福井県の若狭湾は日本海の暖流と寒流が入り込む場所にあり、そこでとれる「鯖」は古くから評判を呼び、江戸時代には朝廷のある京都にも運ばれていました。
しかし、「鯖の生き腐れ」という言葉があるように、鯖は魚介類のなかでも傷みやすい食材。そこで福井の小浜市内では、鯖を一本串で波打ちし、丸ごと素焼きにした「浜焼き鯖」が地元の保存食として親しまれています。2000年には福井県の飲食店経営者、中本貴久さんが浜焼き鯖に福井県産のコシヒカリを合わせた「焼き鯖寿司」を考案し、またたく間に全国的な大ヒット商品になりました。
もともと冷めてもおいしい浜焼き鯖は、寿司ネタにも適した食材。絶妙な焼き加減でシットリ香ばしく仕上げた鯖に、大地の甘みを凝縮したコシヒカリは最高の組み合わせ。薬味の大葉や生姜がほどよいアクセントになり、シンプルさのなかにも奥深さを感じさせます。
いまでは全国のスーパーや飲食店でも見かけることが多い焼き鯖寿司ですが、発祥の地・福井県で提供されるものはまるで別物! 素材、技術、情熱に至るまで、ひと口食べれば「これぞ頂点の味」と唸ること間違いありません。
そんな本物の味を確かめてみたいなら、まずは福井県へ足を運んでみてください。東京からは北陸新幹線を使った金沢経由がおすすめ。片手でつまめる焼き鯖寿司は、列車の中で楽しむお弁当としても最適です。JR東日本「びゅう」には、福井グルメが満喫できる旅行パックも用意されています。列車で行くなら、まずは「さらに見る」をチェック!