インドからの輸入だけど日本にマッチさせる専用仕様! すでにバカ売れ「スズキ・フロンクス」が凄い!!

2024.11.01 07:00
この記事をまとめると
■スズキからBセグメントクロスオーバーSUV「フロンクス」が登場した
■インドでは既に先行販売されているが日本仕様の専用設計を随所に取り入れている
■FF車で254万1000円となり4WD車で273万9000円という価格設定だ
話題のフロンクスを社長とともにお披露目
  2024年10月16日、スズキのBセグメントクロスオーバーSUV「フロンクス」の日本仕様がついに発売された。
  当日都内で、スズキとしては5年ぶりにリアル開催された発表会では、鈴木敏宏社長の挨拶や、チーフエンジニアと営業本部長のプレゼンテーションのみならず、各部門の開発担当者によるスクール形式による取材会も実施。そのなかで、異口同音に語られたのは「日本専用」。インドで生産され日本へ輸出されるフロンクス日本仕様への並々ならぬこだわりの数々だった!
  鈴木社長も冒頭の挨拶で、「日本への導入にあたっては、日本の道路事情に合わせたサスペンションのチューニングや、降雪地域での使用を考慮した4WD車の設定など、日本に合わせた仕様の作り込みをしっかり行ってきました。スズキは、適所適材のものづくりを大切にする。まさにフロンクスもそのことを体現する1台です」と紹介。
  その後に行われた取材会では、チーフエンジニア、デザイナー、操縦安定性・乗り心地担当の各パートにわかれ、フロンクス日本仕様の「日本専用」となった箇所について、その詳細が明らかにされていく。
  チーフエンジニアの森田祐司さんは、走りのメカニズムや安全・快適装備の充実について説明した。
  鈴木社長も言及した降雪地帯への配慮に関しては、単に4WD車を設定するのみならず、下り坂で加速を抑える「ヒルディセントコントロール」、低μ路でスリップしたタイヤへブレーキをかけトラクションを確保する「グリップコントロール」、ブレーキ制御も併用しながらエンジンの出力を抑えて低μ路での加速を容易にする「SNOWモード」を新たに実装。また、FF車を含め、アクセルレスポンスを高める「スポーツモード」を実装するのも、日本仕様ならではだ。
  それだけではない。運転席&助手席シートヒーターやリヤヒーターダクト、ドアミラーヒーターを、日本仕様のFF車・4WD車ともに標準装備。一方で、暑さ対策として、アイドリングストップ時のためのエアコン蓄冷機能「エコクール」や、IRカット機能付きフロントガラスも、日本仕様では新たに標準装備としている。
  また、スマートフォン連携メモリーナビ、電動パーキングブレーキ&ブレーキホールド機能といった、日本では軽自動車でも設定車種が増えている快適装備も、オプションではなく全車に標準装備。さらに、後席格納時に生じる荷室フロアの段差を解消するラゲッジボードをふたつ折りにすることを可能にしたうえ、片手でも操作できるよう軽量化し、ボードの下へ荷物を出し入れしやすくするという、きめ細かな工夫を加えているのも心憎い。
  そして、パワートレインは、K15C型1.5リッター直4エンジン+マイルドハイブリッド+6速ATの組み合わせを、フロンクスとして初めて設定。「デュアルセンサーブレーキサポート2」など、最新世代のADAS(先進運転支援システム)も、日本仕様の全車に標準装備した。
  加えて、「前席だけでなく後席に乗る人も快適に過ごしてもらいたいという想いから、後席の乗り心地と、前・後席で会話を楽しめる静粛性についても、日本向けに合わせてこだわって開発しました」と強調。
日本仕様に対する気合いの入れ込みは半端ない
  かつて初代バレーノは、ほぼインド仕様のまま日本に導入され、4WD車も設定されなかったことから、フロンクスのベースとなっている2代目への世代交代(2022年)を待たずして2020年に日本での販売を終了している。その反省も少なからず、フロンクスの日本仕様には込められているのかもしれない。
  操縦安定性・乗り心地に関するさらなる詳細は、四輪車両運動性能評価・制御設計部車両運動性能評価課の向畑信幸さんと、四輪車両運動設計部サスペンション設計課の高藤裕介さんが説明。インドなどと比較して良路が多く速度域も高い日本仕様では、運転の楽しさだけではなく、後席の快適性と直進安定性の両立を目指して開発されたことが、とくに強調された。
  それらを実現するために、スプリングやダンパー、タイヤのセッティングを変更し、段差通過時の突き上げを抑制。ADAS装着のため日本専用品とされた電動パワーステアリングも、中立付近のアシスト量を減らして中立位置を強調したうえ、ホイールの締結穴を海外仕様の4穴から5穴に変更して、高速走行時の直進性と操縦安定性をともに高めている。
  フロンクスの大きな特徴となっている内外装デザインは、四輪デザイン部の加藤正浩さん、遠藤拓磨さん、江口奈津美さんの説明によれば、エクステリアが機能部品を除いてグローバルで共通化されている一方、ブラック×ボルドーのインテリアはその配色を含めて表皮が大きく異なるとのこと。
  実際に海外仕様の写真と見比べてみると、座面と背もたれのメイン部がいずれもブラックであることを除けば、日本仕様はブラックとボルドーの配色がほぼ反転している印象だ。また、表皮も日本仕様はメイン部がファブリック、それ以外がレザー調合成皮革のコンビネーションなのに対し、海外仕様はフルファブリックとされている。
  インパネ加飾も一部異なり、日本仕様は上段が高輝度シルバー、中段がパールブラック、下段がボルドーとなっているのに対し、海外仕様は中段がツヤ消しシルバーに。また、ドアトリムも日本仕様に対し海外仕様はボルドーの面積が広く、かつドアハンドル加飾も日本仕様のパールブラックに対し海外仕様はツヤ消しシルバー。アクセル&ブレーキペダルにステンレス製プレートが装着されるのも日本仕様ならではだ。
  全体的には派手さや力強さを重視した海外仕様に対し、日本仕様はやや控えめながら質感の高さを重視した色使いになっているといえるだろう。
  日本仕様のフロンクスは、これほどまでに多くの箇所が「日本専用」とされているうえ、安全・快適装備も充実。価格もFF車で254万1000円、4WD車で273万9000円と、割安感の強い設定となっている。発売時点で先行受注はすでに9000台に達しているというが、さらなる大ヒット作となったとしても、何ら不思議ではないだろう。

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