キャンパスノート13年ぶりの新罫線「青色ドットボーダー」が登場。「白紙のように自由、だけど整う」を叶えた開発秘話

2026.11.04 11:30
コクヨ株式会社(大阪市/社長:黒田英邦、以下、コクヨ)は、1975年の発売から50年以上まなびを支えてきた“まなびかた”のブランド<Campus>初となるビジュアルアイデンティティを発表。新しいロゴと6代目となるキャンパスノートの表紙デザイン変更とともに、「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」とリニューアルした「キャンパスノート(ドット入り罫線)」の2種類のノートを発売しました。中でも、「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」はこれまでにない罫線のあり方を追求した新感覚のノート。「白紙のように自由、だけど整う」という、このノートの商品開発の裏側を、担当者のインタビューを交えてご紹介します。
■登場人物(写真左から)
▼コクヨ株式会社
絵馬 多美子 「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」企画担当
市川 玲音 「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」開発担当
宮西 純子 「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」開発担当
1.新感覚罫線「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」のひらめき
まなびの変化から生まれた意外な答えは「白紙のような罫線」


1975年の発売から5代にわたってアップデートが行われてきたキャンパスノート。2020年頃から「6代目のキャンパスノートをどうするか?」という議論が持ち上がり始めました。しかし、コロナ禍や授業のデジタル化などさまざまな社会背景によって議論が変化したり、立ち消えたり……。


そんな変遷を経て、新しい罫線の開発が2025年3月から本格始動し、「学生のまなび」を主軸に、社内の調査部隊と協働しながら開発メンバーでアイデアを模索していきました。商品企画担当の絵馬多美子は当時を振り返りこう語ります。


絵馬:開発初期のコンセプトは「イノベーションを起こすような新しいノート」だったのですが、このコンセプトを考えるにあたり、「学生のまなび」を軸に置いて開発が始まりました。現在のまなびは、知識や答えを覚えることよりも、知識を使って自ら問いを立て、他者と協力しながら解決する力が求められます。授業自体も、板書を書き写す「板書型授業」から、ICT端末を活用し、対話する・意見交換するなどの時間を多く取る「アウトプット型授業」に変化してきました。それに伴い、授業後に、自ら学んだことを理解するために情報を整理するプロセスや、学んだことを定着させるために反復学習を行うことが重要になり、ノートの役割も板書の書き写しから、<情報整理><演習・暗記>に移行すると考えたんです。
そんな新しいまなびかたに最適なノートを考えていく中で、2025年7月に「青色ドットボーダー」の原型となるアイデアが誕生。商品開発担当の宮西純子が中心となって出した答えは、意外にも「白紙のような罫線」でした。


宮西:学習への新しい取り組み方をアシストできる案を模索する中で、罫幅に縛られずに自由に書ける、極めて無地に見えるようなノートがいいのではないかと考えていきました。これまでに「分数や各種記号が用いられる複雑な数式が通常の罫線に書きづらい」という理由で数学や理科の演習用に無地のノートを使うという事例を聞いたことがありました。そこで、レイド紙という、薄い透かし模様の横線が入っている紙を思い出したんです。見えるか見えないかくらいの罫線だったら無地のように自由に書けるし、でも、何もないよりはまっすぐきれいに書ける。このバランスを実現すべく開発を進めていきました。
2.調査と試作で磨いた「白紙のように自由、だけど整う」薄さと色
学生の声から辿り着いた、ノイズにならない"青"のボーダー


開発にあたってはさまざまな調査を重ねていきました。デジタル化が進む学習環境の中で、学生がどんな毎日を送り、ノートをどのような存在として捉えているのか、現在の案が学生にとって本当にマッチしたものなのかを探りました。また、3日間にわたり200名が参加する調査も実施。青色ドットボーダーに限らず、キャンパスノートの表紙デザインが変わることを受けて、学生がどんな印象を抱くかを確かめていきました。


こうした調査の結果を、細かい仕様決定やブラッシュアップに活用。2025年11月に罫線の内容が確定し、「白紙のように自由、だけど整う。だから振り返りがしやすい」というノートが形になっていきました。中でも議論を重ねたのが、罫線の「濃さ」でした。


宮西:当初の案通り無地に近いかたちにするために、できるだけノイズにならないような薄いボーダーを目指していきました。ただ、薄すぎても効果がないので、色の濃淡についてはものすごく議論しました。どれくらいの濃さが最適なのかを検証するために、プリンタにて微量な色の差を検討し、「この濃さがベストだね」というところを試行錯誤していきました。罫線を気にせず白紙のようにサクサク書けますし、重要度などに応じて文字の大きさを変えられる自由度があると同時に、薄い罫線が適度なガイドになりきれいにノートを取ることができます。


絵馬:当初設定していた青色は、現在よりももう少し濃いものでした。しかし、学生に実際に使っていただいたところ、その濃さでは「罫線が気になる」というユーザーがいることがわかりました。色の濃さをとことん調整した結果、現在の濃さになったんです。


同じく開発担当の市川玲音もそのこだわりを語ります。


市川:罫線の色も様々試したうえで青に決定しました。たとえば、グレーは実際に使用した時に手の影と重なって非常に見づらい。黄色の罫線も白地の上では見づらいことがわかりました。視認性に加え、「集中」「真面目」のような印象のある青が、学習を支えるノートには最も適していると考えました。
グレーと黄色で印刷した試作品
3.「線」ではなく「ボーダー」に見せる、太さ・間隔・名前へのこだわり
ドットを際立たせる、目には見えない白抜きまで


色と濃さが決まっても単なる罫線に見えてしまっては意味がありません。その名のとおり「ボーダー」に見えるようにその太さや幅、間隔も熟考してきました。


宮西:人気の6㎜罫線(B罫)を基準にしましたが、あくまで目指すのは「白紙のような罫線」。ボーダーの幅は狭くなりすぎると線に見えてしまうので、細かい線ではなく、0.3mmの幅を持たせています。また、線が太くても、間隔が空くと線に見えてしまうため、線の太さと間隔を調整することで罫線ではなく、あくまで模様っぽく見えるようにしました。


絵馬:商品名も、全く新しい罫線であること、従来の線ではなくボーダーであることを主張したかったので、「○○罫」ではなく、「ボーダー」という言葉を使いたいと思っていました。また、次世代のまなびかたのスタンダードになるノートにしたいという思いで開発をしていたため、奇抜な名前ではなく、普通名詞の組み合わせで定番として受け入れられる名前を目指し、「青色ドットボーダー」という名称になったんです。
商品名にも冠するほどこだわり抜いたボーダーの上には、もう一つの特長であるドットを配置。このドットと、真ん中が膨らまずにフラットに開く「フラット製本」という設計も手伝って、文字だけでなく図形やグラフまで、自由なレイアウトできれいに描くことが可能です。


宮西:薄いボーダーの上にドットを配置しているのですが、実際に工場の印刷機テスト印刷をした際、ドットと罫線の境界線がわかりづらくぼやけた感じになってしまったのがネックでした。そこでドットの周りに白い境界を設けるなどの工夫をし、ドットがちょうどよい見え方になるよう調整しました。ぱっと見るだけではわからないくらいの細かい調整なのですが、とてもこだわったポイントです。図形などが楽に描けるため演習におすすめですし、振り返りがしやすいので暗記学習にもおすすめです。
4.学生のノート200冊から採用した「マージン罫」
「学生にとって本当に必要か」を問い続けた仕様の裏側


また、実際に学生が使用しているノート200冊分の画像を集め、そのリアルな使い方も調査。学習のポイントを書き残して振り返りをサポートする「マージン罫」を取り入れたのも、その調査結果からでした。


市川:マージン罫というアイデアは最初からあったのですが、無地に近いノートを目指すにあたってマージン罫が必要なのかどうかを議論することもありました。ただ、自分の苦手や間違いを書き出すことは学習においてとても大切です。それに、学生が使用しているノートを見ていくと、実際にノートの右側を縦に仕切って、メモ書きやワークスペースとして使っている学生が多くいたんです。また、演習を解く際に左からノートを使うことがほとんどで、ページの右端は有効活用されないケースが多いため、そういったあまりがちな場所を罫線にすることで、ノートを最大限活用できると思いました。
5.今後への想い
学生が日常的に使う"新たな定番"へ


学生の生の声を丁寧に汲み取り、1年8ヶ月の時間をかけて結晶した「キャンパスノート(青色ドットボーダー)」。他の学生向けキャンパスノートと同様、罫線を問わず220円に価格を統一しているのも、「学生が日常的に使う新たな定番品になってほしい」という思いからでした。
絵馬:「全く新しい、新感覚の罫線を作るぞ!」と意気込んで開発した「青色ドットボーダー」。一足早く実際に使ってみた私の感想としても、まさに新感覚!! 手前味噌ですが、ノートの概念が変わると言っても過言ではないと思っています。ユーザーからどんな声が届けられるか、とても楽しみです。また、その声が新たな商品開発につながっていくと思いますので、是非使ってみた感想を教えていただきたいです。


宮西:「青色ドットボーダー」にはいくつもの工夫を盛り込みました。使いたい人には便利で、いらない人には気にならないように表現されています。無地のような自由さの中にある小さなサポートの、どれが誰の役に立てるのかを楽しみに見守りたいと思います。その様子を見ることで、また次のノートへのヒントにつながるかも、と考えています


市川:ノートの罫線は出尽くされ、これ以上出てこないかと思っていましたが、「学生のまなび」を切り口に考えるとまだ新たなニーズや発想が埋もれているなと実感しました。これからも「学生のまなび」に真摯に向き合い、新たな価値を創り出していきます!


■<Campus>ブランド関連情報
(1)キャンパスノート(青色ドットボーダー)、キャンパスノート(ドット入り罫線)について
(2)<Campus>ブランド新ビジュアルアイデンティティについて
(3)<Campus>新VI設定の裏側について(コクヨマガジン)
絵馬 多美子(えま たみこ)


コクヨ株式会社
グローバルステーショナリー事業本部
クリエイティブ開発第1部 企画グループ
市川 玲音(いちかわ れおん)


コクヨ株式会社
グローバルステーショナリー事業本部
クリエイティブ開発第1部 開発第2グループ
宮西 純子(みやにし じゅんこ)


コクヨ株式会社
グローバルステーショナリー事業本部
クリエイティブ開発第1部 開発第2グループ






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