【ファンケル】マイクロRNAの一種であるmiR-365aに細胞老化抑制とコラーゲン・エラスチン産生促進作用を確認

2025.05.19 11:10
株式会社ファンケル
miR-365aを多く含むヤギミルク由来エクソソームを化粧品に応用

株式会社ファンケルは、シワやたるみの予防や改善を目的とし、それらのメカニズムの解明や美容成分の探索を進めています。その解明の要となる「細胞」に着目し、皮膚内にある脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCs)1)から分泌されるエクソソーム2)に含まれる特定のマイクロRNA(miRNA)3)が、皮膚の老化抑制に関与することを、当社で明らかにしています。今回、そのmiRNAの一種であるmiR-365aを高含有するヤギミルク由来エクソソームが、皮膚細胞の老化抑制およびコラーゲン・エラスチンの産生促進作用を持つことを確認しました。本研究結果を生かし、エイジングケア化粧品の開発に応用していきます。

1) 脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCs) : 幹細胞の一種であり、主に脂肪組織に存在する。
2) エクソソーム : 細胞から分泌される直径30~150ナノメートルの細胞外小胞の一種。細胞間の情報伝達や体の機能維持に重要な役割を果たしている。
3) マイクロRNA(miRNA) : 遺伝子の発現を調節する役割を担うRNAの一種で、細胞間の情報伝達にも使用されている。


【研究成果】
<miRNAの一種であるmiR-365aに細胞の老化抑制作用を確認>
ADSCs由来エクソソームに高含有していたmiRNAの一つmiR-365aが細胞の老化を抑制※1することが知られており、皮膚細胞への効果も期待されることから、miR-365aに着目しました。老齢と若齢のそれぞれの線維芽細胞4)内にあるmiR-365a 発現量を確認した結果、老齢細胞はmiR-365aが少なくなっていることを確認しました(図1 左グラフ)。そこで老齢細胞にmiR-365aを一時的に増やす目的で、遺伝子を導入したところ、老化した細胞が多いほど存在する老化マーカー(次ページ図1 右画像)が減少していることを確認しました。この結果から、miR-365aを細胞内で増やすことで、細胞の老化を防ぐために有用であることが示唆されました。
※1 Mutat Res. 2015 Jul: 777:69-78.
4) 線維芽細胞 : 真皮に存在し、コラーゲンやエラスチンなどを生み出す細胞。
<ヤギミルク由来エクソソームは、老齢細胞内にmiR-365aを届けて増やすことを確認>
抗老化作用が確認されたmiR-365aを、細胞の老化を改善する化粧品開発に応用できるよう、素材探索を行いました。miR-365aはエクソソームに含まれていること、そのエクソソームは、細胞間の情報伝達に重要な役割を持ち、細胞に直接届くことで細胞の機能を調節することを踏まえ、エクソソームを活用した素材探索を検討しました。エクソソームは、母乳などの乳に多く含まれています。中でもヤギのミルクはエクソソームを豊富に含有し、抗炎症作用を有することが報告されていることから※2、素材候補としてヤギのミルクに着目しました。
最初にヤギミルク由来のエクソソームを抽出し、3種類のロットでmiR-365aの含有量を確認し、いずれのロットでも同程度のmiR-365aが含まれていることが確認できました(図2 左グラフ)。次に、ヤギミルク由来エクソソームが老齢細胞に届くことを検証し、細胞内にエクソソーム(図2 中央画像 赤い部分がエクソソーム)が取り込まれていることを確認できました。それに伴い、細胞内miR-365aが増加していることも確認しました(図2 右グラフ)。
※2 Res Vet Sci. 2022 Dec 20:152:546-556.
<ヤギミルク由来エクソソームが細胞の老化抑制とコラーゲン・エラスチン産生を促進することを発見>
ヤギミルク由来エクソソームが、コラーゲンとエラスチン産生に与える影響を検証しました。その結果、ヤギミルク由来エクソソームを老齢細胞へ添加することにより、細胞の老化マーカーの発現が低下し(図3 左・中央画像の緑部分)、1型コラーゲンやエラスチン産生量が増加することを発見しました(図3 右)。
このことから、ヤギミルク由来エクソソームが細胞の老化抑制に働き、コラーゲン・エラスチン産生を高め、皮膚老化に対して有用であることが示唆されました。
【今後の展開】
加齢に伴う皮膚の変化には、線維芽細胞の機能低下やそれに伴うコラーゲンやエラスチン産生力の低下が深く関わっており、これらを制御する新たなアプローチが求められています。当社では、エクソソームに含まれる特定のマイクロRNA(miRNA)の一種であるmiR-365aの機能解析を行い、老化抑制作用を確認しました。
また、これらのmiR-365aを安定的に供給・送達できる手段として、エクソソームを豊富に含み抗炎症作用が報告されている「ヤギミルク」に着目しました。ヤギミルク由来エクソソームの細胞老化抑制や、それに伴うコラーゲン・エラスチンの産生促進効果は、皮膚のシワやたるみの予防・改善に対して効果を発揮することが期待されます。
今後もさらに皮膚老化研究や有効成分の探索を進め、新しいアンチエイジング化粧品の開発に向けて生かしてまいります。

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