「払わされる」から「払いたい」へ。離婚準備支援協会・ナカヤタエ様と考える、養育費が続く関係のつくり方

2026.11.06 15:58
| 笑顔でつなぐ親子のみらいシリーズ 第9回
ジェイリース株式会社(本社:東京都新宿区・大分県大分市、東証プライム市場上場:証券コード7187、代表取締役社長:中島 土、以下「ジェイリース」)は、ひとり親家庭を支える方々への取材シリーズ第9回として、一般社団法人離婚準備支援協会で代表理事を務めるナカヤタエ様にお話を伺いました。同協会では、弁護士やカウンセラー、保険・不動産など、さまざまな分野の専門家が勉強会を通じてつながり、離婚に悩む人を予防から解決まで支えています。


当社は「誰もが自分の人生をまっとうできる社会をつくる」をビジョンに掲げ、保証人がいない方の住まい探しや、ひとり親家庭が養育費を受け取り続けるための支援に取り組んでまいりました。2023年6月に始めた養育費保証「J-みらい」は、ひとり親家庭の生活を安定させ、こどもたちの未来をサポートするためのサービスです。本取材では、離婚前から離婚後まで多くの家族と向き合ってきたナカヤ様とともに、子どもの暮らしを支え続けるには何が必要かを考えます。
| ワンストップで情報が得られる場所があれば、と思ったんです
一般社団法人離婚準備支援協会 代表理事 ナカヤタエ様


活動を始めたきっかけを教えてください。
- ナカヤ代表理事:2015年に、私自身が離婚を経験したことがきっかけです。
友人に弁護士がいたので、弁護士に相談すれば離婚のことはすべて片づくと思っていました。でも実際には、保険や不動産のことは自分で調べなければなりませんでした。話し合いで穏やかに終えたかったので、弁護士に入ってもらうと、かえって対立してしまうのではという迷いもありました。


つらい中であれこれ調べながら、ワンストップで情報が得られる場所があればいいのに、と思ったんです。


そこから、どのように立ち上げたのですか?
- ナカヤ代表理事:離婚から1年3か月後に、株式会社Bonheur(ボヌール)と一般社団法人離婚準備支援協会を同時に立ち上げました。ボヌールはフランス語で「幸せ」という意味です。離婚するか、修復するかだけで考えず、まず本人が幸せでいられるかを大切にしたいと考えています。


その為、離婚の予防や関係の修復も選択肢に入れています。悩んでいる段階でたくさんの選択肢があり、その中から選べることが、後悔しないことにつながると思うんです。
| 誰か一人につながれば、ほかの専門家にもつながれる
協会には、どんな方が参加しているのでしょうか?
- ナカヤ代表理事:弁護士やカウンセラー、探偵、保険や不動産の方など、いろいろな分野の専門家がいます。不登校の支援やギャンブル依存の問題に関わる方もいます。


離婚問題に関わる専門家は個人で活動している方が多く、法律には詳しくても心の問題は専門外、ということもあります。だからこそ勉強会で、お互いの専門を話し、学び合っています。


いろいろな分野の専門家が集まることに、どんな意味がありますか?
- ナカヤ代表理事:例えば、保険を解約しようとして保険の担当者へ相談するかというと、入口は人それぞれですよね。それと同じで悩んでいる方が最初から弁護士のところへ行くとは限りません。誰か一人につながれば、ほかの専門家にもつながれる。そういう状態を全国各地につくっていけば、結局は目の前の方のためになると思っています。


図1:離婚準備支援協会の「つながる」仕組みイメージ
協会の勉強会の様子(多業種の専門家が集まる)
| 困って来る人の7割ぐらいは、口約束のままです
相談に来られるのは、どんな段階の方が多いですか?
- ナカヤ代表理事:段階はさまざまですが、特に困っているのは別居後や離婚後の方が多いですね。離婚の準備をしている段階では、まだ問題が表に出ていないことも多いんです。早めに相談に来てもらえれば、守れるリスクも多いと思います。


離婚後に困って相談に来る方は、養育費の取り決めをしていないケースが
多いのでしょうか?
- ナカヤ代表理事:あくまで私の肌感覚ですが、離婚後に困って私のところに来る方のうち、7割ぐらいは養育費の取り決めが口約束のままという感じです。


相手との関係を早く断ちたくて、「養育費はいらない」と自分から断ってしまう方も中にはいます。でも、子どもからすれば、養育費がいらないわけはないですよね。


8年ほど受け取らずにいた方が、子どもが中学・高校に進んでお金がかかるようになり、弁護士の先生を通じて改めて請求したら、とても楽になったと話していたこともありました。


国の調査では、取り決めをしていない母子世帯が「最も大きな理由」として挙げたのは「相手と関わりたくない」でした。現場ではどう感じますか?


図2:母子世帯が養育費の取り決めをしていない「最も大きな理由」(上位3項目)
- ナカヤ代表理事:そうした気持ちから、取り決めを後回しにしてしまう方は多いと
感じます。 だからこそ感情とこれからの生活を切り分けて考えていただけるといいなと思います。
| 知識があれば、揉めなくていいこともあるんです
話し合いがこじれやすいのは、どんなときですか?
- ナカヤ代表理事:感情と現実が切り分けられていないときですね。一方的な話し方で、対立が深まることもあります。
もう一つは知識不足です。知識があれば揉めなくていいことでも、知らないために揉めてしまう。弁護士の先生が間に入ることで、冷静になれる場合もあると思います。


金額をめぐって揉めることもありますか?
- ナカヤ代表理事:実際にありますね。数万円の話ともなると別問題になりますが、長期的に考えると、5千円や1万円の差で強く揉めるのは、あまり得策ではないと感じます。そこでこじれて1年後に支払いが止まってしまうより、少しでも歩み寄って、長く受け取り続けるほうが、長い目で見れば賢い選択になることもあると思います。
現場で見てきた課題を語るナカヤ代表理事


2026年4月に改正民法が施行されましたが、相談内容に変化はありましたか?
- ナカヤ代表理事:共同親権について、勘違いしている方がとても多いです。
「共同親権にすれば子どもに会える」「共同養育ができる」と思っている方がいますが、共同親権と共同養育はまったく別のものなんです。単独親権でも共同養育ができている方はいます。また、法定養育費も施行前に離婚した方は対象になりません。それでも、対象になると思っている方がいます。制度が変わった今は、正しい知識を得ることがとても重要だと思います。


図3:2026年4月から始まった「法廷養育費」のポイント
| 離婚するときは、みんな払う気満々なんです
国の調査では、養育費を取り決めている母子世帯でも、今も受け取っているのは
57.7%という結果があります。逆に取り決めても支払いが止まってしまう要因は
なぜ起こるのでしょうか。


図4:養育費の取り決めがある世帯のうち、現在も受け取っている割合
- ナカヤ代表理事:経済状況の変化が大きいと思います。よくあるのは支払う側の方の転職です。給与を複数の口座に分けて振り込む仕組みを使っていても転職すると自動振込が外れて、毎月自分で振り込まなければいけなくなります。払う気があっても忙しくて遅れたり、負担に感じたりするようになるケースがあります。また、給与が下がったり再婚して新しい家族ができたりといったライフステージの変化も重なったりします。


払う側にも、さまざまな事情があるのですね?
- ナカヤ代表理事:「きつい」という声もよく聞きますし、借金をして払っている方もいます。
一方で、受け取る側の思い違いが、払う側の気持ちを削いでしまうこともあります。
いつも早めに振り込まれていたのに、取り決めどおり月末に振り込んだら「遅れた」と責められてしまう。悪いことは何もしていないはずなのに、といった感情にしてしまうケースです。感情のもつれが絡みやすいことだからこそ、そこはきちんと理解しておく必要があると思います。


養育費を受け取る側も感謝されてる声をよく聞きます。だからこそ遅れた時に言うべきか言わないべきかとても迷いますし、こどものために催促をしなければならない時もあります。角が立たないようにどのように伝えればよいか言い回しに苦労されている様子をみています。


しかし、養育費を支払う本来の目的は、お子さまのためですよね?
支払いが途切れてしまうと、子どもの生活にはどんな影響がありますか?
- ナカヤ代表理事:そうなんですよ。実際、子どもたちの生活には影響が及びます。女の子だと、生理用品のように言い出しにくい買い物をためらってしまう子や、進学に悩む子もいます。
また、貴重な1食である給食が食べられなくなるので、夏休みや冬休み、連休が来てほしくないと望む子も中には居たりします。
そうやって、子どもが、我慢することを覚えてしまうんです。
| 長く払い続ける人は、もっと称賛されていい
養育費保証のような仕組みについては、どう感じていますか?
- ナカヤ代表理事:安心を与えてくれる、とてもいい仕組みだと思います。受け取る側にとって一番負担が大きいのは、相手に催促することなんです。それを任せられるのはとても大きいですね。 みんな使えばいいのに、と思います。


養育費が長く続くために、大切なことは何でしょうか。
- ナカヤ代表理事:最後まで払い続ける人はもっと称賛されていいと思います。当たり前のことではあるんですけど、その当たり前が難しいということも、みんなで理解できるといいですよね。


そのためには、感情の折り合いは難しいかもしれませんが、そこは男女のパートナーとしての関係性は終わっても、子を守る父母として切り分けて考えることが必要です。
義務感で払うより、子どものために「払いたい」と思えるほうがいい。
受け取る側も、「ありがとう」と伝えられるといいと思います。
ありがとうと言われるのと言われないのとでは、長く払っている人にとって全然違うんです。
取材に応じるナカヤ代表理事
| ずっと関わるからこそ、寄り添える
保証会社に期待することはありますか?
- ナカヤ代表理事:弁護士さんは一時的な関わりになりますが、保証会社は支払いが続くあいだ、ずっと関わっています。だからこそ寄り添える領域だと思います。
払う側にも、受け取る側にも、前向きな気持ちを届けられる存在になってもらえたら嬉しいですね。
| 誰かにつながれば、解決まで届く世の中に
10年後、どうなっていたら、ナカヤ様の活動は成功だと思いますか?
- ナカヤ代表理事:日本各地で、困っている人が誰か一人の専門家にふらっと相談すると、その人がいろいろな専門家につないでくれて、結果として問題が解決している。
そんな世の中になっていたら大成功です。
東京だけでなく各地に支部ができて、地域の専門家どうしが連携している。
そういう形が広がるといいなと思います。


協会として、新たに考えている取り組みはありますか?
- ナカヤ代表理事:今後は協会にもADR機能をもたせる予定です。
個人同士の話し合いができるに越したことはないのですが、必ずしもそれができる状況とは限りません。関係性がかなり崩れた状態や危険な状態など、さまざまな状況があると思います。こういうケースの場合、第三者が間に入って解決を目指す方法もあります。家庭裁判所の調停となると時間も精神的負担も多くなりますがADR*だと早い解決が可能となりいざ困った時に助けになると思います。


*ADR(裁判外紛争解決手続):裁判所の手続きによらず、中立的な第三者が間に入り、 
 話し合いによる解決を目指す方法。
| そのままにしないこと。小さな一歩でいいんです。
最後に、悩んでいる方へメッセージをお願いします。
ナカヤ代表理事からのメッセージ


- ナカヤ代表理事:日本ではまだ、相談することに気が引ける方も多いと思います。
忙しかったりもしますよね。それでも、子どものことで気になることがあれば、身近な専門家に声をかけてください。そのままにしない。本当に小さなことでいいので、一つ行動してもらえたらと思います。


養育費を払っている方には、自信と誇りを持ってほしいです。受け取っている方も、いろいろな事情や感情はあると思います。それでも、払ってくれているという事実を前向きに受け止めてもらえたら、間にいる子どもたちの自己肯定感にもつながるはずです。
| 取材を終えて
ナカヤ様、貴重なお話をありがとうございました。
養育費は、取り決めた日から長い年月にわたって続いていくものです。ジェイリースはこれからも、保証の仕組みを通じて子どもの生活が途切れないよう支えていきます。
あわせて、ひとり親家庭を支える方々の声を届けていきます。


誰もが自分の人生をまっとうできる社会をつくるために、
私たちにできることを一つずつ続けていきます。
お知らせ:
一般社団法人離婚準備支援協会は、2026年11月22日に「一般社団法人離婚問題解決協会」へ名称を変更する予定です。
一般社団法人離婚準備支援協会
代表理事:ナカヤ タエ
活動内容:離婚に関わる多業種の専門家による勉強会の運営、
     専門家どうしの連携による相談者支援
URL:
養育費保証「J-みらい」
サービス開始:2023年6月〜
内 容:ひとり親家庭とそのお子さまの大切な養育費を万が一の際に
ジェイリースが保証するサービス
URL:
会社概要
企業名:ジェイリース株式会社(J-LEASE CO., LTD.)
代表者:代表取締役社長 中島 土
本社所在地:東京本社(東京都新宿区)/大分本社(大分県大分市)
設 立:2004年2月
上 場:東京証券取引所プライム市場(証券コード:7187)
事業内容:保証関連事業(家賃債務保証・医療費保証・養育費保証)、
     不動産関連事業、IT関連事業
拠 点:44都道府県47拠点(2026年9月30日現在)
URL:
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