ステップワゴンもオデッセイも床下格納なのに「フリード」だけなぜ違う? 3列目席に左右跳ね上げシートを採用する秘密

2024.08.10 17:30
この記事をまとめると
■新型ホンダ・フリードの3列目席は左右跳ね上げ式を採用している
■フリードが3列目席に左右跳ね上げ式を採用しているのはボディサイズの拡大を防ぐためだ
■3列目席を格納式にしていたらフリード伝統の「大人でもちゃんと座れる」3列目席の実現は難しかった
フリードの3列目席格納方法はなぜ左右跳ね上げ式なのか?
  いま、大注目のコンパクトミニバン、仕上がり極上のホンダの新型フリードだが、ホンダのミニバンはオデッセイ、ステップワゴンともに3列目席は伝統的に床下格納式。しかしフリードだけは初代から、ボックス型ミニバンで一般的な左右跳ね上げ式を採用し続けている。
  ゆえに、ホンダのミニバン内でなぜ、2種類の格納方式があるのかを疑問に思っている人も少なくないはずだ。オデッセイ、ステップワゴンが3列目席の格納方法を床下格納式にこだわっているのかは、WEB CARTOPの過去の記事を参照していただきたいが、新型フリードでも3列目席の格納方法が左右跳ね上げ式を継承した理由を、ここでは解明したい。
  ちなみにフリードの直接的ライバルであり続けるトヨタ・シエンタの3列目席の格納方法は、左右跳ね上げ式ではなく、2列目席下に格納する独自の方法を初代から継承している。ただ、格納方法はやや面倒。
①2列目席をタンブル格納する、②3列目席のシートボルトバックルを格納する、③3列目席のヘッドレストを下げる、④3列目席のリクライニングレバーを引いて背もたれを倒す、⑤シートロック解除ストラップを引いてロックを解除し、3列目席を引き上げる、⑥3列目席を押し下げるようにしながら3列目席足もとに格納する、⑦2列目席を元に戻す(その下に3列目席が格納される)という手順が必要になる。格納しっぱなしならいいが、頻繁に格納、復帰させるのであれば、面倒かも知れない。
  フリードのほうはと言えば、①座面横のレバーを操作して背もたれを倒す、②ストラップを引いてロックを解除し、座面を持ち上げる、③リヤクォーターウインドウ部分にストラップで固定する……と、先代では3列目席の重さはあるものの、比較すれば操作手順が少なく、ラクである。
  さて、フリードが初代からオデッセイやステップワゴンと違う3列目席左右跳ね上げ式格納を採用している理由は、まずフリードクラスの3列目席をラゲッジスペース床下に格納しようとすると、リヤオーバーハングの延長が避けられず、ホンダのユーザー調査によるこのクラスの「ミニバン全長目標値」を超えてしまい、結果、先代ステップワゴンと変わらない骨格、全長になってしまうからだ。ならばコンパクトミニバンのフリードだけは床下格納式を採用しよう……と、開発陣が判断したことが第一だと聞いている。
  次に、それでもフリードの3列目席を無理やり床下に格納したとすれば、シートサイズを小さくせざるを得ず、クッション性、かけ心地、とくに3列目席の横幅が制限され、”使える”3列目席が成立しないという理由もあるはずだ。それは(床下格納式ではないが)シエンタの2列目席下に滑り込ませる独自の格納方法を持つ3列目席のサイズを見れば一目瞭然だ。
  新型フリードの3列目席のサイズは座面長425mm、座面幅575×2=1150mm、シートバック高480mm。一方のシエンタは座面長420mm、座面幅445×2=890mm、シートバック高500mmと、格納方式の違いから、とくにシート幅が極端に狭い3列目席になってしまうのだ。
乗り心地と快適性にもこだわった新型フリードの3列目席
  実際、身長172cmの筆者がより快適に座れるのはフリードのほうであり、新型はクッション性もなかなかだ(立ち上がり性にかかわるヒール段差=フロアから座面先端までの高さに関してはシエンタ330mm、フリード260mmと、シエンタが有利)。結果、3列目席に2名乗車しやすいのもフリードのほうなのである(※数値はすべて筆者の実測値)。
  もし、新型フリードで3列目席床下格納式を決行したとすれば、シートサイズが小さくなり、かけ心地や居心地で、フリード伝統の「大人でもちゃんと座れる」3列目席にはできなかったはずである。つまり、コンパクトミニバンでは、3列目席格納時に3列目席の存在をすっきり隠すか、3列目席のかけ心地、居心地を優先するかの二択のパッケージングになるわけだ。
  ただし、左右跳ね上げ式の一般的なデメリットとして、跳ね上げ、復帰操作の大変さ(重さ)がある。とくに小柄な人だとはね上げる際に力がいるだけでなく、高い位置に跳ね上げるため、操作に苦労することになる(トヨタ・ノア&ヴォクシーの4代目ではそこに着目し、軽い操作感かつワンアクションで跳ね上げ、固定まで行える世界初のワンタッチスペースアップシートを採用している)。
  それは先代までのフリードにもいえることなのだが、新型フリードでは3列目席の軽量化、かけ心地を損なわない範囲の薄型化を行い、3列目席左右跳ね上げ時の格納の高さを先代より90mm低め、シート上端位置を地上1390mmとし、なおかつ固定するベルト位置を手前に移動したことで、小柄な人でも格納操作がしやすいように工夫されているのだ。
  あわせて、3列目席を跳ね上げ格納したときに、どうしても塞いでしまうリヤクォーターウインドーの面積を新型では1.5倍に拡大。格納時でもリヤクォーター上部に高さ80mmの明かり取り、視界を確保しているのだから気が利いている。
  さらに、3列目席床下格納式、またはシエンタの2列目席下格納式と違い、左右跳ね上げ式のデメリットとなる、格納時の左右シート部分によって狭められるラゲッジルーム上部の幅についても、新型フリードではシートの薄型化によって先代比+160mmの幅を稼いでいる。
  もっとも、荷物をそこまで高い位置にまで積み込む機会は、アウトドアやキャンプなどのレジャー、小さな引っ越し以外では、まずないともいえる。
  ということで、フリードのようなコンパクトミニバンでは、3列目席の格納に際し、ボディサイズの制約と、3列目席のかけ心地、快適性を優先すれば、左右跳ね上げ式にメリットがあるという判断で、新型フリードも左右跳ね上げ式を継承しているということだ。

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