扱いやすいサイズ感、でも走りはAMGそのもの メルセデスAMG「GLC43 4MATIC」

2025.05.16 12:00
SUVのCクラスともいわれるメルセデス・ベンツ「GLC」は、グローバル市場で安定した人気を誇るミドルサイズSUVだ。一昨年にフルモデルチェンジを果たし、電動化の波に応えるかたちで、ディーゼルエンジンにMHEV(マイルドハイブリッド)やPHEV(プラグインハイブリッド)など、多彩なパワートレーンを揃えるようになった。もちろん、ハイパフォーマンスを象徴するメルセデスAMGモデルも用意されている。
GLCにおけるAMGラインは2本立て。フラッグシップにあたる「GLC63 S Eパフォーマンス」は、最高出力680psという桁違いのスペックを誇る。そしてもう一方が、今回取り上げる「GLC43 4MATIC」だ。以前であれば、「63」といえばV8エンジン、「43」といえば直列6気筒という印象が強かったが、現代のAMGは異なる。両モデルともに、核となるのは2.0リッターの直列4気筒ターボ。そこに電動の力を融合させ、最新のAMGへと生まれ変わっている。GLC43に搭載されるのは、2.0リッター直列4気筒の電動ターボエンジン。これだけで421psを発揮し、さらにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)によるMHEV化も施されている。14psのモーターが始動時のスムーズさを引き出すだけでなく、48Vシステムは後輪操舵や電動ターボといった高度な技術の駆動源としても機能している。
外観は、AMGらしさが随所に表現されている。縦のバーが印象的なパナメリカーナグリル、フロントエンブレムはベンツのスリーポインテッドスターではなくAMGロゴ、張り出したフェンダーに納まる太く迫力のあるタイヤ、そしてリアの4本出しエグゾーストなど、ただのGLCではないことが一目で伝わる。
インテリアは、現代のメルセデスらしい洗練された先進的な空気感が漂う。中でもAMGらしいスポーツ性を感じさせるのが、5本スポークの専用ステアリングホイール。メーター表示やADAS(先進運転支援システム)機能を制御するスイッチ類に加え、ドライビングモードやサスペンション、シフトモードの切り替えが可能な丸型ダイヤルが備わる。
走り出してすぐに感じたのは、車両全体にぎっしりと中身が詰まっているような重厚感。スペック以上に“重く、大きく感じる”のだが、それが不思議と嫌味ではない。むしろ、昔のメルセデスを知る人なら思わず笑みがこぼれるような、上質な「重み」。ステアリングフィールや足元から伝わる感触はしっかりとした剛性感に満ちており、ドイツ車ならではの緻密な組み上げを想起させる。
スロットルを踏み込むと、驚くほど静かに、そして滑らかに速度が乗っていく。4気筒とは思えないほど力強く、だが演出過多な“騒がしさ”は一切ない。ターボラグも感じられず、電動ターボと低速時や加速時の出力などを電力でアシストするBSGのコンビネーションが巧みにスムーズな加速を生んでいる。メーターパネルの表示を確認すれば、アクセル操作とともに電動アシストが働き、減速時にはエネルギー回生が行われていることがわかる。だが、それすらも“意識させない”自然な走行フィールが貫かれている。
路面の荒れに対しても、足まわりは終始引き締まっている印象。コンフォートモードでも、タイヤの剛性ゆえの硬さは感じるが、不快さはない。むしろ「AMGらしさ」として許容される範囲だ。ダイナミックセレクトでスポーツ/スポーツ+へと切り替えると、サスペンションの反応が一段とシャープに変化し、ドライバーの操作に対する車両の動きが格段に鋭くなる。
ワインディングでは4輪操舵の恩恵も大きく、クイックな身のこなしに驚かされる。まるで一回り小さなクーペSUVのようにコーナーへ飛び込んでいける。あくまでGLCというSUVがベースでありながら、しっかりと“AMGの血”が流れていることを感じさせてくれる。
そして、GLCの実用性も忘れてはならない。ラゲッジスペースには十分な積載量が確保されており、長距離移動にも対応する快適性も備えている。さらに、ステアリングのスイッチ操作ひとつで、高度な運転支援機能が作動し、車線中央を維持しながらのセミオート走行も可能だ。
走りを楽しみたいけれど、日常での使い勝手も大切にしたい。そんな二律背反に応える一台、それがGLC43 4MATICだ。強すぎないが確かな存在感を放つスタイリング、そして“4気筒らしからぬ”上質なパフォーマンス。このサイズ、このキャラクターでAMGを楽しめることの意義は、大きい。
メルセデスAMG GLC43 4MATIC  車両本体価格: 1194万円(税込)ボディサイズ | 全長 4750 X 全幅 1920 X 全高 1640 mmホイールベース | 2890 mm車両重量 | 2000 kg排気量 | 1991 ccエンジン | 直列4気筒 電動ターボ+モーター(BSG)最高出力 | 421 PS(310 kW)最大トルク | 500 N・mお問い合わせ先
www.mercedes-benz.co.jp
Text : Takuo Yoshida

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