クルマ好きの大好物「コーナリングマシン」……ってよく考えると何? どんなクルマが該当するのか考えてみた

2024.06.10 17:20
この記事をまとめると
■スポーツモデルの評価のたとえに「コーナリングマシン」という表現がある
■絶対的な速さはあまり必要ないとされている
■ボディが軽量であり重心が低いことが重要だ
コーナリングマシンの定義とは
  マツダ・ロードスターなどのライトウエイトスポーツカーを評する際に「生粋のコーナリングマシン」といった表現を用いることがある。
  多くのモータージャーナリストが、こうした表現をインプレッション内に使っているのを見かけるだろうが、はたして“コーナリングマシン”という評価は、どのような性能を満たせばいいのだろうか。
  コーナリングマシンと評価するのに必要な数値条件が、なにかの教科書に載っているわけではない。文字 どおりにコーナリングに優れたマシンとして捉えれば、旋回速度やコーナリング時に生み出せる最大G(横加速度)の数値が一定以上のクルマに与えられる称号のように思えるかもしれないが、じつはそうではないのだ。
  モータージャーナリストや多くのクルマ好きがコーナリングマシンと評価する基準は、非常に感覚的で定量化するのは難しい。なぜなら「曲がることが楽しい」という要素があってこそのコーナリングマシンといえるからだ。逆にいえば、絶対的な速さは必須条件ではない。
  では、コーナリング操作が楽しいと感じるための条件としては何が考えられるだろうか。
  ひとつには、ボディが軽量であり、なおかつ重心が低いことが挙げられる。
  スポーティなドライビングにおける「コーナリング」という言葉は、単に曲がっているという意味だけではない。ブレーキングによる減速からステアリング操作などによる旋回、そしてアクセルを踏み込んで立ち上がる……という一連の動きを示していると考えるのが妥当だ。
  そうなると、コーナリング操作の入り口となるブレーキングに難を感じてしまうようではコーナリングマシンとは呼び難い。そして、ブレーキング(減速)のスムースネスでいえば、ボディが軽量であることが最重要の条件となる。どんなに立派なブレーキシステムを備えていても、重量級マシンではライトウエイトスポーツカーのような切れ味のあるブレーキングを味わうことは“物理的”に難しいといえる。
ただ速くて曲がるだけではコーナリングマシンとはいえない
  旋回時にも軽さは活きてくる。軽量かつ重心が低めであれば、コーナリング速度を上げていっても挙動が唐突に乱れづらいクルマになりやすいからだ。重量級マシンであればハイグリップタイヤや電子制御に頼らないと実現できないような旋回姿勢でも、軽量ボディに仕上げていれば実現しやすくなる。
  軽量であることは立ち上がりでの挙動にもプラスに働く。もちろんハイパワーであれば少々ヘビーウエイトであっても豪快な立ち上がり加速をみせるだろうが、微妙なアクセルコントロールによって加速具合や姿勢をコントロールする楽しさという点では軽量であることが有利に働く。
  当然、アクセルコントロールを楽しむためにはリヤ駆動ということも必須条件となるだろう。
  前述したように、ハイグリップタイヤや電子制御を活用すれば、FFや4WDといった駆動方式にかかわらず、旋回能力を上げることは難しくないのが、現代の自動車テクノロジーである。サーキットで圧倒的な速さを実現するホンダ・シビックタイプRや日産GT-Rといったスポーツカーのコーナリング性能は十分以上に高いことは言うまでもない。
  しかし、冒頭でも記したように絶対的な速度や加速度だけがコーナリングマシンの条件ではない。ドライバーの気もちよさというファクターを満たすにはアクセル操作による姿勢コントロールの幅が広いことが求められるだろう。
  アマチュアのドライバーがアクセルコントロールを楽しもうとなると、パワーもそこそこである必要がある。レーシングマシンのようなハイパワー、超絶レスポンスのパワーユニットでは扱うのが難しすぎるからだ。
  というわけで、まとめると、「コーナリングマシン」と呼ばれるには、軽量ボディ、低重心のパッケージであり、万人に扱いやすいパワーで、リヤ駆動であることが条件となる。
  結果として、マツダ・ロードスターやロータス・エリーゼのようなライトウエイトスポーツカーや、トヨタGR86/スバルBRZのようなパワーにこだわらないクーペ的スポーツカーの特徴を示すものとして「コーナリングマシン」という言葉が使われることが多くなっている。

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