社内DXの知見を、地域コミュニティへ ―「Japan Power Platform Community Caravan」がつなぐDX・AXの実践者 ―

2026.10.19 17:00
「現場の社員がプロジェクトに参加してくれない」「上司の理解が得られない」「ツールを導入したのに、現場に定着しない。」 社内DXに取り組んだことがある人なら、一度はこうした壁に突き当たったことがあるのではないでしょうか。

「Japan Power Platform Community Caravan」は、こうした悩みを全国の実践者が持ち寄り、次の一歩を一緒に考えるキャラバン型のコミュニティイベントです。2025年には全国7カ所で開催され、のべ100名以上が参加しました。

企画・運営を担うのは、AKKODiSコンサルティング株式会社に在籍する吉田 智哉(通称:コルネ)です。吉田は、Microsoft Power PlatformやMicrosoft 365 Copilotを活用し、AKKODiSの社内DXや顧客企業の業務変革に携わってきました。全社DXの推進では、Power Platform導入の中核となる技術アーキテクトとして、全体設計や技術的な意思決定をプロジェクトとしてリードしてきました。また、Microsoft MVPを5年連続で受賞しているほか、日本マイクロソフトの「Frontier Engineer Appreciation」も受賞しています。
企業の業務変革に携わるテックコンサルタント(※)が、なぜ社外でのコミュニティ活動を続けるのか。その背景を聞きました。

※テックコンサルタント:AKKODiSでのエンジニアの呼称です。
自分たちで実践しているからこそ、語れることがある
吉田が目指すのは、自社の業務を効率化することだけではありません。生産性を高めることで生まれた時間を、新しい企画や顧客価値の創出、事業の成長につなげていく。その先には、「デジタルとAIの活用を通じて、AKKODiSだけではなく、日本全体の生産性向上に貢献したい」という思いがあります。そのためには、ツールを導入するだけでなく、現場の業務や組織のあり方そのものを変えていく必要があります。

「お客さまへ提供する前に、まずは自分たちで試す。何がうまくいき、どこでつまずいたのかを理解してから届けることが大切だと考えています」
顧客企業への支援では、機密保持の観点から、実績の詳細を外部へ伝えられない場合もあります。一方、自社の取り組みであれば、成功した点だけでなく、うまくいかなかったことや、そこからどう軌道修正したのかまで具体的に共有できます。変化の速いAIの領域では、数年前の成功事例はすぐに陳腐化してしまいます。「今まさに取り組んでいる」という現在進行形の経験こそが、顧客への提案にも、コミュニティでの対話にも説得力を与えます。
要件が固まるのを待たず、動くものから始める
社内DXを通じて吉田が実感したのは、技術だけでは業務変革は進まないということでした。現場は日々の業務で忙しく、改善したいという思いがあっても、要件を十分に整理できないことがあります。誰が意思決定し、誰が実際に手を動かすのかが決まらないこともあります。

そこで吉田が行ったのは、すべての要件がそろうのを待つのではなく、まず動くものをつくり、現場で使いながら改善していく進め方です。後から変更しやすい形で実装し、利用者の声や業務の変化に合わせて育てていきます。


「ビジネスは常に変化するものです。完成したシステムを渡して終わりではなく、現場の皆さんが使い続け、自分たちで変えていける状態をつくることが必要です」

この経験を通じて、吉田は技術を提供する側の視点に加え、組織の内側から変革を進める人の視点を得ました。その知見が、コミュニティで寄せられるさまざまな悩みに向き合う土台となっています。
全国共通ではない、地域とともにつくるプログラム
「Japan Power Platform Community Caravan」の大きな特徴は、地域ごとにカスタマイズしたプログラムを実施するため、一つとして同じプログラムは行わないことです。
Power PlatformやAI活用の成熟度、コミュニティの規模、参加者が抱える課題は、地域によって千差万別です。そのため、各地域の有志による運営メンバーと相談しながら、「参加者は今、何を知りたいのか」「何を持ち帰ることができれば、現場で次の一歩を踏み出せるのか」を考え、その地域に合ったコンテンツを決めています。
完成したコンテンツを一方的に届けるのではなく、その地域の方々と一緒に、必要な学びの場をつくる。それが、このキャラバンの基本的な考え方です。
Power PlatformからCopilot、DX・AXへ
2026年後半から開始するキャラバンでは、これまで中心に扱ってきたPower Platformに加え、Microsoft 365 Copilotなど、AIに関するテーマもさらに取り上げていく予定です。
ただし、目指しているのは、扱う製品や機能を増やすことだけではありません。
どの業務を変革の対象として選ぶのか。AIをどのように業務へ組み込むのか。現場の課題をどう整理し、どの技術で形にするのか。効率化によって生まれた時間を、組織や事業の成長にどう振り向けるのか。これまでの技術中心の情報発信から一歩進み、DXやAX(AIトランスフォーメーション)を実行へ移すための考え方まで共有できるコミュニティへの発展を目指しています。


「DXやAXの方向性を語る人はいても、それを実現する技術まで理解し、『この技術なら、ここまでできる』と具体的に説明できる人は多くありません。技術と変革の両輪をつなげて語れる人を増やしていきたいと考えています」

▼今後の「Japan Power Platform Community Caravan」の活動予定
本音の対話から、変革を実行できる人を増やす
吉田がコミュニティに感じる価値の一つは、企業や役職といった立場や役割を越えて、フラットに話せる場であることです。
参加者から聞こえてくるのは、成功事例だけではありません。「周囲が動いてくれない」「上司の理解が得られない」「ツールを導入したものの、現場に定着しない」といった率直な悩みも共有されます。


コミュニティでは、そうした本音を出発点に、どうすれば前に進めるのかを一緒に考えます。社内でも顧客の現場でも同じような壁に向き合ってきたからこそ、吉田はツールの操作方法だけでなく、現場の巻き込み方や、変化に応じた改善の続け方まで実践者の視点で話すことができます。


社内や顧客の業務変革で得た知見をコミュニティへ届け、そこで聞いた本音や新しい視点を、再び現場へ還元する。
この循環を全国へ広げながら、ツールを使える人だけでなく、技術を業務や組織の変革につなげられる人を増やしていきたい。その思いが、吉田が「Japan Power Platform Community Caravan」を続ける原動力です。


▼AKKODiSウェブサイト
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