「オーラルケアをお守りのような存在に」――若者の気分に寄り添う「Ora² Feels」誕生秘話

2026.10.28 14:00
左:石川 真実 (サンスターグループ グローバル研究開発部 )
右:安倍 裕美子(サンスターグループ オーラルケアマーケティング部 Ora²ブランドマネージャー)


皆さんにとって、オーラルケアはどのようなものでしょうか。多くの人にとっては、「しなければならない」義務的なものかもしれません。


そうしたオーラルケアを、「自分の気持ちを支えてくれる“お守り”のような新習慣」にしたい。そんな想いで生まれたのが、“ご機嫌つづく、お守りハミガキ”「Ora² Feels(オーラツーフィールズ)」です。デジタル社会や忙しい日常の中で日々の"小さなストレス(マイクロストレス)"に向き合う人々を応援したいという思いから生まれた、これまでの機能性のみを重視したハミガキとはまったく違ったコンセプトの製品です。
▼プレスリリース
美白ハミガキ売り上げNo.1*²のOra² が培ってきた歯本来の白さを引き出すステインクリア機能はそのままに、新たな価値を加えたOra² Feels。開発に至った経緯と想い、こだわりについて、同ブランドのマーケティング担当の安倍と研究開発担当の石川に聞きました。
機能を謳うだけでは若年層には響かない。調査から見えてきた現代の若年層が抱えるリアルな悩みとは
――Ora² Feelsはパッケージデザインからも従来のハミガキとは異なる印象を受ける製品です。着想の背景には、どういった想いがあったのでしょうか。
安倍:美白に強みのあるOra² ブランドですが、若年層の方はまだそこまでお口に大きな悩みを抱えていないことが多く、いくら機能をお伝えしても、それが使い続けていただける決め手にはなり切れず、他に新製品が出たらそちらにいってしまうと感じていました。


そこで、若年層の方が本当に解決したい生活上の課題は何か?、それに対し彼ら彼女らはどのように対処しているのかを深堀りしてみようと思ったのです。単に、口臭や美白といったお口の悩み解決やエチケットのためではなく、そうしたお悩みを解決できるオーラルケア製品であれば使い続ける意味の創造に繋がるのではと。そこで、大学生や新社会人の方、数十人に集まってもらい、インサイトを探るワークショップを行いました。


――ワークショップで見えてきたものはありましたか?


安倍:想定以上に若年層の方が精神的に自由ではないことがわかりました。周りから自分がどう思われているかを気にして過ごしていらっしゃる方が多かったです。


石川:これまで私たちは、「気分を上げる」ということにフォーカスしていたのですが、若年層の方は単純に気分を上げたいと思っているわけではないということもわかりました。「フラットでいたい」「できるだけ感情の起伏をなくしたい」「乱されたくない」など、自分で自分の気分をコントロールすること、気分を整えることを望まれている傾向がありましたね。


安倍:発見でしたよね。ストレス発散方法も、飲み会などで発散するのではなく、家に帰ってアロマキャンドルを焚いたお風呂に浸かって癒すなど、ひとり時間を重視しているという声が多くありました。ただ一方で、常にスマホ片手に繋がっていないといけないという環境に身を置いてもいるのです。リアルタイムに反応しなければならない流行アプリなどもあり、家に居ても常にそれに備えていないといけないのだと。ひとり時間でもひとりではない、それでもひとりにならないと心身がもたないということで、皆さんかなり工夫して過ごされているのだなと思いました。
すっきりしたり、安心したり。心に作用する「香り」の力
――ワークショップで見えてきた課題を、どうすればオーラルケア製品で解決できると考えましたか?


安倍:別の定量調査では、Ora² の支持理由についても回答してもらったのですが、そこで美白・ステインクリアといった機能の他、「味・香り」と答えてくださっているものが多く見られました。確かにOra² は香りにこだわってきたブランドなのですが、その支持は「香りの良さ」だけだと思っていたんです。


しかし、自由回答欄を見てみると「香りで気分がすっきりした」「心が落ち着いた」など、単なる香りの良さ以上の価値を感じてくださっていることがわかったのです。こうしたOra² が元々持っている機能価値以外の感性価値と「ニュートラルな気持ちでいたい」という若年層の価値観とを掛け合わせることで、今の若年層の方に届く製品を作れるのではないかと思いました。加えて、「香り」にあらためて着目したことには、私個人の体験も関係しています。


――どのような体験ですか?


安倍:小学5年生の娘が、小学校2年生の時にちょっと精神的に不安定になり、頭痛や腹痛を訴えていた時期がありまして、そのときに何となく私がつけている香水を「一滴だけ、お守りとして付けていく?」と付けてあげたんです。私にとっては単なるファッションの一環である香水でも、彼女にとってそれは「お母さんの香り」で、1日を最後まで自分の力でがんばり抜くための「お守り」になってくれるんじゃないかなと思ったんですよね。


たまたまやってみたこの対処が、娘にとっては学校で不安になってきたときに香って安心できる「お守り」になったようで、そこからもう何年も毎朝のルーティンになりました。彼女もOra² の支持層である若年層の1番若い世代だと考えると、「香りで安心する」価値はやはり求められているものなのだと思ったんですよね。


――そこから、Ora² Feelsの開発へと繋がっていったのですね。これまでも香りにこだわって作られてきたブランドであるなか、あらためて石川さんが感じたこれまでとの違い、今回のプロジェクトが始まるにあたって感じた想いがあればお聞かせいただきたいです。
石川:おっしゃる通り、これまでも味や香りにはこだわってきましたが、オーラルケアの香りによってどのような気分が想起されるのかまでは、十分に検証できていませんでした。香りそのものの効果については世界中で多くの研究がされていますし、専門家ではなくとも「お気に入りの香水をつけると自分に自信がもてる気がする」など、香りの力を身をもって実感したことのある方は多いと思います。


そうした香りの効果とオーラルケアとの関連性については、実は個人的には入社した頃からずっと関心をもっていたんですよ。ただ、ハミガキの香味はミントが主流なので、「オーラルケアで香りを楽しむ」世界を知らない人も多く、その価値を伝えることの難しさを感じていました。そのため、私にとって今回のプロジェクトは満を持してやりたかったことに挑める機会だったのです。
感性研究に基づいた3つの気分に寄り添うフレーバーを開発。
――開発プロジェクトは、どのように進められたのでしょうか。


石川:今の若年層にはどういう気分が求められるのか、まずは安倍さんたちマーケティングチームと私たち研究開発チームとで言葉出しから始めました。


安倍:いろいろな気分が出てきたのですが、たくさん出てきた気分をグルーピングしていった結果、大きく3種類に分かれていったんですよね。まずはあたたかみのある落ち着き、安心したいといった気分、そして、落ち着かせたい、気持ちを静めたい、クールダウンさせたいといった気分、そして3つ目が前向き・楽しい気持ちになりたいといった気分です。


石川:「フラットでいたい」という状態を作るためには、気分が落ち込んでいるときには少し気分を上げてあげる必要があるし、逆に高ぶっている時には少し落ち着くような方向性が必要だよね、となったんですよね。


安倍:そうなんですよね。こうして気分の方向性を固めたあと、この3種類の気持ちに合わせたフレーバーの体現に石川さんが挑み、それと同時にマーケティングも進めていきました。


さらに、もう1つ、パッケージチームも今回の立役者のひとりです。開発とマーケティングとで中身とコンセプトは揃えられますが、それだけでは店頭で試せないオーラルケアの新製品を若年層の方に手に取っていただくことは難しいでしょう。ワークショップでは、お気に入りの見た目やデザインのものをポーチに入れて持ち歩くことで気持ちを支えている方たちがいることも発見できていました。トライアルに結び付けるには、コンセプトに合った今までにないパッケージも重要だったのです。


――3種類の気分をハミガキのフレーバーで体現させるという挑戦は、いかがでしたか?


石川:ヨーロッパのフレグランスカンパニーとともに開発を進めました。今回は「気分と香りをつなぐ」という目的があったことから、感性科学に基づいた香味開発や評価を、いつもより長い期間をかけて実現しました。


開発の初期段階では、実際にヨーロッパのラボを訪問し、現地のフレーバリストと直接ディスカッションも行ったんですよ。たくさんのプロトタイプを何度も評価し、試行錯誤を繰り返しながら完成させました。「できるだろう」という自信はありましたが、開発したものを実際に使ってそのように感じていただけるのかは評価をしてみないとわかりません。なので評価の結果が出るまではドキドキでした。ターゲットの女性に使っていただいて、狙い通りの気分が感じられていることがわかりうれしかったですね。


――あらためて、今回の3種類のフレーバーについてご紹介ください。


石川:私たちが目指した気分の方向性は、「リラックス・安心(Comforted)」「集中・クールダウン(Mindful)」「前向き・楽しい(Delighted)」の3種類です。そこから、それぞれの気分に合った香りはどういう香りなのか、アロマディフューザーやハンドクリームなど市場の様々な香りも参考にしながら自分たちでオリジナルのイメージをつくり、そこからアレンジを重ねていきました。


「リラックス・安心」は自分時間に一息ついて、自分を労わるための「あたたかみ」を表現するために、なつかしさのあるキンモクセイ×アールグレイでほっとする香りに。「集中・クールダウン」は特に香りで表現するのが難しかったもので、瞑想や禅、静かで落ち着いた日本庭園のような、日常のしがらみから解放されるイメージを、冷たく澄んだグリーンティーの香りで表しています。


3つ目の「前向き・楽しい」では、背中を一押ししてくれる香りを目指しました。シンプルなシトラスではなく、バジルを加えることで一癖あるおしゃれな大人向けの、スパークリングバジルマンダリンの香りにしました。
――アロマディフューザーやハンドクリームで香るのと、「口に入れる」ハミガキとでは、同じ香りでも向き不向きがあったのではないでしょうか。


石川:その通りです。フローラルのような化粧品によく使われる香りをそのままハミガキに使うと、石けんなどの口に入れてはいけないものを口にしているように感じられる方もいらっしゃいます。なので、香りのコンセプトを重視しながらも口に入れやすい香りになるよう試行錯誤を繰り返しました。また、使った後のスッキリ感はオーラルケアとして最も重要な要素のため、ミントとの調和にもこだわっています。
ステインケアの機能はもちろん、泡質にこだわり触感でも違いを伝える
――Ora² Feelsは香りとパッケージだけではなく、使い心地にもこだわられたそうですね。


安倍:まず、Ora²ブランドの根幹でもあるステインクリア技術は絶対に入れることがマストでした。ただ、先ほどもお話したように若年層の方はお口の悩みがまだそれほど顕在化していませんから、感性に訴える良さが必要だと考えました。これはOra² Feelsが既存のシリーズの単なるフレーバー違いに捉えられないようにという想いもあってのことです。これまでも香りにこだわってきたブランドであるがゆえの課題ですね。


そこで、Ora² Feelsでは五感での体現を重視。嗅覚や視覚は香り、パッケージで叶えていますから、あとは触覚で伝えたいと考えました。口の中の感覚は繊細ですから。


石川:みがいている間の心地よさという視点で、泡立ちの良さや泡のきめ細かさにこだわりました。機能だけではなく、使い心地も追求することで、よりこの製品の価値を体現できる処方になりました。社内でも実際に使った人から「全然違う!」という声も上がっていて、違いを実感いただける使い心地になっていると思います。
――先ほどからお話に出てきているパッケージですが、本当に印象に残りますね。一見、ハミガキというよりはハンドクリームのような見た目だと感じました。


安倍:まさにそう思っていただきたかったんです。Ora² Feelsの使命は、オーラルケア市場の延長線上にある新製品ではなく、単なる口中衛生ではない、“気分を変える”オーラルケアの新市場を作ることなんですよ。従来の市場ではこれ以上使用率は増えないでしょう。9割以上の方がすでに何かしらのハミガキ製品を使っていますからね。


しかし、Ora² Feelsは「気持ちが不安定になってきたから使おう」「緊張しているから、これを使おう」など、これまでのハミガキにプラスして使っていただくことを想定しているんです。


ハミガキ市場はコンサバなので、新たな市場を作るには見た目からもわかりやすい他にない違いが必要だと考えました。Ora² Feelsは既存のハミガキへの意識からは出てこない発想だったこともあり、社内でも「本当にこういうものが求められているの?」「今の生産ラインで作れないパッケージをわざわざ作るなんて、大丈夫なの?」と不安な声がありました。それでも、店頭で見て「何これ可愛い、えっ、ハミガキなの?」という反応が大事だと粘り強く伝えました。ハミガキに加え、シュッと手軽に使える「おくちミスト」もあります。ぜひお試しください。
「オーラルケアが、自分の毎日を応援してくれるお守りになる」価値観を、Ora² Feelsを通じて伝えたい
――Ora² Feelsは、まずLOFTやAmazonで先行販売されました。手ごたえはいかがですか?


安倍:想定以上にご好評いただいています。特にペーストのミニサイズが3種類入っているアソートセットの売れ行きが良く、「ハミガキを気分で使い分ける」という文化が生まれ始めていることを感じます。アソートセットで試した上で、お気に入りのフレーバーの大サイズを買っている方、ミニサイズはポーチに入れて持ち歩く用にしている方などもいらっしゃるようです。口コミでは「癒される」といった言葉が見られ、機能だけではない価値がきちんと伝わっているようでうれしいです。


10月28日(水)~11月3日(火)の期間、原宿の@cosme TOKYOをジャックしてのポップアップも行います。若い方たちがたくさん訪れる場所でどのような反応が見られるのか楽しみです。


▼プレスリリース
――最後に、今後の展開について教えてください。


石川:オーラルケアは毎日の習慣だからこそ、つい“作業”のように感じてしまいがちです。私たちは、歯みがきの時間をお口のメンテナンスだけでなく、自分の気持ちやリズムを整えるための時間に変えてほしいという思いを込めて、Ora² Feelsを作りました。毎日のオーラルケアが充実したセルフケアの時間になり、「オーラルケアって楽しんでいいんだ」と思っていただけたらなによりです。そしてこれからも、この価値観を多くの方に届けていけるような製品開発を目指しています。


安倍:Ora² Feels開発の根底にあったのは、生きにくさを感じながらも、自分の人生を少しでも自分の手で良いものにしようと奮闘している若年層を応援したいという想いです。今後どんどんデジタル化も進み、より一層生きづらい世の中になっていくかもしれない中で、つらいことがあっても自分で立ち直り、前を向いて自分の足で歩いていくためのお守りを生み出したい。そんな想いでOra² Feelsを生み出しました。今後、より多くの方々に手に取っていただき、自分の人生が大好きだと感じていただく応援ができるように願いながら、このブランドを育てていきたいです。


*¹ 消費者が感じる気分や、快適性など目に見えない感性的価値を科学的に評価・応用する学術領域
*² インテージSRI+日本国内美白ハミガキ市場2025年1月-12月ブランド別合計売上金額 Ora²ブランドハミガキ計

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