初代ジェミニにはドイツに兄弟がいた! 日本で復活するだしないだ問題で話題になった「オペル」の名車「カデット」を知ってるか?

2024.08.27 13:00
この記事をまとめると
■オペルのエントリーモデルとしてラインアップされていた「カデット」
■とくに「カデットC」はGMの世界戦略車としていすゞ・ジェミニの名前で販売されていた
■競技車両としてのポテンシャルの高さからWRCでも活躍した
オペルのエントリーモデル「カデット」
  2006年に日本市場から撤退して以降、マイナーな存在になってしまったオペル。しかし、ヤナセが輸入していた頃はアストラやヴィータ(本国名コルサ)をよく見かけたし、知っている人は少ないかもしれないけれど、1960年代も我が国ではメジャーな存在だった。
  このときのエントリーモデルがカデットで、1937年に初代が登場後、第2次世界大戦後の1962年に復活し、アストラにバトンタッチするまで作り続けられた。
  当時のオペルの車名は、ドイツ語で「士官候補生」を意味する「カデット」だけでなく、上級車種は「艦長」の「カピテーン」、「提督」の「アドミラル」など、軍人の職位を表す言葉を使っていた。いずれもナチス・ドイツ時代に生まれ、戦後も引き継がれた。日本と同じ敗戦国でありながら、ミリタリーに対する考え方は少し違っていたようだ。
  カデットのライバルはフォルクスワーゲン(VW)のビートル。しかも、当時のオペルはゼネラルモーターズ(GM)傘下ということで、ポルシェ博士による独創的な設計だったビートルとは対照的に、水冷直列4気筒エンジンをフロントに積む後輪駆動で、リヤサスペンションはリジッドアクスルというコンベンショナルな内容となっていた。
  そんなカデットに転機が訪れたのは1973年に発表された戦後3代目のカデットC。GMのワールドカー構想の一環として開発され、世界各地で同じボディが生産されたのだ。そのなかに、少し前にGMグループ入りしていたいすゞがベレットの後継車として位置付けられたジェミニもあった。
  ちなみにGMの本拠地であるアメリカにはいすゞ製が輸出され、オペルbyいすゞ、ビュイック・オペルなどの名前で販売。オーストラリアでもやはりいすゞ製が展開されていて、現在のグーグルAIと同じようにホールデン・ジェミナイと呼ばれていた。
  ボディバリエーションが多かったこともこの世代の特徴で、ジェミニは4ドアセダンと2ドアクーペだけだったが、カデットでは2ドアセダンやセミオープン、3ドアのハッチバックとワゴンもあった。
  モータースポーツでは、クーペの高性能版カデットGT/Eのほか、英国版ボクスホール・シェベットの3ドアHS/HSRがWRCに送り込まれており、オペルはマニュファクチャラーズチャンピオンシップで2位に入ったこともある。
  前輪駆動に転換したのは次の世代で、兄弟車はボクスホールだけとなった。ジェミニは独自設計のいわゆるFFジェミニになり、こちらが先代同様、アメリカのシボレーやオーストラリアのホールデンなどで販売されている。
  最後のカデットになったカデットEでは、当時のトレンドを受けたエアロルックが印象的。ワールドカー構想の影響もあってストップしていた日本への輸入もこの世代から再開され、ホットハッチのGSi、ワゴンのキャラバンに注目が集まった。
  日本ではVWビートルやゴルフの人気が根強かったうえに、カデットC/Dではいすゞジェミニの存在もあって難しい立場だったが、このカデットEはオペル初の欧州COTYを受賞し、380万台近くが販売されたというから、成功作だったことは間違いないだろう。

あわせて読みたい

【社内外のブレーン】になる!新しいコンサルティングの形
antenna*
中国自動車大手・上汽集団が「首位転落」の危機
東洋経済オンライン
ワーゲンバスの再来!? フォルクスワーゲン「ID.BUZZ GTX」試乗記
Esquire
【SPECIAL】“LE LABO” City Exclusive Collection
Lula JAPAN
商用車事業の「ステランティス・プロ・ワン」、3地域でマーケットシェア首位に!
CARSMEET WEB
オペル・アストラCD(FF/4AT)忘れかけてはいたけれど、実はどこか欲している
RESENSE
【出汁しゃぶ専門店 おかか】秋季限定出汁しゃぶ「京鴨ロースの舞茸出汁しゃぶ」新登場
PR TIMES Topics
FFなんてロータスじゃない! 最後は韓国車になったんでしょ? 乗ればめちゃくちゃロータスっぷりを味わえるのに正当評価が得られなかった「2代目エラン」の悲劇
WEB CARTOP
40年前の「スズキ・エブリイ」がウズベキスタンで新車販売されているだと!? しかもシボレーエンブレムってどういうこと?
WEB CARTOP
紙と漆のカップ 新コレクション「KOMLA pastels」発売
PR TIMES Topics
ついにエンジン車と同等価格のEVが!? 「ボクスホール・フロンテラ」は、約448万円の最大7人乗り英国車!
CARSMEET WEB
70歳オーバーを筆頭にドライバー全員50歳超え! ニュル24時間レース名物の80年代マシン「オペル・マンタ」の愛されストーリー
WEB CARTOP
ソーダ専門店 SODA BAR シーズンドリンク「巨峰ソーダ」発売
PR TIMES Topics
「そりゃ当然!」なクルマもあれば「マジでそれ?」なモデルも! カー・オブ・ザ・センチュリーのノミネート車100台のなかの気になるクルマ
WEB CARTOP
豪州ホールデン製の「どでかボディ」にロータリー搭載! アンマッチで完全に失敗したマツダ「ロードペーサーAP」という幻の高級セダン
WEB CARTOP
「しょせん飾り立てたサニーだろ」なんて揶揄されるがなかなかどうして! 小さな高級車「ローレルスピリット」はバカにできないホンモノだった
WEB CARTOP
ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
WEB CARTOP
ジープにプジョーにフィアットと14ブランドも抱えるステランティス! 売れないブランドの廃止や統合はあり得るのか?
WEB CARTOP
幻のWRCカーと呼ばれる「トヨタMR2 222D」の展示も! 四国唯一の自動車博物館は希少モデルの宝庫だった
CARSMEET WEB