ワインの搾りかすが、勝沼ぶどう郷駅を彩るピクセルアートへ

2026.10.29 09:00
株式会社ダイカン
ダイカン・thePIXEL・中村商事が共同開発した「テロワールタイル」、JR中央本線・勝沼ぶどう郷駅のリニューアルに採用 ~ サインメーカーならではの素材開発・加工技術で、地域資源を空間素材へ 昇華~

LED・樹脂・金属など多様な素材を用いたサインの企画・開発・製造・施工を手がける株式会社ダイカン(代表取締役社長:仁義 修、本社:大阪府大阪市大正区三軒家東3-1-7、以下ダイカン)は、株式会社thePIXEL(代表:坂口元邦、本社:東京都渋谷区、以下thePIXEL)、株式会社中村商事(代表取締役社長:中村文昭、以下中村商事)の3社で共同開発した、地域資源を活用した新たな空間素材「テロワールタイル」が、JR勝沼ぶどう郷駅にリニューアルオープンする待合室のコーヒースタンドに採用されたことをお知らせします。
(C)️Shinji Murakami | Harvest Dancing | 2026

「テロワールタイル」は、勝沼のワイナリーから回収した、ワイン醸造の過程で生まれるぶどうの搾りかす「ワインパミス」を素材の一部に用いたタイルです。ダイカンは本プロジェクトにおいて、サインづくりで長年培ってきた素材開発・加工技術を活かし、ワインパミスという地域資源を、空間で使用できるタイルへと昇華させるための開発を担いました。

待合室の設計を担当したのは、建築家・坂野由美子が率いるS PLUS ONE建築設計事務所。山梨県甲州市勝沼町を拠点とし「自然の理に学び、風土を豊かにする」を軸に、地域の自然や地場産業、人々の営みの積み重ねから生まれる「場所文化」を大切にしながら、建築・空間・家具・プロダクトのデザインを手がけています。

今回、勝沼の「場所文化」を空間に取り込む坂野氏の発案により、地域のワイン産業から生まれる素材として、勝沼のワイナリーから回収されたワインパミスを使用した「テロワールタイル」が採用されました。
この「テロワールタイル」を用いて空間を彩るのは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する現代アーティスト Shinji Murakami。ピクセルアート作品『Harvest Dancing』を手がけ勝沼という土地ならではの素材とアートが一体となった空間をつくり出しました。
土地から生まれたものを、その土地の風景へ。山梨ワイン旅の玄関口に「テロワールタイル」
「テロワール」とは、もともとワインの世界で、その土地の気候や土壌、地形、そこで育まれてきた文化や人々の営みなど、土地固有の個性を表す言葉として親しまれています。
ダイカン、thePIXEL、中村商事の3社は、この考え方を空間づくりへと拡張し、地域から生まれる素材に新たな価値を与え、その場所ならではの風景をつくる空間素材「テロワールタイル」を開発しました。
今回採用されたタイルは、単に廃棄物を再利用するのではなく、勝沼のワイン産業や文化、人々の営みまでも素材の物語として受け継いでいます。地域から生まれた素材を、アートとものづくりの力によって新たな価値へと昇華させ、新しい風景へとつなげています。
ダイカンの素材開発・加工技術で、ワインパミスを空間素材へ
総合サインメーカーであるダイカンは、廃材を再生素材に変えてその土地固有の物語を形にする「ストーリーサイン」のノウハウを活かし、タイルの素材選定および塗装・調色を担いました。
勝沼特有の「小佐手(おさで)レンガ」のような風合いを目指し、塗料の乗りが良い発泡セラミックタイルを採用。農作物ゆえに色ブレが生じやすいワインパミス(赤・白)の塗料に対し、職人が手作業で微調整を重ねながら塗装することで、それぞれの風合いを活かした5色の「テロワールタイル」を完成させました。
ワインパミスを用いて作られた、5色のテロワールタイル

「ワインパミス」を、新たなマテリアルへ
「ワインパミス」とは、ワインの醸造過程でぶどうを搾った際に生まれる、果皮や種などの搾りかすのことです。ワイン産地では毎年大量のワインパミスが発生し、国内では年間約10,000トンにのぼるともいわれています。一部は家畜の飼料などに活用されているものの、その多くは畑への埋め戻しなどで処分されており、さらなる有効活用が求められています。
本プロジェクトでは、勝沼エリアのワイナリーから回収したワインパミスをタイルの素材として活用することで、地域を象徴する新たなマテリアルへと生まれ変わらせました。
なお、ワインパミスの回収・活用は、山梨県で「RE-WINE」事業を展開し廃棄ゼロを目指す株式会社中村商事が担っています。
ワインパミス

現代アーティスト Shinji Murakamiによる『Harvest Dancing』
今回のテロワールタイルのアートワークを手がけたのは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する現代アーティスト、Shinji Murakami。
かつてのビデオゲームに象徴されるピクセル表現を独自の造形言語として扱い、絵画、彫刻、LED、ゲーム、空間インスタレーションなど、デジタルとフィジカルを横断した作品を展開しています。
米国サンフランシスコに本社を置くテクノロジー企業、Salesforceをはじめ、The Standard Hotel、Henri Bendelなどとのプロジェクトを手がけ、世界20カ国以上でサイトスペシフィックな作品を展開しています。全世界に展開されるSalesforceのオフィスタワーにおける壁画プロジェクト(世界35拠点以上のオフィスに、約400箇所のタイルデザインを施工)では、それぞれの土地に根ざした文化や人々から着想を得た作品を制作し、ピクセルアートを建築空間へと展開しています。
今回の作品タイトルは『Harvest Dancing』。一粒一粒のピクセルによって描かれるMurakamiの表現と、一枚一枚を組み合わせることで大きな図像を生み出すタイル。その親和性を活かしながら、勝沼という土地と、ぶどうの収穫やワインづくり、そしてワインを楽しむ人々の喜びから着想を得たアートを、人々を出迎えるコーヒースタンドのカウンターに展開しました。
(C)️Shinji Murakami | Harvest Dancing | 2026

地域資源 × アート × ものづくり
「テロワールタイル」は、単に廃棄される素材を再利用するためのプロダクトではありません。
その土地だからこそ生まれる素材を見つけ、その背景にある産業や文化、風土を読み解き、アーティストやデザイナーの表現と、日本のものづくりの技術を掛け合わせることで、その場所にしか存在しない空間素材をつくる試みです。
勝沼で生まれたワインパミスが、タイルとなり、アートとなり、再び勝沼の風景の一部になる。
ダイカンは、今回の勝沼ぶどう郷駅での導入を起点に、thePIXEL、中村商事をはじめとするパートナーとともに、ワインパミスに限らず、それぞれの地域から生まれる素材や文化を活用し、その土地ならではの「テロワールタイル」の可能性を広げていきます。
関係者コメント
■ 株式会社ダイカン 取締役 仁義 勝
今回のプロジェクトを通じて、アーティストや異なる専門性を持つ方々と共走することで、一社だけでは生み出せないものづくりの可能性を改めて実感しました。
これからも、アーティストの皆さまと共に、素材やその表現にその土地の文脈を込め、その土地だからこそ生まれる一点もののものづくりに挑戦していきたいと思います。

■ 東日本旅客鉄道株式会社 山梨事業本部 事業推進部 石井 遥
勝沼ぶどう郷駅は山梨・勝沼を訪れる多くのお客さまをお迎えする玄関口です。
今回、地域のワイン産業から生まれたワインパミスが、多くの方の尽力によってアートとして新たな価値をまとい、駅の風景の一部となることに大きな意味を感じています。
この場所で過ごす時間を通じて、勝沼をもっと知りたい、また訪れたいと思っていただけたら嬉しく思います。これからも、駅を起点に地域の皆さまと新しい価値を生み出し、勝沼ならではの魅力を発信してまいります。

■ 株式会社 S PLUS ONE 建築設計事務所 坂野由美子
その土地の気候や風土に合わせて、私たちは日々の暮らしを積み重ねて生きています。
それらが葡萄の産業を生み、ワイン文化となり、世界農業遺産に認定された、美しい風景を生み出しています。100年以上続くこの豊かな文化的な風景を、建築のデザインの視点で編集してカフェの内装をデザインしました。ワインは場所文化です。再利用して制作したワインボトルの照明器具、ワインパミスによるピクセルアート、日本産業遺産に認定されている小佐手レンガ色の3色の内装の色味、その場所が持つ文化をデザインの視点で表現してデザインしたコーヒースタンドは小さな旅の拠点ではありますが、多くの観光客が豊かに過ごせる場所になれたらと思います。

■ アーティスト Shinji Murakami
勝沼で長年培ってこられたワイン文化を、現代の新しい技術で未来へ循環させるという素晴らしいプロジェクトに関わらせていただき、大変光栄に思っております。このデザインは、フランスの偉大な画家アンリ・マティスから着想を得たふくよかな女性たちのダンスによって、豊かな大地で育ったぶどうの収穫への喜びを体現したものです。勝沼という地域がこれからも豊かに育っていってほしいという希望を込めて制作いたしました。

■ 株式会社thePIXEL 代表 坂口 元邦
ピクセルアートを制作する人は、この10年で大きく増えました。しかし、デジタル上のアートは形に残りづらく、流通もしにくいため、経済的に成り立つアーティストは多くはありません。そうした課題に対して、今回のように、ピクセルアートによって空間の体験価値を高めたり、手触り感のある新しい形式を模索することで、アーティストにも社会や地域にも還元できるかたちに挑戦できたことを嬉しく思います。このプロジェクトをきっかけに、いずれは世界へと広げていきたいと思っています。

■ 株式会社中村商事 代表取締役社長 中村 文昭
山梨県は日本ワイン発祥の地であり、ワイナリー数、生産量は日本一です。その裏側では毎年数千トンものワインパミスが廃棄されています。
当社ではRE-WINEプロジェクトを展開し「ワインパミスの廃棄ゼロ、新たな産業創出」を目標に様々な利用方法を探求し、食品・化粧品・ビーガンレザーetc、異業種連携を行い、単なる廃棄物から脱却し、山梨の「食べる、使う、見せる、学ぶ」を統合した循環型エコシステムを構築したいと思います。
「テロワールタイル」勝沼ぶどう郷駅 採用概要
プロジェクト関係者について
東日本旅客鉄道株式会社 山梨事業本部 事業推進部
山梨県内を中心とするエリアの鉄道運行や地域事業を管轄している組織。富士山をはじめとする豊かな観光資源や首都圏とのアクセスの良さを生かし、自治体や地域の皆さまとの連携を深めながら、鉄道を起点とした交流人口の拡大と地域価値の向上に取り組んでいます。

株式会社 S PLUS ONE 建築設計事務所
山梨県甲州市勝沼町を拠点に、建築家・坂野由美子が率いる建築設計事務所。「暮らしが風土になる」を理念に、持続可能(サステナブル)な枠組みを超えて自然、環境、地域を再生(リジェネラティブ)するデザイン活動を行なっている。
WEB:
Shinji Murakami
1980年大阪生まれ。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する現代アーティスト。8ビットゲームに象徴されるピクセル表現を独自の造形言語として、絵画、彫刻、LED、ゲーム、空間インスタレーションなど、デジタルとフィジカルを横断した作品を展開しています。
WEB:
株式会社thePIXEL
東京・渋谷を拠点に、ピクセルアートを起点としたアーティスト支援、コミュニティ創造、空間演出、アートプロジェクトなどを手がけるアートファーム。2017年より「SHIBUYA PIXEL ART」を展開し、ピクセルアートを"現代の浮世絵"と捉え、アートとさまざまな産業を結びつけながら、新たな文化的価値・経済的循環の創出に取り組んでいます。
WEB:
株式会社中村商事
山梨を拠点に、地域のワイン産業と関わりながら事業を展開する企業。本プロジェクトでは、勝沼のワイナリーから排出される「ワインパミス」の回収・活用を通じて、地域資源の循環を支えています。
WEB:
株式会社ダイカンについて
日本を拠点とするサインメーカー。ラグジュアリーブランドの空間づくりを支えてきた高度な製造技術と日本独自の美意識を活かし、近年では、土地や文化などの文脈を素材に込め、ものづくりを通じて人の感性に働きかける空間体験の創出にも取り組んでいます。

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