鉄骨梁の製作手間と現場溶接量を削減 「鹿島式ストレート梁工法」を実導入

2025.01.29 11:00
鹿島
鹿島(社長:天野裕正)は、高層建築物の鉄骨梁端部の接合部を合理化することで品質と生産性が向上した「鹿島式ストレート梁工法」を開発し、(仮称)札幌4丁目プロジェクト新築計画(札幌市中央区)ほか8件の工事に採用しました。
 「鹿島式ストレート梁工法」では、CFT柱と鉄骨梁の接合部に、孔(あな)あき鋼板ジベル(以下、ジベル)※1を用いて接合部を補強する技術を活用します。これにより、梁端フランジに水平ハンチ※2を取り付けることなく、高い構造性能を確保しながら柱周りのスペースが広がります。
 また、当社が開発した現場溶接ロボットによる梁下フランジの上向き溶接と組み合わせると、ジベルなしでも構造性能の向上が図れます。
なお、本工法は日本建築センターの一般評定を取得しています。
※1 鋼材とコンクリート間の応力伝達を可能とする接合技術
※2 フランジ破断を防止するために、梁端のフランジを拡幅したもの
従来工法と開発した鹿島式ストレート梁工法

【開発の背景】
 1995年に起きた阪神・淡路大震災では、多くの建物で鉄骨大梁の端部が破断する被害が発生しました。その対策として、当社は鉄骨大梁の端部に水平ハンチを取り付け拡幅する工法を開発し、多くの鉄骨造高層建物に採用してきました。しかし、水平ハンチが増えることで柱周辺に配置される設備の縦配管などのスペースが小さくなるだけでなく、鉄骨製作の加工手間や、現場における溶接作業量が増加するといった課題がありました。
【「鹿島式ストレート梁工法」の特長】
 当社が新たに開発した「鹿島式ストレート梁工法」は、ジベルを用いた当社独自の接合部補強技術により、これら諸課題を解決できます。
 本工法は、CFT造柱の柱梁接合部の内部にジベルを溶接して取り付けます。柱内に打設したコンクリートがジベルを介して一体化することで、補強効果を得ることができます。この効果により、水平ハンチの取り付けが不要になります。その結果、柱周りのスペースを有効活用できることで設計の自由度が向上するとともに、現場での溶接作業量が軽減します。
 また、水平ハンチがあると梁フランジの幅が大きくなるため、鉄骨の精度確保に手間が掛かり、溶接部の食違いの補強などが発生するおそれがあります。本工法では、精度の確保が容易になるため溶接部の品質が向上します。
柱梁接合部の平面図・断面図
柱梁接合部内部のジベル取付状況

【現場溶接ロボットを用いた上向き溶接】
 当社が開発した現場溶接ロボットによる上向き溶接では、構造上の弱点になり得るスカラップ※3を省略することができるため、構造性能が向上します。そのため、現場溶接ロボットによる上向き溶接ではジベルなしでも構造性能を保つことができるうえに、ジベルを取り付けるとさらに高い構造性能が期待できます。
 本工法のバリエーションの一つとして現場の状況に応じて選択することが可能です。
※3 溶接の支障とならないよう部材に設けた扇形の切欠き
上向き溶接した柱梁接合部(ジベルなし)
現場溶接ロボットでの上向き溶接

【構造実験による性能確認】
 本工法による鉄骨梁端接合部の構造性能を確認するために、柱梁接合部を模した部分骨組で構造実験を行いました。実験の結果、ジベルの補強により得られる耐力上昇効果を確認することができました。また、一般的に工場溶接で製作されるノンスカラップ鉄骨梁端接合部と同等の変形性能を有することも確認しました。
 このたび、耐力と変形性能の評価法を構築し、日本建築センターの一般評定を取得しました。
構造実験状況
変形性能評価法

【今後の展開】
 今後、さらなる需要が見込まれるCFT造建物には、これまで以上に高い耐震安全性だけでなく、設計・施工における合理性が求められます。鹿島は、「鹿島式ストレート梁工法」を含めた提案により、お客様のニーズに応えてまいります。
【工事概要】
工事名称 : (仮称)札幌4丁目プロジェクト新築計画
事業主 : 鹿島建設
所在地 : 札幌市中央区南1条西4丁目
建物用途 : 事務所・物販店舗・飲食店舗・駐車場
構造規模 : S造(柱:CFT造)、地下2階、地上13階
設計施工 : 鹿島建設
工期 : 2023年3月~2025年3月(予定)
完成イメージ(冬季)

(参考)
進化を続ける鹿島の現場溶接ロボット工法(2021年3月30日プレスリリース)

あわせて読みたい

トータテハウジングが積水ハウスと連携しSI事業開始
PR TIMES
帝人株式会社と戦略的パートナーシップを締結
PR TIMES
スコーン専門店BAKERS gonna BAKEが「たいやき わかば」とコラボ!あんこでアレンジした新作登場
PR TIMES Topics
業界最高レベル!断熱性能で選ぶ住まいの新時代
PR TIMES
橋脚耐震補強工事の表面処理工を自動化
PR TIMES
製薬会社の研究員・開発担当者が語る「製薬の楽しさ・おもしろさ」
antenna
株式会社リビングコーポレーション2025年2月10日よりタクシーCM 開始!
PR TIMES
断熱最高等級7比較体験型の「FLAT-X」展示場誕生!
PR TIMES
ひなまつり限定メニューを期間限定で販売
PR TIMES Topics
【静岡県静岡市】建設用3Dプリンターを導入した、ハイブリッド建築による公衆トイレ建屋完成!
STRAIGHT PRESS
これ以上レストアする必要があるのか?|「あるべき姿」を極めたジャガーDタイプ【前編】
octane.jp
【HAKKO YOMOGI & POLY-LOGY GRANOLA】POP UP STORE初開催
PR TIMES Topics
類設計室 東京設計室 共創拠点「Root(ルート)」オープンイベント『共創シンポジウム』を開催しました
PR TIMES
地盤強化のために、木を地中に埋め込む。住友林業で「軟弱地盤対策工法」を推進する社員の熱い思い
PR TIMES STORY
折りたたる収納便利な水切りラックと梅の種を再利用した消臭・抗菌水切りマットを新発売
PR TIMES Topics
「3Dプリンター×プレハブ工法」でトイレが誕生、どんな構造なの?
ITmedia ビジネスオンライン
溶接体験で思い出の家具をアップサイクル!廃材で新たな価値を創出する
PR TIMES
燕三条発 TETSUNAGI 「Flower vase カラーシリーズ』」発売
PR TIMES Topics
CLTと鉄骨造のハイブリッドテナントビル建設 10月末に着工致しました。【埼玉県さいたま市大宮区】
PR TIMES
大阪・関西万博の最寄り駅「夢洲駅」の膜屋根を施工
PR TIMES
都道府県にフォーカスしたおやつ菓子発売
PR TIMES Topics