自治体における給付事業のデジタル化と"誰一人取り残さない"を、「デジコ」はどう実現するか——東みよし町での導入から見えた支援のかたち

2026.10.15 15:00
自治体が実施する給付事業は、住民にとって身近でありながら、行政にとっては「限られた期間で、誰一人取り残すことなく届けきる」という難しさを伴う業務です。特にデジタル化を伴う場合、住民のリテラシー差にどう向き合うかが常に課題となります。


株式会社DIGITALIOが運営する自治体・法人向けデジタルギフトサービス「
」は、こうした自治体の給付事業を数多く支援してきました。


徳島県東みよし町が、物価高騰対策として実施した給付事業「東みよし町暮らし応援デジタルギフトモデル事業」もその一つです。従来は紙の商品券を郵送する形で実施していた給付方法を、デジタルギフト「デジコ」または商品券のいずれかを選択できる方式に切り替えたもので、「誰一人取り残さない」行政DXの一環として位置づけられています。
2026年9月2日には、東みよし町 松浦敬治町長とDIGITALIO代表取締役社長・安藤敦士による対談も実現しました。本記事では、松浦町長と安藤との対談を通じて見えてきた、自治体給付のデジタル化における考え方をご紹介します。
行政において、デジタルは「目的」ではなく「お助け道具」
「誰一人取り残さない」行政DXの実現に挑んだ東みよし町ですが、その取り組みの背景には、住民の暮らしに深く寄り添う温かな想いがありました。自らを「デジタルが得意なわけではない」と語る松浦町長だからこそ、たどり着いた本質的な考え方があります。
松浦町長「デジタルは『目的』ではなく、住民の皆さんが安心して、より豊かに暮らしていくための『お助け道具』だと考えています。今回の給付金事業も、まさにそのきっかけの一つにしたいと思っています。」


その根底にあるのは、「誰一人取り残さない」という言葉の本当の意味です。


松浦町長「デジタルが得意な方には手続きをスムーズに済ませていただく。それによって役場の職員に生まれた時間を、操作が苦手な高齢者の方など、本当にサポートが必要な方への対応に充てられる——そういう仕組みだと思っています。」


安藤「町長がおっしゃる『お助け道具』という表現は、まさに私たちがデジコを通じて実現したいことと重なります。デジタルギフトと物理カードのどちらを選んでも不利益がないこと、そして万が一手続きをされなかった場合でも自動でギフトカードが届く仕組みにしていること。これは、デジタルに不慣れな方を取り残さないための、デジコとして譲れない設計思想です。」
小さな町だからこそ見えた、デジタル化の可能性と壁
人口約1.3万人という東みよし町の規模は、デジタル化においてむしろ強みになっている。対談では、松浦町長からそんなお話を伺いました。


松浦町長「小さな町だからこその強みは、やはり意思決定から実行までのスピード感、身動きの取りやすさだと思います。住民との距離が近いので、実際に使っていただいた方の声や反応を直接聞き、改善につなげられることも大きな強みです。」


さらに、給付事業をきっかけに、町には思わぬ変化も生まれているとのことです。


松浦町長「今回の給付事業をきっかけに、ご高齢の方が営まれている個人商店で新たに電子決済を導入されたところもあり、これをきっかけに町全体がさらに便利になっていくのを感じています。」


一方で、小規模自治体ならではの課題も存在します。


安藤「小規模自治体ほど、専任の担当者を置くことが難しいという課題は、私たちも多くの自治体様から伺います。だからこそ、専用のコールセンターを設置し、住民の皆さまからの問い合わせを一括してお受けする体制を整えています。町の皆さまの"身動きの軽さ"を、私たちのサポート体制が後押しできればと考えています。」
"気づいたら使っている"を後押しする工夫
住民のデジタルリテラシーをどう底上げするか。その鍵は、行政からの一方的な呼びかけではないところにあります。


松浦町長「行政が一方的に『デジタルを勉強してください』と呼びかけるだけでは、なかなか広がっていきません。大切なのは、生活の一部として自然に浸透していって、気づいたら使っている、という状況をつくることです。『孫にお小遣いをあげたいからPayPayを覚えてみよう』といった、日々の暮らしの中のちょっとした動機を、行政が後押しする。そうした形で、自然にデジタルに触れる機会を増やしていければと思います。」


この発想は、デジコが目指す体験設計とも重なります。
安藤「デジコも、給付金の受け取りという"すでに住民の皆さまが必要としている行動"の中に、デジタル体験を自然に組み込む形を意識しています。『思ったより簡単だった』という小さな成功体験の積み重ねが、次のデジタル活用につながっていくと考えています。」
行政のDXが生み出す「時間」という価値
デジタル化がもたらした変化は、住民サービスだけでなく行政運営そのものにも及んでいます。


松浦町長「役場にとっては、正確さやスピード感が格段に上がり、職員の負担も大きく軽減されました。DXを推進してこれが定着していけば、時間や業務の面で大きな余裕が生まれてきます。その分、より住民の皆さんに寄り添った行政運営を加速できるのではないかと、大きな期待を寄せています。」


安藤「給付業務のデジタル化は、単に事務作業を効率化するための取り組みではないと考えています。そこで生まれた時間的な余裕を、本来人と人とが向き合うべき業務に再配分できること。それこそが、デジコを通じて自治体の皆さまに提供したい価値だと思っています。」
デジタル化に踏み切れない自治体へ、東みよし町からのメッセージ
「高齢の住民も多いのに、給付事業全体をデジタル化するのは難しいのでは」——そう感じている自治体は少なくありません。しかし東みよし町の事例が示すのは、全員に同じ方法を強いるのではなく、選択肢を用意することで、この課題は乗り越えられるということです。


松浦町長「とにかく『うちは高齢化が進んでいるから』『デジタルが苦手だから』と尻込みせず、まずは恐れずに一歩を踏み出してみることが大切だと実感しています。大切なのは、すべての業務やシステムを行政だけで抱え込まないことです。行政が明確な方向性を示し、専門的なシステムやサポート部分は『デジコ』のような民間の力を柔軟に借りていけばいいのだと思います。」


安藤「今回、東みよし町の皆さまとお話しする中で、当初は『デジタルに不慣れだろう』と想定していたご年配の方が、実際には積極的にデジタルギフトを選ばれていたという嬉しい変化を伺いました。サービスを提供する私たち事業者側も『きっとこうだろう』という思い込みを捨て、現場の住民の皆さまのリアルな声や行動に耳を傾ける重要性を改めて教えていただいたと感じています。こうした一つひとつの経験を活かし、これからも自治体の皆さまや住民の方が安心して使えるサービスへ進化させていきたいと考えています。」
10年後に目指す町の姿
対談の最後に語られたのは、デジタル化を経てより豊かで暮らしやすくなった、10年後の町の姿でした。
松浦町長「難しいシステムやテクノロジーは、すべて裏側で当たり前のように機能していて、住民の皆さんはデジタルを意識することなく自然と便利さを享受できている。そして、デジタル化によって役場や地域に生まれた時間的・心理的なゆとりを、人と人とのつながりを育んだり、困っている方に寄り添ったりすることに使える——。デジタルという『お助け道具』があるからこそ、今まで以上に優しく、人の温もりにあふれた東みよし町になっていればいいなと思っています。」


安藤「町長が描く『デジタルを意識せず便利さを実感でき、人の温もりにあふれた町』という将来像に、デジコがどう貢献できるか。私たちは単なるツールの提供にとどまらず、これからも一つひとつの自治体様や住民の皆さまの声に真摯に向き合いながら、目指すまちづくりを共に支えていきたいと考えています。」


「デジコ」は今後も、自治体の現場と住民の皆さまに寄り添いながら、"誰一人取り残さない"デジタル給付の形を共に追及してまいります。

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