ただの「窓」と侮ることなかれ! 昔のクルマに付いていた「三角窓」が超アイディア装備だった

2024.10.19 10:00
この記事をまとめると
■昔のクルマにはフロントサイドウインドウに「三角窓」が装備されていた
■室内の空気を循環させることが目的だった
■復活させたら1年中空調に頼らず燃費や電費を稼ぐ一助になるかもしれない
小さな窓は意外にも便利装備だった
  その昔、クルマのフロントサイドウインドウには、三角窓と呼ばれる部分があった。一部の車種では、リヤサイドウインドウにも同様の機能を持つものがあった。まさにそこは、窓ガラスが三角形をしていて、ヒンジドアのように開閉することができた。
  たとえば、トヨタ初代カローラや、プリンス自動車から日産自動車となって以降のスカイラインなど、およそ1970年代までのほとんどのクルマには、この三角窓があった。
  目的は、室内の空気を循環させるためだ。開け具合によって、室内の空気の入れ替えを促すことで、たばこの煙を車外へ排出しやすくするといったことができた。より大きく開ければ、前の席に座る運転者や同乗者に直接外気をあて、暑さをしのぐ一助にもなった。
  今日では、空調の装備が乗用車ではほぼ当たり前になり、寒暖の調整を依存している。しかも、温度設定をしておけば、自動的に室内温度が保たれる仕組みが普及し、年中入れっぱなしという人が多いだろう。
  一方、1970年代まで空調を装備するクルマはほぼなく、窓を開けて外の空気を導入して涼むしかなかった。しかし、速度を上げれば風切り音が増して不快である。そこで、三角窓の空き具合を調節することで、風切り音を唸らせることなく、それでいて室内に空気を呼び込み、暑さをしのぐことができたのだ。
  その後、空調というエアコンディショニングシステム導入の前に、単に冷やすだけのクーラーを助手席のダッシュボード下に取り付け、室内温度を下げる時代があった。ただし、助手席に座る人ばかりが寒く、そのほかの席、ことに後席の人には冷気がなかなか伝わらず、助手席で寒い思いをする人と、後席で暑さから逃れられない人とが一緒に車内に居るといった状況になりがちだった。
  続いて、エアコンディショニングという空調機器が当初から車載されるようになり、室内の乗員すべてが冷暖房の恩恵をほぼ等しく受けられることになった。
  三角窓は、たとえば初代の英国ミニや、イタリアのフィアット500などにも当時は設けられていた。三角窓は基本的に手動で開閉したが、米国車は車体が大柄なため、助手席側の三角窓を運転席から開閉するのが手動では難しい。そこでたとえばリンカーンというフォードの上級車種では、三角窓もパワーウインドウとなっていて、まず、三角窓が開き、そのあとサイドウインドウが開く手順で、三角窓の効果を優先した段取りになっていた。
  今日、電気自動車(EV)の登場により、一充電走行距離を求めると車載バッテリー容量が大きくなり、一方、軽量化のため、あるいは小型車や軽自動車であるためバッテリー容量を減らすと、一充電走行距離が短くなるといったジレンマがある。
  そこで、かつての三角窓を復活させ、1年中空調に頼らなくても、季節のよい時期には三角窓を活用し、外気を導入して、快適な室内温度を得るといったことも、検討材料のひとつになっていいのではないか。

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