【研究発表】固体NMR法を用いた、パーマンネントウェーブによる毛髪ダメージの新たな評価方法を確立。

2025.03.24 14:00
株式会社アリミノ
 株式会社アリミノ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:田尾大介)は、日本大学理工学部理工学研究所との共同研究により、13C固体NMR法を用いたパーマネントウェーブ(以下パーマ)処理による毛髪の内部構造変化の詳細な評価方法を新たに確立し、生物学的現象の物理学と化学を対象とした国際的な学術誌 『Biophysical Chemistry』2025年3月号に論文が掲載されました。
 本研究成果は、髪へのダメージを抑えたパーマ製品や、効果的に髪を修復するヘアケア製品の開発が期待されます。

■研究の背景
 パーマ剤は、主に第1剤(還元剤)と第2剤(酸化剤)で構成され、還元剤が毛髪のシスチン結合を切断して形を変え、酸化剤が再結合させて形状を固定します(図1)。このプロセスにより、施術後は健康な毛髪よりも強度が低下しやすくなり、いわゆる毛髪のダメージへとつながります。
【図1:パーマがかかる仕組みのイメージ】

 これまでの研究は、シスチン結合量の変化・システイン酸の生成、または毛髪の引っ張り試験などの物性評価に重点が置かれてきましたが、毛髪内部構造の詳細な評価はほとんど行われていませんでした。理由として、毛髪内部コルテックスはミクロフィブリル(結晶構造)とマトリックス(非結晶構造)のような複雑な階層構造から構成されており(図2)、毛髪内部構造の変化を総合的に評価するための解析手法がこれまで十分に確立されていないためです。
【図2:毛髪の階層構造】

 本研究では、これまでほとんど検討されてこなかった 13C固体NMR法を用いた解析手法を詳細に検討することで、ミクロフィブリルを構成する、α-ヘリックス構造を有するケラチンタンパク質の構造変化についても明らかにすることを目指しました。その結果、最小の構造単位であるケラチンタンパク質と、その集合体であるミクロフィブリルの変化を併せて評価可能となり、パーマ処理における還元処理と酸化処理の各処理段階において毛髪内部構造変化を詳細に評価することが可能となりました。

■研究成果1
パーマ繰返し処理毛髪におけるケラチンタンパク質(α-ヘリックス構造)とミクロフィブリルの構造変化
 化学的処理履歴の無い毛髪(未処理毛)に対して、チオグリコール酸を用いたパーマ処理を 2、4、6、8 および 10 回繰り返し施すことでパーマ繰返し処理毛を作製。13C固体NMR法によりそれぞれの α-ヘリックスの組成量を評価し、小角X線散乱によりミクロフィブリルの毛髪繊維軸に対する傾きを評価した結果が図3になります。
 これらの結果から、パーマ処理によってα-ヘリックスの組成量の減少が進むだけでなく、ミクロフィブリルの毛髪繊維軸に対する傾きが大きくなることが示され、毛髪内部構造の乱れがα-ヘリックスレベルおよびミクロフィブリルレベルで同時に進行することが明らかになりました。
 チオグリコール酸を用いたパーマ処理において α-ヘリックス構造への影響はほとんど無いとする説と反する結果ですが、今回13C固体NMR法という手法を用いることで、より詳細な結果が得られたと考えられます。
【図3:パーマ繰返し処理毛のαヘリックス組成量とミクロフィブリルの毛髪繊維軸に対する傾きの変化】


■研究成果2
還元のみ処理毛髪と還元後・酸化処理毛髪の α-ヘリックス組成量の変化
 パーマ処理の各過程における毛髪内部構造の変化をより詳細に調べるため、還元処理のみ15分行った毛髪と、それを酸化処理まで行った毛髪を作製し、13C固体NMR法により評価を行いました。その結果、還元のみ処理毛ではα-ヘリックスの組成が大きく低下するだけでなく、続いて行った酸化処理によりα-ヘリックスの組成がある程度回復することが明らかとなりました。(図4)
 このことから、チオグリコール酸を用いたパーマ処理の還元および酸化過程において、毛髪の内部構造ではダイナミックな変化が生じていることが示唆されました。
【図4:還元のみ処理毛と還元・酸化処理毛の各構造成分の組成変化】


■まとめと今後の展望
 チオグリコール酸を用いたパーマ処理において、α-ヘリックスレベルおよびミクロフィブリルレベルで同時に変化が進行するという、これまでの知見とは異なる結果が得られました。また、還元処理で大きく変化したα-ヘリックス構造が、酸化処理である程度回復することから、毛髪内部ではダイナミックな変化が生じていることが示唆されました。
 本研究により、13C固体NMR法をはじめとした複数の評価手法を用いて毛髪内部構造変化を詳細に評価する方法を確立したことから、本手法を応用して様々な頭髪美容処理による毛髪への影響を詳細に明らかにしてまいります。得られた知見は、ダメージを抑えたより効率的なパーマ製品や、効果的な補修作用を示すヘアケア製品の開発につながることが期待されます。

■掲載誌
『Biophysical Chemistry 』(2025年3月号)
論文タイトル:The swelling behaviour of hair studied through the structural change of keratin protein during the permanent waving treatment
著者:富樫 孝幸1、田端 真彩子1、望月 章雅1、田中 二郎1、和田 香織2、室賀 嘉夫2、伊掛 浩輝2
(1株式会社アリミノ、 2日本大学理工学部理工学研究所)
■用語解説
・13C固体NMR法
NMR(核磁気共鳴)法とは、分子構造や様々な分子間相互作用、分子の運動状態等を調べる手法。今回、13C固体NMR法により、毛髪を構成するタンパク質の分子構造の組成を、そのままの状態(非破壊的手法)で定量的に評価。
・Biophysical Chemistry 誌
1973年に創刊され、生物学的現象の物理学と化学を対象とした定評のある国際学術誌。

■ 株式会社アリミノ 
■ お客さま窓口 TEL:0120-945-334

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