いの一番に登場したのに忘れ去られ気味!? たった1代で消えたマツダSUV軍団のファーストペンギン「CX-7」の挑戦者魂に敬礼

2024.09.06 17:20
この記事をまとめると
■マツダは全14車種のラインアップのうち7車種がSUVだ
■クロスオーバーSUVカテゴリーにマツダが初挑戦したクルマがCX-7だ
■装備や走りの面では高評価を得たが大きなボディサイズや価格が販売不振の原因となった
CXシリーズには「7」があった!
  マツダのSUV、クロスオーバーSUVは現在、CX-3、CX-30、MX-30 ROTARY-EV、MX-30 EV MODEL、MX-30、CX-5、CX-60と、マツダ全14車種のうち、半分の7車種を占めている。今は生産されていないが、CX-8も最近まであったので(CX-80が2024年秋ごろ登場予定)、まさにSUV、クロスオーバーSUV選び放題の自動車メーカーだ。とくに2012年に初代が登場し、2017年に2代目となったマツダの新世代商品群第一弾となったCX-5は、今でもロングセラーのマツダの中核モデルとなっている。
  しかし、そんなマツダのSUV、クロスオーバーSUV軍団のなかで、忘れ去られているっぽい1台がある。それが2006年12月に発売された、マツダがクロスオーバーSUVカテゴリーに初挑戦したCX-7だ。そう、CX、MXシリーズの3、30、5、60、8のほかに、ラッキーセブンの「7」もあったのである。
  なお、CX-7の市販車の初公開は日本ではなく、2006年1月のロサンゼルスオートショーであった(コンセプトカーのMAZDA KABURAもここで展示。2005年10月の東京モーターショーではすでにCX-7の前身となるMXスポルト=コンセプトカーが展示されていた)。
  CX-7のコンセプトはズバリ、マツダのDNAといえるスポーツカーとSUVを融合させた”スポーツクロスオーバーSUV”であった。当時、とにかく「カッコイイ」と思わせてくれたスピード感やダイナミック感を表現したスポーティなスタイリングに、スポーツカーのコクピットを思わせるフロントシート、シリンダー形状の3眼メーターを組み合わせ、本革8Way電動パワーシートやピアノブラックパネルなども用意(CX-7 Cruising package)。マツダ車でおなじみのプレミアムサウンドシステム、9スピーカーのBose Centerpointサラウンドサウンドシステムもオプション設定されていた。
  ボディサイズは全長4680×全幅1870×全高1645mm、ホイールベース2750mm。最低地上高は本格SUV並みの205mmを確保。パワーユニットは238馬力、35.7kg-mを発揮する2.3リッターDISI 直噴ターボエンジンで、電子制御6速AT(アクティブマチック)との組み合わせ。前ストラット、後マルチリンク式のサスペンションを採用による、スポーティで力強い走行性能をもち合わせていたところが大きな特徴だ。
  駆動方式は2WDと、CX-7のダイナミクス性能を強調する電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステム=4WDも選択可能だった。
ボディサイズと価格が仇となった
  エクステリアは大きく傾斜したスポーツカーばりのフロントウインドウ、スポーツカーのRX-8を彷彿させる大きく張り出したフロントフェンダーアーチやリヤでキックアップしたベルトラインなどが特徴的で、RX-8から影響を受けた雰囲気に包まれていた。足もとは18インチホイールを装備し、スポーティに引き締めていた。
  モデルラインアップは「CX-7」と「CX-7 Cruising package(クルージングパッケージ)」の2種類で、車両本体価格は306万円~366万円(消費税込)。
  安全性、利便性に優れた装備を積極的に採用したのもCX-7であり、具体的には、横滑り防止装置(DSC)、駐車支援システム(サイドモニター/バックガイドモニター)、イモビライザーやバーグラアラーム(盗難防止装置)、30GBの容量を持つHDDナビゲーション、クルーズコントロールなどを全車に標準装備していた。
  そんなCX-7の走行性能は、2.3リッターターボエンジンの大トルク、シャープな吹き上がりによって、1640(2WD)~1740(4WD)kgのボディを出足からトルキーかつ軽快に走らせる。乗り心地はスポーティで硬めだが、そのぶん、コーナーや山道ではロールが抑えられた踏ん張りの利く安定感を実現。操縦性はスポーツカーに匹敵するレベルにあり、ステアリングはスポーツカーばりにズシリと重く、しかしリニアかつ頼りがいあるタッチが身の上。
  ただ、スポーツカーとSUVを融合させた”スポーツクロスオーバーSUV”というコンセプトに相応しい乗り味ではあるものの、日本においては全幅1870mmのワイドボディもあって、当時としては万人向けとはいい難かったのも事実。
  CX-7は北米市場で一定の人気を得ていたものの、日本国内ではこのクラスで300万円以上という価格設定やワイドなサイズ、エンジンがV6ではなく直列4気筒ということもあり、販売は伸び悩み、2012年に日本国内向けの生産を1代限りで終了。2012年2月16日に発売されたSKYACTIV技術を満載した、その後、大ヒット作ともなったクロスオーバーSUVの初代CX-5に引き継がれることになったのである。
  とはいえ、今見てもスポーティでカッコイイと思わせてくれるのが、マツダのクロスオーバーSUV第1弾だったCX-7ではないだろうか。新車の販売台数が少なかったこともあり、中古車市場ではレアな存在だが、後期の2011年型でも50万円台の価格で取引されている。

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