「同じモデル」「同じ程度」の古いフェラーリなのに価値が段違い! フェラーリのお墨付き「クラシケ」ってなに?

2024.09.11 17:30
この記事をまとめると
■フェラーリには貴重なクラシックカーをレストアする部門「クラシケ」がある
■正式にオリジナル状態であることが認定されるとそのクルマの資産敵価値が大幅に向上する
■フェラーリの成功を受けてアストンマーティンやランボルギーニも同様のセクションを増設している
2006年にフェラーリにクラシックカーのレストア部門が新設された
  今回はフェラーリのなかに組織される社内部門、「フェラーリ・クラシケ」について、その解説を進めていくことにしたいと思う。「クラシケ」、すなわち「クラシック」を意味するこのセクションは、その名のとおり1947年のフェラーリ創業以来生み出されたモデルのなかでクラシックに位置づけられるロードカー(新車での販売から20年以上を経過したもの)やレーシングカーに対して、完璧なメンテナンスを施し、場合によってはフルレストアもするという特別なサービスを行う部門。
  その目的はカスタマーにとっても、そしてもちろんフェラーリ自身にとっても貴重な財産であるクラシック・フェラーリを保護することにあり、クラシケに残されている資料や熟練した職人の技こそが、それを可能にするのはいうまでもないところだ。
  このクラシケの入り口ともいえるのは、もち込まれたクラシック・フェラーリが確かに新車時と同じコンディション、もっとも基本的なところではシャシーナンバーやエンジンナンバー、ミッションナンバーのマッチングが確認されることから始まる。
  貴重なクラシックモデルはマラネロのクラシケに直接それをもち込む必要があるが、生産から20年以上前という条件を考えると、年々販売台数を伸ばしてきたフェラーリも、すべてのモデルをマラネロで審査するわけにはいかないのが実情。
  そのため、たとえばこの日本では、フェラーリの販売で長い実績を持つコーンズが、比較的新しいモデルのナンバーマッチングや、ノーマル状態を保っているかなどの審査を行い、その結果をクラシケに報告。機関系のパーツがノーマルであるかどうかなどのチェックはかなり厳しく、問題がなければ1年ほどでフェラーリ・カスタマー憧れの、パオロ・フェラーリによるサインが施された認定書や写真を含むアルバム、フェラーリ・クラシケのバッジが送られてくる仕組みだ。
  カスタマーがフルレストアを希望した場合にも、もちろんクラシケはその要望に応えてくれる。その際の金額は高ければ数億円にも達すると噂されているが、クラシケによるフルレストア車となれば、市場での価値は大幅にあがり、それはすなわち資産価値の向上に直接影響するのだ。
「クラシケ」の存在がクラシックカーの高騰に大きく影響した
  世界のオークションシーンを調べてみても、同じモデルでもクラシケの認定があるモデルは、そうでないモデルと比較してより高い価格で落札されていくケースが多い。一時ほどの勢いはなくなったものの、最近のクラッシック・フェラーリの価格高騰に、このフェラーリ・クラシケの存在が関係しているのは間違いのないところである。
  この2006年に誕生したフェラーリ・クラシケの成功を見て、現在では他社でもクラッシック部門の活動もさらに積極的なものになった。2012年にはあのアストンマーティンが、「Q by AstonMartin」との強いコラボレーションを背景に、「アストンマーティン・ワークス」を設立。
  2015年にはランボルギーニも、クラシック部門の「ポロ・ストリコ」を新たに開設し、いずれも現在では多くのカスタマーから高い支持を得るに至っている。「ジャガーのジャガー・クラシック」、あるいはメーカーの社内組織ではないが、メルセデス・チューナーの「ブラバス」が展開するクラシック部門も、最近では世界から大きな注目を集める存在だ。
  フェラーリ・クラシケの活動としてもうひとつ触れておかなければならないのは、「コルソ・ピロータ・クラシケ」と呼ばれるプログラムだ。これはクラシック・フェラーリの走りをより本格的に楽しむためのドライビングアカデミーで、フェラーリ本社に隣接するフィオラーノのサーキットで、フェラーリの熟練ドライバーによる指導を受けながらドライビングセッションをこなし、テクニックを磨くことができるというもの。
  自分自身のフェラーリで参加できないカスタマーのためには、1970年代の308GTBと1990年代の550マラネロが用意されている。仮に自分のフェラーリで参加した場合には、そのメンテナンスやレストアを担当した職人たちとのコミュニケーションの時間も設けられ、フェラーリ車の構造や製造の裏側についてもさらなる知識を深めることができるという。
  クラッシック・フェラーリを所有するカスタマーには、まずはクラシケの認定を得ることに挑戦していただきたい。それは有益なことばかりなのだから。

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