完全テレワークが変えていく、働き方とプライベートライフ

2017.12.06 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で仕事との向き合い方、家族との関係など、働き方が問われる現代において、新しい働き方を実践する方々のリアルな声を紹介している「iction! QUOTE OF THE DAY」。
毎回、その実体験から<働き方>のヒントとなる‘QUOTE OF THE DAY’を導き出す5分プログラムです。
11月13日(月)—16日(木)の放送では、企業のウェブサイト制作ツールを開発する「シックス・アパート株式会社」の働き方に注目しました。
シックスアパートの働き方の特徴、それは全社員がテレワークで働いていることです。その取り組みを、シックスアパートではSAWS(サウス)と名付けています。代表取締役CEO 古賀 早(こが・はじめ)さんによるとSAWSとはSIX APART WORKING STYLEの頭文字をとったものです。
月1回の会議以外は完全テレワークを社員全員が実践しています。通勤する必要がないので定期代は廃止になりましたが、その代わり自宅での光熱費やカフェのコーヒー代などのために会社は全社員に向けてテレワーク手当を支給しています。
シックスアパートのテレワークですが、元々は、東日本大震災の後に政府から要請があったオフィスの20%節電がきっかけだったそうです。それを受け,当初は週1回だったテレワークも、今では毎日に進化しています。
さて、完全テレワークですが、導入当初は問題もありました。SAWSを最も活用してもらいたかった保育園に子供を預けているお母さん社員が、自宅ではなく会社に来てしまったということもありました。
その理由は、保育園に子供を預けているが、いつしか周りの人から「あのお母さん、子供を預けているのにいつも家にいるんだけど」という、いわれのない”噂”が立ってしまったためだそうです。社会がまだ新しい働き方に馴染んでいなかった結果のことですが、働き方への理解が進んだ今ではそのような問題もなくなりました。会社に社員が揃ってなくても、チャットやテレビ会議を使ったコミュニケーションは前よりも濃密になっています。
そんな初日のお話から導き出した「QUOTE OF THE DAY」は
『社員と会社、双方にメリットがある完全テレワーク』
社員が会社にいなくても、チャットなどでコミュニケーションを密にしているシックスアパートの働き方 SAWS(サウス)。
社員と会社の双方の努力で実現したこの取り組みの結果、年間4000万円以上のコスト削減が実現したということです。ちなみに、全社員30名のところ、フリーアドレスのオフィスに椅子は10脚だけ。SAWSはオフィスの形も変えていくんですね。
2日目は、技術面からSAWS(サウス)という取り組みを紹介しました。会社にとって、「完全テレワーク」で一番気になることは、やはり、社員それぞれがちゃんと働いているかどうかということかもしれません。その点に関して、技術部門を担当されている取締役CTO 平田大治(ひらた・だいじ)さんに聞いて見ました。
”GitHubというソフトウェア開発の共有ウェブサービスを使っているので、全員がそれぞれ今どんな作業をしているかがわかる仕組みになっています。ですので誰がサボっているかどうか心配する必要もありません。そもそも、プログラミングの生産性の妨げになるルールは作りたくないためにテレワークの時間や場所などの申請もしなくてOKです”
まさに、「ものづくり」に特化した働き方を目指しているんですね。ちなみに、シックスアパートでは長野県でテレワークをしながら、月に1回の定例会議に出席する社員の方もいらっしゃるそうです。そんな2日目の「QUOTE OF THEDAY」は、
『社員の多様性を認めることが、完全テレワークの第一歩』
ソフトウェアを作るために、生産性のさまたげとなるルールはできるだけ排除して、社員一人一人の創造性を引き出す「完全テレワーク」。志が同じであれば、社員の物理的距離が離れていても、結果としていいもの作りにつながっていくんですね。
さてSAWS(サウス)という独自の働き方で、完全テレワークを実現しているシックスアパート。
月に1度しか出社しなくてもいいとなると、気になるのが毎日の仕事場ですが、みなさん、どこで仕事をしているのでしょうか?3日目にお話を伺ったのは、シックスアパートで広報を担当していらっしゃる壽(ことぶき)かおりさんです。
壽さんによると、なるべく自宅では仕事をしないようにしているそうです。テレワーク導入前は、毎日1時間かけて通勤をしていましたが、それがなくなると運動不足になるので、なるべく外に出る働き方をしているそうです。社員も同じ考えの方が多く、集まって仕事をする時も、会社ではなく、気分を変えて横浜で中華街でランチをしながら働くチームもいたそうです。
通勤時間がないテレワークは、お子さんがいる方にとってもメリットがあります。シックスアパート 品質保証チームの山口奈津子(やまぐち なつこ)さんによると、これまでお子さんが小学校入学後に2回骨折をしたことがありましたが、その時も朝一緒に登校して先生に怪我の状態を伝えたり、
学校帰りにすぐ病院に一緒に行ったりしてとても融通がきいたそうです。
そんな3日目の「QUOTE OF THEDAY」は、
『テレワークは仕事と家庭の仕組みを変えていく』
オフィスにこだわることなく、自分のペースで仕事場を変えることのできるテレワーク。そこから、社員同士のコミュニケーションも、お子さんとの付き合い方も変わっていきます。通勤時間を短縮することが、そのまま、より良い仕事へのフィードバックとなっているようです。
最終日となる4日目はテレワークの働き方が生み出す、地域社会との関わりについて伺ってみました。
「ある日、子供の学校の役員をすることになったのですが、やってみたら、意外に楽しいことがわかりました。それぞれのパパやママの事情が違っているので、意外な一面も見ることができます。例えば運動会などでは、普段からは想像もできないほど体育会系のパパだったり、お子さんが4人いても働きながら体も鍛えている人もいたりします。実際にオフィスで仕事されている方にとって嫌がる人も多いけど、学校の役員は、やってみると得ることが多いんです」(山口さん)
シックスアパート広報で、小学3年生の娘さんのお母さんでもある、壽かおりさんにも、地域社会との関わりについて聞いてみました。
「サウスを始めたことで学校の仕事を積極的に受けるようになったという社員の声をよく聞きます。それはすごくいいことだと思います。毎日出勤する人にとっては、物理的に小学校に行って手伝おうことは難しい。でも、テレワークを使って家で働いている人にとっては、中抜けして学校に手伝いにいくことはそれほど難しいことではありません。実際に学校に行ってみると、PTAなど本当に手が足りないことがわかる。働き方が自由になることは、社会との関わりを持つことにもつながります。仕事をしている自分だけが自分だけじゃないし、仕事でいっぱいいっぱいになると違う立場の自分を作れなくもなります」
そんな4日目の「QUOTE OF THEDAY」は、
『地元コミュニティへの参加は、自らの視野を広がるきっかけとなる』
平日にオフィスで仕事をしていると、物理的に厳しい地域社会の参加ですが、比較的自由に働き方が選べるテレワークはそのハードルを下げてくれます。
普段触れ合うことのないコミュニティだからこそ、視野が広がるきっかけにもなり、それが仕事への活力につながっていくのかもしれませんね。