとして、シルバーとかシャイニーな素材が注目されているので、こういうブレスレットの腕時計はスタイリングのアクセントになり得ると思います。今日は腕時計を主軸にアウターは『ARMANI』が一時期出していた『MANI』という別ラインのもの。シャツもドレッシーなものなので、逆にボトムスはベーシックなのが良いなと思って、一番要素を感じないデニムとして501を選びました。エレガントなものでまとめるより、80s風のカジュアルなスーツスタイルといった要素でまとめた服の袖口からチラッと『プレザージュ』のようなブレスレットの腕時計が手元から覗くのが、今の時代の気分かな、と」
背伸びしてもいいものを選び続ける、その選択の積み重ねが自分を高める
ー腕時計を選ぶときにどんなことを意識するといいでしょうか?
「腕時計は基本毎日身につけるものですが、それでも10万円オーバーとなると、購入にはある程度気合いがいるもの。でも自分が良いと思うものと10年単位で一緒に暮らすのは、購入時点と時を経た自分の連なりを重ねることができるし、その金額の価値を越えてくると思うんです。僕自身18歳で買った腕時計を今でも時々身につけて、『この選択は間違っていなかった』とか、『当時より似合うようになってきたな』と思えるようになります。誰かに見せびらかすための虚栄心じゃなくて、自分にとってしっくりくるなと感じたら少し背伸びをしてでも手に入れていいと思います。そうして購入したものを身につけて、普段の生活を送ることで審美眼が磨かれていくのだと思います」
ーこれからどんな風にキャリアを重ねていきたいと思いますか?
「スタイリングという行為は偉大だなと思います。古いものでも重ね合わせで、今っぽく格好いいものとして新しい価値を提示することができる。18年仕事を重ねてきて、その目利きのロジックが自分の中で構築されたと感じます。これを若い人や次の世代に繋いでいきたいですね」

今回スタイリストとして第一線で活躍している池田さんにお話を伺う中で、仕事への向き合い方や普段の過ごし方の一つ一つにこだわりを感じました。スタイリストとしても、一人の男性としても、自分なりに時間を捉え、モノを丁寧に選ぶ池田さんのこだわりを今後のモノ選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
■Seiko Presage
Seiko Presage(プレザージュ)はSeikoの100年を超える腕時計づくりの伝統と技術に現代の感性を融合させたブランドです。その中でも、本モデルは軽量で肌に優しいチタン素材を採用した実用性の高いモデルです。上質感のある風合いは、ビジネスシーンはもちろんカジュアルシーンでもスタイリングを格段に引き締めてくれます。
SARW043 150,000円+税
光の反射を抑えるマット塗装を施したブラックダイヤルモデル

SARW041 150,000円+税
ダイヤルの繊細なパターンが和紙を彷彿とさせるシルバーダイヤルモデル

ケースサイズ    :径40.8mm x 厚さ12.4mm
駆動方式      :自動巻(手巻つき)
防水性能      :10気圧防水
ケース・ブレスレット:チタン(ダイヤシールド)
問い合わせ先:セイコーウオッチ株式会社 お客様相談室
0120-061-012(9:30~17:30、土日祝日を除く)