センスのあるお金の使い方【実践編】/金融経済アナリスト・横川 楓

2025.02.25 07:00
独自の審美眼と洞察力を持ち、各分野で活躍するスペシャリストを毎月お迎えして、センスの正体について探っていく連載「男のセンス学」。第8回は金融・経済アナリストの横川 楓さんが再登場。2024年11月の記事では、「センスのあるお金の使い方(準備編)」として、NISAを使った資産運用の基本について語っていただきました。今回は実践編として、具体的な運用方法や考え方を伺いました。なぜ投資が必要なのか?
現金だけではお金の価値を守れない
「投資にはリスクがある」と思われがちですが、実は現金をそのまま持ち続けることもリスクのひとつです。物価が上がれば、同じ100万円でも買えるものが減ってしまうため、現金の価値は目減りします。これが「インフレ」です。
こうしたリスクに備えるため、株式、不動産、金(ゴールド)などの「インフレに強い資産」を持つのが有効です。株式は企業の成長に応じて価値が上昇する可能性があり、不動産は家賃収入や資産価値の上昇が期待できます。金は、世界経済が不安定なときに価格が上がりやすく、「価値の保存」に強い資産とされています。現金は額面が変わらないため、状況に応じて投資商品を活用することが有効です。また、資産の何割を現金で持つのが適切かは生活スタイルや総資産によって異なります。
NISAを活用した投資の実践
NISAは、投資で得た利益が非課税になる仕組みです。つみたて投資枠については昨年の記事で解説したため、ここでは割愛し、今回はもう一つの「成長投資枠」に焦点を当てます。
成長投資枠は、年間240万円まで、株や投資信託、ETF(上場投資信託)など、好きな商品を好きなタイミングで買うことができる仕組みです。生涯で1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)を非課税で投資でき、売却すれば翌年以降に枠が復活するため、長期的に活用できる制度です。活用方法は2つあります。
1. つみたて投資枠と同じ商品を買う
すでに積み立てている投資信託を成長投資枠でも購入することで、手間をかけずに資産を増やす。
2. 個別株やETFを取り入れる
投資に慣れてきたら、つみたて投資枠とは異なる個別株やETFに挑戦するのも一つの手です。実際にチャレンジする方が多いのですが、売買のタイミングを見極める必要があるため、事前に勉強が必要です。
まずは、つみたて投資枠での積立投資から始めて、その後に個別株など難易度の高い投資にチャレンジするのがいいでしょうセンスあるポートフォリオの組み方
物価高や円安など、経済の変動が続く中で、資産の価値を守りながら増やすには、適切な「ポートフォリオを組む」ことが不可欠です。「増やせるだけ増やしたい」というのが本音だと思いますが、まずは自分のリスク許容度を考え、適切なバランスで運用することが大切です。
投資信託ひとつを取っても、日本・アメリカ・全世界・新興国など、さまざまな種類があります。ポートフォリオを組む際には、どのくらいのリターンを目指すのか、どの程度のリスクなら許容できるのかを考えたうえで、値動きの異なる資産を組み合わせることを意識しましょう。
同業種や競合の銘柄を組み合わせるのも一つの手です。企業ごとに業績が異なるため、全く同じ銘柄が入っていなければ、どの投資商品も同じ値動きをすることはないため、同じテーマの株式を持つ選択肢も考えられます。
安定したポートフォリオを作るためには、資産の分散が欠かせません。異なる国・業種・資産クラスをうまく組み合わせ、リスクを抑えながら資産を増やしていくことが重要です。いくら投資すればいいのか?
損切りラインを決めることも重要
「投資に回すお金はどのくらいがベストなのか?」と悩む人は多いでしょう。大切なのは損をするリスクをとってもいいと思える(減ってもいいと思える)余剰資金で投資を行うことです。
個別株などを運用する場合は、損失が一定の範囲を超えたときの対応を事前に決めておくのもポイントです。たとえば、「価格が〇%下がったら売却する」といった損切りラインを設定することで、冷静な判断がしやすくなります。投資で大切な心構え
投資商品の価格はいつ上がり、いつ下がるかは誰にもわからないもの。初心者の方は長期の積立投資から始められるケースがほとんどですが、値動きに一喜一憂しがちです。長期投資は長く持つことが基本。値下がりしているときは「その分多く買えている」と意識しておくのが大切です。
投資をするなら、NISAは活用しないともったいない制度です。生涯で1800万円までと、ある程度大きな金額を運用していくことができるので、まずは全額活用することから始めてみるのがおすすめです。将来の選択肢を広げるために、お金に働いてもらい、資産を増やしていきましょう。
横川 楓
1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融・経済アナリスト」として活動。一般社団法人日本金融教育推進協会代表理事。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓発、金融教育の普及に取り組んでいる。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)、『お金の不安と真剣に向き合ったら人生のモヤモヤがはれました!』(オーバーラップ)。
X(旧Twitter)/@yokokawakaede


Illustration : Masashi Ashikari
Edit : Yu Sakamoto

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