アシックスは、「健全な身体に健全な精神があれかし(Anima Sana In Corpore Sano)」という創業哲学のもと、誰もがスポーツを通じて、ココロもカラダも健康になる社会の実現を目指し、年齢や性別、競技レベル、障がいの有無にかかわらず、多様な人々がスポーツを楽しめる環境づくりに取り組んでいます。
そのひとつが、2026年5月に開催したランニングイベント「Tokyo : Speed : Race」での取り組みです。
このイベントは、トップレベルのランナーたちが記録に挑むスピードレースとして注目を集める一方で、誰もがスポーツを楽しみ、挑戦できるユニバーサルな舞台であることも大切にしました。
「走る人」だけでなく、「応援する人」「体験する人」も含め、その場に集まる皆がスポーツの価値や感動を共有できるイベントにするにはどうすればよいのか。アシックスはそれぞれの視点から、スポーツイベントの新たな可能性に挑戦しました。
たすきをつないだ、多様なランナーたち
イベントの中でもっとも参加者が多く、ひときわ盛り上がりを見せるのがハーフマラソンリレーです。
仲間とたすきをつなぎながらゴールを目指すこのレースには、企業チームや家族、友人同士など多彩な参加者が集まります。その中には、義足ランナーや視覚障がいのあるランナー、そして伴走するガイドランナーの姿もありました。
Tokyo : Speed : Raceには、トップアスリートから子どもや初心者まで、さまざまなレベルや年代のランナーが参加できる種目が用意されています。さらに、障がいの有無による参加制限も設けられていません。
多様な背景や目標を持つ人たちが、それぞれの挑戦を楽しみながら同じコースを走ることができることも、このイベントの特徴のひとつです。
「みんなと走るのははじめての経験なので、とてもワクワクしています」
そう話す大橋さんも、今回ハーフマラソンリレーにエントリーした義足ランナーのひとりです。
一般の義足ユーザーにとって、長い距離を義足で走ることは決して簡単なことではありません。しかし、仲間と一緒に走ることを楽しみに、はじめてのマラソンにチャレンジすることを決めました。
大橋さんは大勢のランナーと肩を並べながら、いちょう並木のコースを走り切り、チームの一員として完走を果たしました。
「受け取ったたすきにみんなの汗と気合が入っていて、これは走らないとな、と思って」
みんなでつないだたすきに背中を押されて走り切ったその笑顔からは、はじめて仲間とともに走った楽しさと、挑戦への達成感があふれていました。
同じスタートを切るための「光の合図」
イベントのハイライトであるエリートレースのスタートラインには、青山拓朗選手、中野洸介選手、山中孝一郎選手、齋藤丞選手、佐々木昴選手ら5人のデフアスリートの姿がありました。
このエリートレースは、国内のトップアスリートたちが自己ベストや記録に挑む、注目のレースです。
耳がきこえるアスリートと、きこえないアスリート。両者が同じスタートラインに立ってレースに挑めるように、支えているものがあります。それは、「光」でスタートを知らせる「スタートランプ」の存在です。号砲の音と同時にランプが光ることで、きこえ方の違いに関わらず、全員が同じタイミングで走り出すことができます。
Tokyo : Speed : Raceのエリートレースには、その「スタートランプ」が設置されており、耳がきこえる・きこえないに関わらず、公平にスタートを切ることができる環境が整えられていました。
また、この日は5人全員でチームを組み、ハーフマラソンリレーにも参戦。それぞれデフ陸上界のトップランナーとしてしのぎを削る選手たちが、仲間としてたすきをつなぐ貴重な姿を見ることができました。
「スピードレースへの参加は2回目ですが、応援もすごくて、このイベントとともにデフの知名度も上がってきてとてもうれしいです」
中野選手の言葉からは、このイベントを通じてデフスポーツへの理解や関心が少しずつ広がっていることへの手応えが感じられました。
動きで伝える、新しい応援のかたち
ユニバーサルな取り組みは、走ることだけではありません。レースでは、ランナーに向けて沿道からたくさんの声援が送られますが、参加者の中にはデフランナーのように聴覚に障がいがある選手もいます。
そこで会場では、声だけではない「目で見る応援」でランナーへエールを送る「サインエール」を実施しました。
サインエールは、手話を取り入れた簡単な動きや表情で気持ちを表現することで、視覚的に応援を届けることができる、新しい応援のかたちです。
沿道からの声援とともに送られるサインエールを受け取って、コースを走るランナーたちが手を振り返したり、笑顔で応えたりする姿が見られました。さらに、海外のランナーたちからジェスチャーで反応が返ってくる場面も。
見る、聞く、話す、コミュニケーションの方法は人それぞれ異なりますが、その違いを理解し、工夫をすれば、想いを届け合うことができる。そんな可能性をサインエールは感じさせてくれました。
レースでの光景を学びにつなげる
イベント会場の広場では、ランナーだけでなく、応援や観戦に訪れた来場者たちが、スポーツを楽しみながら多様性について学ぶことができるさまざまな体験ブースが展開されました。
まずは、義足体験ブース。ここではスポーツ用義足や日常用義足の展示とともに、テスト用の義足で実際に歩くことができる、義足歩行体験を実施しました。
手話実況体験では、スポーツ大会を手話で実況する方法を、現役の手話実況アナウンサーがレクチャー。家族で参加する姿も多く見られました。
そしてデフスポーツのブースでは、光でスタートを知らせる「スタートランプ」を使って、スタートダッシュにチャレンジ。デフアスリートとの交流も行われました。
これらのブースで実施した体験はすべて、レース会場で見た光景とつながっています。
レースで見た光景を、今度は自分自身で体験してみる。体験することで、それまで少し遠く感じていたものを「自分ごと」として考えるきっかけになる。
日常の中で、義足やデフスポーツ、手話に触れる機会は決して多くありません。だからこそ、多くの人が集まるスポーツイベントで、多様性に触れる機会をつくることには大きな意味があると考えています。
スポーツイベントをもっとユニバーサルに
走る人、応援する人、体験する人。スポーツの力は、その場に集うすべての人が感じることができる。
Tokyo : Speed : Raceは、単なるレースの場ではなく、多様な人々がそれぞれのかたちで参加し、ともに楽しんだイベントになりました。障がいやレベルの違いにかかわらず、その場にいた全員がつくり上げたその空間は、これからのスポーツイベントのあり方に大きな可能性を感じさせてくれるものになりました。
「誰もがスポーツを通じて、ココロもカラダも健康になる社会」。アシックスはその実現に向けて、一人でも多くの人がスポーツを楽しみ、挑戦できる機会を、これからも広げていきます。
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アシックスでは、年齢や性別、障がいの有無に関わらず、スポーツの価値や可能性をより多くの人々に届けるための活動として、パラスポーツやデフスポーツを含むさまざまな競技の振興やアスリート支援に取り組んでいます。
こうした考えや取り組みを表現したブランドムービーを現在YouTubeで公開中です。
ムービーは、カラダを動かすことが心を前向きにする力は、パフォーマンスアスリートだけでなく、パラアスリートやデフアスリート、シリアスランナーからカジュアルランナーまで、そしてこれからカラダを動かそうとするすべての人に開かれている、という考えを表現したものです。
ムービー内には、アシックス契約アスリートの桐生祥秀選手をはじめ、社員パラアスリートの田巻佑真選手、パートナー団体所属のパラ陸上・デフ陸上選手、ブラインドサッカー選手、元パラ水泳選手、アシックス社員が出演。
多様な出演者がそれぞれの形でカラダを動かす姿を通じて、障がいの有無や競技レベルにかかわらず、誰もがスポーツの力を感じられることを描いています。