台湾スタートアップ11,220社の情報を日本語で提供—台湾経済研究院、スタートアップ情報プラットフォーム「FINDIT」日本語版を公開

2026.09.23 13:30
FINDITは、台湾経済研究院(TIER)が運営する台湾のスタートアップ情報プラットフォームであり、2026年4月に日本語版を公開した。


本記事では、FINDIT日本語版の公開に至るまでの舞台裏を紹介する。長年にわたり中国語で蓄積してきた情報を日本の読者に届けるために、チームはどのような課題に直面し、それらをどのように一つひとつ乗り越えながら、日本語版を完成させていったのか。その取り組みの過程をお伝えする。


2026年9月時点において、FINDITには台湾スタートアップ11,220社、投資機関1,605機関、累計4,181件の投資関連データが収録されています。これまで主に中国語で提供してきた台湾スタートアップおよび投資市場に関する情報を日本語でも提供することで、日本企業の新規事業部門、CVC、VC、金融機関などによる台湾スタートアップの探索や、協業・投資候補先に関する情報収集を支援します。
日本語版の誕生を後押しした台湾と日本のスタートアップをつなぐ取り組み
FINDITが日本語版の構築に取り組んだ背景には、長年にわたり培われてきた台湾と日本のスタートアップおよび投資市場の緊密なつながりがある。2015年以降、日本の投資家による台湾スタートアップへの累計投資案件数は、海外投資家の中で第2位、アジアでは第1位となっている。


また、台湾の国家スタートアップブランド「Startup Island TAIWAN」は、2024年9月に東京拠点を開設し、企業、スタートアップ、投資機関の交流を促進するとともに、台湾と日本の双方による相互の市場展開を支援している。


FINDITに掲載されている台湾のスタートアップのうち、2026年9月時点で、約100社がすでに日本市場へ進出している。


こうした動向を背景に、FINDITは、日本の投資家や企業が台湾のスタートアップについて調査する際の言語面および情報面での障壁を低減する必要があると考えた。企業情報の検索にとどまらず、投資動向や市場に関する調査・分析情報も日本語で閲覧できる環境を整えるため、日本語版の構築に着手した。
日本企業による台湾スタートアップへの関心が高まる
日本では2022年に「スタートアップ育成5か年計画」が策定され、2027年度にスタートアップへの投資額を10兆円規模へ拡大することを目標に、人材・ネットワークの構築、資金供給の強化、オープンイノベーションの推進など、さまざまな施策が進められています。


また、日本は将来的にスタートアップ10万社、ユニコーン企業100社の創出を目標として掲げており、大企業とスタートアップの連携に加え、海外の技術やスタートアップ・エコシステムとの接続も一層重要になっています。


台湾には、半導体、AI、先進製造、サイバーセキュリティ、グリーンエネルギーなどの分野で多くのスタートアップが存在しており、これらは日本企業との事業連携や技術協業が期待される分野でもあります。


一方、日本企業が台湾スタートアップを調査する際には、企業情報、資金調達履歴、投資家、関連ニュースなどの情報が複数の情報源に分散していることに加え、日本語で体系的に確認できる情報源が限られているという課題があります。


今回のFINDIT日本語版の公開により、日本企業および投資家が台湾スタートアップ・エコシステムを把握するための情報アクセス環境を整備します。
台湾スタートアップ情報を蓄積する「FINDIT」
FINDITは、台湾経済研究院が経済部中小及スタートアップ・企業署の委託を受けて運営する、スタートアップ情報・研究プラットフォームです。


2015年の運営開始以来、台湾のスタートアップ、投資機関、資金調達動向、産業トレンドなどに関する情報を継続的に収集・整理し、台湾スタートアップ・エコシステムの情報基盤として運営してきました。


情報提供に加え、スタートアップと投資家のマッチングにも取り組んでおり、2016年から2026年7月までに51回のマッチングイベントを開催し、762社のスタートアップと延べ2,458名の投資家が参加しています。これまでに累計197件、総額52.1億台湾ドルの投資成立につながっています。
スタートアップ11,220社、投資機関1,605機関を収録
FINDITには、台湾スタートアップ11,220社、投資機関1,605機関、累計4,181件の投資関連データに加え、スタートアップ、投資、産業動向に関する記事・レポートが3,700本以上蓄積されています。


データソースには、台湾の商工登記情報、政府系ファンドの公開情報、上場企業による対外投資情報、スタートアップおよび投資機関から提供された情報、海外スタートアップデータベース、報道情報など、複数の情報源を活用しています。


商工登記情報、研究コンテンツ、スタートアップ企業リストについては定期的に更新し、収録情報の確認を行うとともに、必要に応じて修正・補完するなど、継続的なデータ整備を行っています。
「翻訳すれば終わり」ではなかった日本語化
FINDIT日本語版の構築にあたり、チームが重視したのは、単に中国語の情報を日本語に翻訳することではなかった。台湾で長年にわたり蓄積されてきたスタートアップや投資に関する情報を、日本の利用者にとって自然かつ正確で、読みやすい形で届けることこそが、最大の課題であった。


翻訳の過程では、膨大な情報の日本語化を効率的に進めるため、チームはAIツールも活用した。しかし、日本語では専門用語の選択、文体、敬語、文章表現などについて、文脈に応じたきめ細かな調整が求められる。


直訳では意味が伝わりにくい内容や、原文に忠実であっても日本語として不自然な表現になる場合もあり、AIによる翻訳だけでは十分に対応できなかった。


そのため、FINDITでは、中国語と日本語の双方に精通したプロの翻訳者に校正・修正を依頼し、原文の意味を損なうことなく、日本の読者にとって自然で分かりやすい表現となるよう、一文ずつ丁寧に調整を行った。


また、実際の利用者を対象としたアンケート調査も実施した。情報の正確性を確認するだけでなく、利用者がウェブサイトを閲覧し、必要な情報を探す際に、内容が分かりやすく、スムーズに読み進められるかどうかについても、繰り返し検証を行った。


チームが目指したのは、単に「中国語のウェブサイトを日本語に翻訳すること」ではなく、日本の利用者が台湾のスタートアップに関する情報を円滑に入手できる環境を構築することであった。


こうした試行錯誤を重ねた結果、現在、FINDIT日本語版では、以下の検索機能および情報閲覧機能を提供している。
台湾スタートアップを日本語で検索・比較
今回公開する日本語版では、日本の利用者が日本語インターフェースを通じて、台湾スタートアップの調査に必要な情報を検索・閲覧できます。
1.企業名だけでなく、産業・技術分野からスタートアップを検索
キーワード検索に加え、産業分野、技術分野、応用領域などの条件から台湾スタートアップを検索できます。
特定の企業名を事前に把握していない場合でも、「AI」「製造」「サイバーセキュリティ」など、自社が探索しているテーマを起点に候補企業を調査することが可能です。
2.企業概要から資金調達、特許、関連ニュースまで一元的に確認
各スタートアップの企業ページでは、基本情報に加え、事業・応用分野、資金調達履歴、関連投資家、特許、ニュースなど、企業理解に必要な情報をまとめて確認できます。


日本企業の新規事業部門や投資担当者が、複数の情報源を個別に調査する負担を軽減し、台湾企業を調査する際の初期リサーチを支援します。
3.個別企業だけでなく、台湾のスタートアップ・エコシステム全体を把握
FINDITでは企業データベースに加え、台湾スタートアップへの投資動向、重点産業、注目スタートアップ、資金調達情報、主要都市のスタートアップ・エコシステム、台湾企業と海外企業の連携事例などに関する調査・研究コンテンツも提供しています。


個別企業の探索だけでなく、「現在、台湾ではどの産業に投資が集まっているのか」「どの技術分野でスタートアップが生まれているのか」といった市場全体の把握にも活用できます。
日本企業、CVC、VCによる台湾スタートアップ探索を支援
FINDIT日本語版は、主に以下のような利用シーンを想定しています。
大企業・新規事業部門
新技術導入、PoC、共同開発などを目的とした台湾スタートアップの探索。
CVC・VC・金融機関
投資候補となるスタートアップ、関連投資家、資金調達情報に関する初期リサーチ。
アクセラレーター・地方自治体・産業団体
台湾スタートアップ・エコシステムの把握、およびイベントや海外連携の候補先探索。
日本のスタートアップ
台湾市場への進出時における、現地企業、技術パートナー、製造パートナー候補に関する情報収集。


FINDITは単なる企業リストではなく、企業情報、投資情報、産業動向を組み合わせて提供することで、日本と台湾の企業・投資家が新たな連携先を探索する際の情報基盤となることを目指しています。
台湾スタートアップの「情報への入口」を日本へ
日本と台湾の間では、半導体や製造業を中心とした従来のサプライチェーンに加え、AI、デジタル技術、サイバーセキュリティ、GXなど、新たな分野における企業間連携の可能性も拡大しています。


一方、新たな連携先を見つけるためには、まず「台湾にどのような企業が存在しているのか」を把握できる情報環境が必要です。


今回の日本語版公開を通じて、FINDITは台湾スタートアップに関する情報へのアクセスを日本企業や投資家にも広げ、企業探索から投資、PoC、共同開発など、その先の具体的な連携につながる環境づくりを支援します。
代表コメント
台湾経済研究院 研究第六所 所長 呉孟道
「日本と台湾は、半導体や製造業をはじめ、長年にわたり緊密な産業関係を築いてきました。一方、現在の台湾では、AI、デジタル技術、サイバーセキュリティ、グリーンテクノロジーなど、さまざまな分野から多くのスタートアップが生まれています。


こうした企業の情報を日本の皆様にもより活用していただきやすくするため、今回FINDITの日本語版を公開します。企業名を知るための入口にとどまらず、投資情報や産業動向を含め、台湾のスタートアップ・エコシステムを理解するための入口として活用していただき、日台間における新たな投資や事業連携につながることを期待しています。」
今後の展開
FINDITでは今後も、収録するスタートアップおよび投資情報の更新・拡充を継続するとともに、日本の利用者向けに台湾スタートアップや産業動向に関する研究コンテンツをさらに充実させていきます。


また、日本企業・投資家と台湾スタートアップとの情報接点を増やし、日台のスタートアップ・エコシステム間における連携促進に取り組んでいきます。
FINDIT日本語版 サービス概要
サービス名: FINDIT
運営: 財団法人 台湾経済研究院
委託機関: 経済部中小・スタートアップ企業署
日本語版公開日: 2026年4月
利用料金: 無料
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