山ごもり休暇制度が変えていく「休み方」と「働き方」

2018.01.31 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で仕事との向き合い方、家族との関係など、働き方が問われる現代において、新しい働き方を実践する方々のリアルな声を紹介している「iction! QUOTE OF THE DAY」。
毎回、その実体験から<働き方>のヒントとなる‘QUOTE OF THE DAY’を導き出す5分プログラムです。

1月8日(月)—11日(木)の放送では、ウェブ広告の効果測定システムを開発する会社「株式会社ロックオン」の働き方に注目しました。こちらの一番ユニークな制度は、何と言っても「山ごもり休暇制度」。1年に一度、全ての社員が9日間のお休みをとることが義務付けられているこの制度ですが、それだけではなく、休暇中は会社との連絡はメールも電話も禁止となっています。
「ゴールデンウィークや年末年始など、みんなが一斉に休んでいる時期は 行楽地は混み合っていたり、また海外旅行の飛行機代も高くなってしまう。それを避ける意味で、休みを分散したのが最初の目的です。休暇中一切会社と連絡をとってはいけないというルールですが、在宅でも仕事ができる時代だからこそ、完全にリフレッシュする意味でも、全ての業務を引き継いで休んで欲しいというのがきっかけです」
こう語るのは株式会社ロックオン代表取締役社長の岩田進さん。
会社に連絡を入れないだけではなく、なんとメールアカウントごと引き続いてしまうというから徹底しています。
「その人しかわからない仕事=仕事の属人化を避けることも山ごもり休暇の目的です」(岩田さん)
ここから導き出す、1日目の「QUOTE OF THEDAY」は、
『山ごもり休暇が生み出す、業務の見える化』
休暇中、メールアカウントに代表する業務を全て引き継ぐと言うことで、特定の個人しかわからない仕事をなくし、全てを「見える化」する「山ごもり休暇制度」。ちなみにこの「山ごもり休暇」の予定は1年前に各部署で提出が義務となっていて、休み明けには、全社員の前でどんな休暇を過ごしたか、スライドを作ってプレゼンすることも義務付けられているそうです。
2日目は、山ごもり休暇で変わった仕事の仕組みについて伺ってみました。お答えいただいたのは、山ごもり休暇でタンザニアに彫刻を習いに行ったという株式会社ロックオン人事部部長の桐生明子さんです。「“山ごもり休暇制度”の導入前は、その人しかできない仕事が たくさんあって、担当者がいない時に事業が回らなくなるリスクがありました。もちろん最初には上手く回るかなと不安でしたが 慣れていくと引き継ぎもスムーズに行うことができるようなってきました」
仕事が特定の個人に集中すると、その人が病気で倒れたり、会社を辞めてしまったりすると、途端に業務がとどこおってしまう・・・。
そのリスクを避ける意味でも、常に仕事を引き継ぎが行なっていく山ごもり休暇にはメリットがあるのかもしれません。さて、この山ごもり休暇は、仕事の「見直し」にも繋がっているようです。「自分が他の仕事を引き継いだ時、“ああ、この人はこうやって仕事していたんだ”とか“私ならこういう風に仕事をするのにな”という“気づき”も出てきます。上手いやり方はどんどんシェアできますし、また先輩が山ごもりの時は後輩がその仕事を引き継いで一時的にチャレンジしていくことができます。仕事の引き継ぎは業務フローの見直しにも繋がります」(桐生さん)
そんな2日目の「QUOTE OF THEDAY」は、『スマートな引き継ぎは、社内の仕事を見直すきっかけを生み出す』
普段、自分一人で仕事に向き合っているときには気づかなかったことも、他に人がその仕事をシェアすることで、客観的に見えてくることがあります。
さらに後輩が先輩の仕事にチャレンジする機会を生み出すなど、スマートな引き継ぎは様々なメリットを生んでいるようです。
3日目は、株式会社ロックオンの育休事情について紹介しました。広報の金ナリさんによりますと、現在社内で育休を取得している社員は7名で、うち4名が男性だそうです。申請ベースでの相談ですが、これまで実績でいうと1ヶ月ないし2ヶ月取得しています。社内では山ごもり休暇のおかげで引き継ぎには慣れているので育休に関してもスムーズに引き継ぎが行われているそうです。
この育休について、実際に取得経験がある、情報システム課課長の 前山扇穂さんに伺ってみました。
「私は11ヶ月育休を取得しました。社内結婚なので夫も合わせて3ヶ月育休とりました。夫は育休中は週1日でネット会議をしていたので、仕事の情報共有も滞りなくできていました。昔と違って核家族がメインなので、もっと男性の育休を取れる社会になって欲しいです。子孫を残すなら 男の人も休みやすい環境があればいいと思っています(笑)」
そんな3日目の「QUOTE OF THEDAY」は
『男性の育休は、家族の絆を生み出す』
ここ数年よく耳にする「ワンオペ育児」という言葉があるとおり、一人での育児はとかく孤独になりがちです。でも、育休制度を使うことで、夫婦二人の育児が実現し、そこから新しい家族の形が生まれてきます。そう、会社から生み出す 子育ての環境の変化が、今求められているのかもしれません。
最終日は株式会社ロックオンの時間有給制度についてのお話を伺っていきました。有給休暇を1時間単位で取得できる「時間有給制度」ですが、社内で利用する社員が多く、取得率は80パーセント。特にお子さんがいる方にとっては、急な子供の発熱のお迎えや参観日などの学校行事に使う方が多いしそうです。さて、この時間有給制度を活用している方にお話を伺いました。
営業本部の課長 小岡崇さんです。
「年間4、5回はとっています。メインとなるのは子供の授業参観。その時に昼から夕方まで2−3時間有給をもらって保護者懇談会のあと、会社に戻ってくるスケジュールです。授業参観には父親の参加が少ないんですが、保護者懇談会で“いじめ”などセンシティブな問題が出てきた時、感情的になるお母さんが多い中、父親としての自分なりの意見を述べたりしています。それによって先生からも感謝されたりもしています」
そんな最終日の「QUOTE OF THEDAY」は
『時間有給で 会社とは違った自分を見つけよう』
午前中や午後の半日休だと、ついつい用事が早く終わると会社に戻って仕事をしてしまうことが多かった小岡さん。
でも、この時間単位の有給を取ることで、ピンポイントで学校行事に参加することができるとおっしゃっていました。会社とは違った社会との関わり、それが仕事へのいいフィードバックを生み出していくのかもしれませんね。